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アイアンマン 2008 アメリカ
ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
IRON MAN
ストーリー  巨大軍事企業のCEO、トニー・スタークはアフガンで“ジェリコ”のプレゼンをした後、テロリストに拉致される。逃げだすためにパワードスーツを開発し、会社としての武器製造を中止する決定をする・・・
監督 ジョン・ファヴロー
出演 ロバート・ダウニーJr ジェフ・ブリッジス テレンス・ハワード
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★★ ★★★★★ ★★★ ★★★
コメント  翻訳ボタンをポチッ・・・「私は鉄男」
 わたしたちこれからいいところ〜といったパーティ会場でのトニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr)と彼の秘書のペッパー(グウィネス・パルトロー)が印象的。色気よりも知性で勝負する秘書さんはボスに対する忠誠心や機転の利く行動力があるのだ。こんな秘書が欲しいと感じたビジネスマンは多いはず・・・なにしろ、愛人にしてしまえ!と思わせない雰囲気もよかったりするのです。
 そんな有能な秘書も素晴らしいのですが、どこにいたのかよくわからないコンピュータのジャービスも最高でした。『ナイトライダー』のKITT以上の知能を持っていそうです。その声が渋くていいな〜と思っていたら、なんとポール・ベタニーが担当していました。
 ヒーローものにでは悪役も重要な存在になります。このアイアンマン誕生秘話と位置づけられる本作においてはジェフ・ブリッジスが好演。頭は剃らなくていいよ!と監督に言われたにもかかわらず、自らすすんで剃ったとか・・・もしかするとサミュエル・L・ジャクソンに触発されたのかもしれませんが・・・
 素晴らしい俳優陣と度肝を抜くような派手なVFX。特にパワードスーツを装着するシーンでは『トランスフォーマー』みたいに意味不明のものじゃなく、実際にあってもおかしくないと感ずるほど控え目な特殊効果でした。個人的に好きなシーンは飛行練習とか、氷結してしまうほど空高く飛ぶとか、戦闘機の攻撃をかわすところとか。
 ストーリーは、米巨大軍事企業のCEOがテロリストに拉致されたことによって正義に目覚め、自らの手で兵器を破壊していくといったもの。残念なことにトニー・スタークが改心する様子は冒頭の襲撃シーンで判断するしかないし、破壊するのは裏取引された兵器のみ。アメリカ的愛国心残したままのヒーロー像であり、人類を救うというよりは社内の裏切り者と戦うのがメインとなっていました。これなら、無差別に米兵器を破壊していくハルクのほうが好きだ。
 “悩めるヒーロー”が主流になっていた21世紀のハリウッド映画。アイアンマンはそれほど若くないためか、内面の葛藤描写はあっさりしていました。唯一市井の人を助けるシーン(車の中の一家)では直後にその車に轢かれるという皮肉などもあるし、アフガンの洞窟で作ったプロトタイプが結局は悪用されてしまうといった悪の連鎖も感じさせる。ハリウッドがどこまで戦争の矛盾を描けるかは続編以降に期待したいものです。
(2008.10)

愛と死の記録 1966 日本
日活
ストーリー  松井和江は印刷工三原幸雄のオートバイにはねられそうになり勤め先ののレコードを割ってしまった。それを機に二人は急接近。
監督 蔵原惟繕
出演 渡哲也 吉永小百合 中尾彬
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★★ ★★★ ★★★★ ★★★★
コメント  場所は広島。ダブルデートでいきなりケンカ?帰り際、雨の中道端に置いてけぼり・・・そんな激しい場面から始まったが、もう結婚の約束を・・・しかし、幸雄の体は病魔が蝕んでいたのだ。いい縁談があるとかで幸雄の兄代わりの岩井(佐野浅夫)が和江にとって最初の難関だった。
 幸雄は4歳の時、被爆して両親を亡くした。いつそれを和江に告げようかと悩んでいたにちがいない。告白されても和江の愛の強さは変わらず、懸命に看病に努めるのだ。しかし、看病も空しく幸雄は白血病で亡くなってしまう。
 単なる泣かせるドラマじゃない。というより、泣かせ方は下手な構成・脚本。それが逆に原爆症で次々と人が亡くなっていく現実を訴えてくる。平和式典の映像なども盛り込んで、なんだかドキュメンタリーとして見るほうがいいのかもしれない。
 恋人の死をも克服して元気に立ち直る姿を描くものだと思っていたのに、最後には和江も後追い自殺・・・重々しさがすごい。
(2008.10)

相棒 シティ・オブ・バイオレンス 2006 韓国
エスピーオー
THE CITY OF VIOLENCE
ストーリー  旧友ワンジェが死んだと刑事のテス(ドゥホン)に連絡が入る。故郷に帰ったテスはワンジェが少年たちに刺されたと知り、同じく少年を追うソックァン(スンワン)と手を組み捜査に乗り出す・・・
監督 リュ・スンワン
出演 リュ・スンワン チョン・ドゥホン イ・ボムス
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★ ★★★ ★★★ ★★
コメント  20年前の仲良し5人組の映像。あの頃は暴力といってもかわいいもんだったな・・・などと『スタンド・バイ・ミー』の“その後”といった雰囲気だけど、刑事になったテス以外はみんなヤクザ者。ワンジェがピロにボスの座を譲ったときから町は荒れ果ててしまったらしい。
 最後は無茶苦茶。殴りこみをかけるのはいいけど、刑事という職業がどうしても違和感あるので理解不能。ピロの手下の女性がなかなか良かった。
(2008.8)

アイム・ノット・ゼア 2007 アメリカ
ハピネット=デスペラード
I'M NOT THERE
ストーリー  ボブ・ディランの様々な側面を6人の俳優がそれぞれ演じ分け、実験的な手法で魅せてくれる。
監督 トッド・ヘインズ
出演 クリスチャン・ベイル ケイト・ブランシェット マーカス・カール・フランクリン
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★★★ ★★★ ★★★★ ★★★★ ★★★★
コメント  リッチー・ヘブンス渋〜い♪
 なんといってもリッチー・ヘブンスです。彼の演奏を見たのは『ウッドストック』の映像だけなのですが、久しぶりに拝見して、衰えを知らぬソウル・スピリッツをビンビン感じてしまいました。少年ボブ・ディランとの軽いセッション・シーンだけだったのに、ここまで印象に残るとは・・・やはりタダモノではない!
 こんなに実験的な映画だとは思いませんでした。伝記(とは言え、ボブ・ディランは死んでない)映画と言えるはずなのにボブ・ディランという登場人物は一切なく、6人のディランはそれぞれ別の名前で登場し、モキュメンタリー的な作りになっています(虚実のようで真実なんだろうけど)。しかも、時代は行ったり来たり、ディランの6つの側面をそれぞれ強調する役作りに徹しているため、完結もしないし、むしろ混乱してしまうおそれもあります。
 印象に残るのはまず“放浪者”を演ずる少年マーカス・カール・フランクリン。左利きギターも上手いし、天才ミュージシャンというイメージ。そして、女優賞でも注目された“ロックスター”のケイト・ブランシェットはソックリ度では一番だったかもしれない。役名はジュード・クイン。クイーンといえば、「アイム・ノット・ゼア」ならぬ「ナウアイムヒア」を思い出してしまいます・・・
 この映画が遺作となってしまった“映画スター”を演ずるヒース・レジャーを見るとちょっと悲しくなってきました。結婚しているディランの一面も見れるのですが、妻を演ずるのがシャルロット・ゲンズブール。「ヒースの妻はシャルロット・ゲンズブール」などと茶化して悲しさを紛らせてしまいましょう。
 残りは“無法者”のリチャード・ギア、“詩人”のベン・ウィショー、“革命家”のクリスチャン・ベイル。贅沢なキャスティングだけど、魅力は分散されているような・・・それよりも時代に応じたドキュメント映像、特にベトナム戦争が絡んでいると、ボブ・ディランが与えた影響も計り知れないと感じてしまいます。
 6人をそれぞれ別人格としてとらえてしまうとわけのわからない映画。でも、すべてボブ・ディランなんだよな〜と考えると、名前を隠し通すこととか、政治的プロテストソングの精神の考え方がわかるような気がしてくる。実は彼のことをよく知らないのですが、『USA for Africa』で他のミュージシャンから自分の歌い方を教えてもらうという微笑ましいシーンが忘れられなく、実は照れ屋さんなんだと思っているんです。でも神様・・・です、きっと。ちなみに“フォークの神様”と検索してみると、岡林信康、ボブ・ディラン、杉下茂、等々がヒットします。

2007年アカデミー賞助演女優賞(ブランシェット)ノミネート
2007年ヴェネチア国際映画祭女優賞、審査員特別賞
2007年ゴールデングローブ賞助演女優賞
2007年インディペンデント・スピリット賞助演女優賞、ロバート・アルトマン賞
その他多数
(2008.6)



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