ビハインド・ザ・サン | 2001 ブラジル ギャガ・コミュニケーションズ=アニープラネット ABRIL DESPEDACADO |
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ストーリー | 1910年、ブラジル。対立する二つの家族ブレヴィス家とフェレイラ家。長兄を殺された復讐にてトーニョが相手の家長を殺した。今度は自分が狙われることとなったが、そんなある日、サーカスの少女クララと出会い恋に落ちる。 | |||
監督 | ウォルター・サレス | |||
出演 | ロドリゴ・サントロ | ラヴィ・ラモス・ラセルダ | フラヴィア・マルコ・アントニオ | |
音楽 | ストーリー | 映像・演出 | 俳優 | 総合評 |
★★★ | ★★★★ | ★★★★★ | ★★★★ | ★★★★★ |
コメント | 次の満月、血の色が黄色に褪せるまで・・・とりあえず休戦だ。 暗い背景の中にはためく血に染まったシャツ、突然映し出される大写しの月、地から手が生えて出たような朽ちかかった木のブランコ、等々。これらの映像が突拍子もなく登場するが、映画に妙に合っていて溶けこんでいるのです。ブラジル映画なのに、どちらかというとヨーロッパ的な映像なのですが、荒涼とした大地である“魂の川”の乾ききった空気が漂ってくるほど臨場感がありました。しかも、かつては奴隷を使っていたが舞台である1910年には、自分たちで全ての農作業をやらねばならなくなったという没落ぶりがすごいです。 貧しさの映像化・・・特に死にそうな牛や収穫も少なそうなサトウキビ・・・これと銃で相手を殺すという残酷さがリアルに響いてくるのです。そして正反対に美しい青い空とブランコ。ブランコ映像は、もうちょっと時間が長ければ、酔ってしまいそうになるほど画面に引きずり込まれます。時間軸まで効果をプラスして空中を旋回するサーカスの少女クララは素晴らしかった! あらすじを見た段階では『ロミオとジュリエット』のようなストーリーをモチーフにしてあるかと思いましたが、暴力・復讐の連鎖という国家間の戦争の縮図を表現したかのようなプロットに驚いてしまいました。復讐の繰り返しをしても結局は何も残らない。そんなメッセージをも感じ取れます。 映画館からの帰り道、雨にたたられました。映画とそっくりな展開だったので、傘も買わず、タクシーも使わず、気持ち良く濡れてきました・・・(バカ、冬なんだってば・・・) 2001年ゴールデングローブ賞外国語映画賞ノミネート 2001年英国アカデミー賞外国語映画賞ノミネート (2005.1)
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ヒバクシャ 世界の終わりに | 2004 日本 グループ現代 |
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ストーリー | イラク、日本、アメリカ。それぞれ被爆してしまった人を訪ねて反核を訴えるドキュメンタリー。 | |||
監督 | 鎌仲ひとみ | |||
出演 | 肥田舜太郎 | トム・ベイリー | ラシャ・アッバース | |
音楽 | ストーリー | 映像・演出 | 俳優 | 総合評 |
★★★ | ★★★★ | ★★★★ | なし | ★★★★★ |
コメント | 電力供給のために活躍する原子力発電所。安全だと宣伝する裏には微量放射能によってガンや白血病という悪魔に蝕まれてゆく人々がいた。 どうしても観たかった時から2年過ぎてしまいましたが、すでにDVDが発売されたようです。広島・長崎に落とされた原爆については日本人なら誰しも心を痛める悲惨な出来事でしたが、未だに核の恐怖を反省もせずに利用し続けてる人たちもいます。91年の湾岸戦争において、初めて使用された劣化ウラン弾。もっとも硬い金属なので分厚い装甲車でも貫通してしまう兵器ですが、一方で放射能を含んだ微粒子を大気中にばら撒いてしまう悪魔の兵器なのです。ガンや白血病の患者が異様に増えているにも拘らず、因果関係は認められないと使われ続けている。 被害者はイラクにとどまらない。大量のプルトニウムを作っているアメリカのハンフォードでは風下の住人たちが次々とガンで死んでいる。高濃度の核廃棄物の汚染にさらされてきたのです。『エリン・ブロコビッチ』のように司法によるたたかいは続いているが、相手は企業ではなく政府であることが相違点。勝ち目はないのです。ここでも裁判の争点は因果関係の有無。データに基づいても科学的にはまだまだハッキリさせることのできない虚しさがつきまとってしまう。 日本の原爆による被爆者、イラクの被爆者、アメリカの被爆者と、三つの地域に焦点を当てたドキュメンタリー映画ですが、核兵器による悲惨な現状を訴えるだけではなく、原子力発電所の問題も指摘します。特に身の毛もよだつ事実は広島で被爆した医師・肥田舜太郎の集めたデータでした。86年のチェルノブイリ事故以降、日本における乳ガン発生数と乳幼児の死亡数の推移。北海道から日本海側、太平洋側と明らかに死亡者数が増えていっている。遥か離れたロシアの空から、日本の大気中にまで微量の放射能が拡散している事実。他人事ではすませなくなっています。原発の問題もその地域だけに限った問題ではない。この問題を放っておくと、そのうち地球全体が放射能汚染の危険に晒されるのです。しかも、この放射能が消え去るのに45億年かかるとか・・・ これだけグローバルな内容になっているとは思いませんでした。大量の殺傷能力を持った兵器であるという問題だけではないのですね。目に見えない恐怖は、やがて静かに地球を汚染してゆき、なぜガンになったのかもわからないように人間を殺していってしまう・・・肥田先生の訴える「低線量被爆の実体を知ることから始まる」という言葉が重くのしかかってきます。 (2006.9)
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ビバリーヒルズ・コップ | 1984 アメリカ Par=CIC BEVERLY HILLS COP |
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ストーリー | 再会したばかりのワルの幼なじみを殺された黒人刑事アクセル・フォーリーは真相を暴くためにロスへやってくる。 | |||
監督 | マーティン・ブレスト | |||
出演 | エディ・マーフィ | リサ・アイルバッハー | ジャッジ・ラインホルド | |
音楽 | ストーリー | 映像・演出 | 俳優 | 総合評 |
★★★★ | ★★★★★ | ★★★ | ★★★★ | ★★★★★ |
コメント | デトロイトの映像と軽快な曲グレン・フライの「The Heat Is On」。タバコの違法取引というおとり捜査によるカーアクションとパティ・ラベルやポインターシスターズの音楽。さすがに唸るほど物語に引きずり込むテクニックを駆使したヒットメーカーが作り出した映画のオープニングだ。 デトロイト市警の中でも厄介者扱いされているアクセル。親友が殺されたというのに捜査に加えてもらえない苛立ちから、休暇をとって単独ロスへ乗り込む。ホテルは満室だが、口八丁のアクセルはマイケル・ジャクソンの取材だと言って強引に宿泊を決める。その直後にマイケルのコスプレ男二人とすれ違うシーンで思わず笑ってしまうのだ。 画廊のオフィスでひと悶着あって、ロス市警からはローズウッド(ラインホルド)とタガート(ジョン・アシュトン)の監視がついてしまう。ルームサービスをプレゼントしながらも車の排気筒にバナナを詰め、尾行を断ち切ったり、ひょこっと後部座席に乗り込んだりするアクセルに徐々に親近感を持つ二人もバディムービーとして最高峰だと思う。 麻薬犬の鼻を狂わせるため麻薬の箱にコーヒーを入れておく手口。令状を取るまで動けない規則だらけの警察と自由奔放なアクセルとの対比が面白いし、殺されたマイキーと同じく幼なじみのジェニー(アイルバッハ)を救出する心意気もいい。クライマックスでは『明日に向かって撃て』を引き合いに出してしまうほどハイになってるローズウッドが最高!完璧な悪役顔のスティーヴン・バーコフもいいね。ボゴミル警部(ロニー・コックス)の最後の台詞もしびれる・・・ 1984年アカデミー賞脚本賞ノミネート 1984年ゴールデングローブ賞作品賞、男優賞ノミネート 1985年英国アカデミー賞作曲賞ノミネート (2007.1)
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ビバリーヒルズ・コップ2 | 1987 アメリカ Par=UIP BEVERLY HILLS COP III |
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ストーリー | ロスで世話になったボゴミル警部が襲われる。タガートとローズウッドはデトロイトのアクセル刑事に応援を頼む。 | |||
監督 | トニー・スコット | |||
出演 | エディ・マーフィ | ジャッジ・ラインホルド | ブリジット・ニールセン | |
音楽 | ストーリー | 映像・演出 | 俳優 | 総合評 |
★★★ | ★★ | ★★★★ | ★★★ | ★★★ |
コメント | いきなりトニー・スコットらしいスタイリッシュな映像。前作ではオンボロ車を運転してたのにフェラーリを操るエディ・マーフィがいたりして、違う映画なんじゃないかと勘違いしてしまいそうだ。冒頭の台詞から判断すると、ボゴミルとフォーリーは釣り仲間となっていたようだ。ふむ。 前作のように、アクセルへの敬服の念というか、徐々に彼に同化していく面白さはほとんどなかったけど、ラストのローズウッドが『ランボー』ぽく決めたところは笑える。 ストーリーそのものよりも爆破シーンなどが豪華すぎ!さすがトニー・スコットだ。 (2007.1)
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ビバリーヒルズ・コップ3 | 1994 アメリカ Par=UIP BEVERLY HILLS COP III |
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ストーリー | SWAT無しで現場に踏み込み、ボスを殺されたデトロイト警察のアクセル刑事。犯人追跡中にFBIに邪魔をされ、もっとでかいホシを追っていると聞かされた。ワンダーワールドに絡んでるとふんで、再三ビバリーヒルズ警察へ。 | |||
監督 | ジョン・ランディス | |||
出演 | エディ・マーフィ | ジャッジ・ラインホルド | ヘクター・エリゾンド | |
音楽 | ストーリー | 映像・演出 | 俳優 | 総合評 |
★★★ | ★★ | ★★ | ★★★ | ★★ |
コメント | ローズウッド(ラインホルド)は健在。他の刑事もアクセルのハチャメチャぶりを聞いているようだった。遊園地に潜入して単独捜査するものの、いきなりのアクシデント。観覧車から子供が落ちそうになるところをヒーローのように助けちゃうエディ・マーフィ。 潜入を続けると偽札作りの現場を見たのに、あれこれと邪魔が入り、ついには犯人に仕立てられる始末。とにかくストレートなドンパチ映画。遊園地のクライマックスは派手な殺し合いが明るく描かれていた・・・遊園地に金をかけすぎ! 1994年ラジー賞監督賞、リメイク・続編賞ノミネート (2006.4)
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火火(ひび) | 2004 日本 ゼアリズエンタープライズ |
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ストーリー | 焼き物の町、滋賀県信楽。穴窯という古代信楽自然釉の技法を復活させるために執念を燃やした女性陶芸家、神山清子。夫に捨てられ、貧しい中で女手ひとつで2人の子どもを育て、陶芸家として成功するが・・ | |||
監督 | 高橋伴明 | |||
出演 | 田中裕子 | 窪塚俊介 | 黒沢あすか | |
音楽 | ストーリー | 映像・演出 | 俳優 | 総合評 |
★★★★ | ★★★★ | ★★★★ | ★★★★★ | ★★★★★ |
コメント | 「いや〜、いい映画作ってますね〜」と言う中島誠之介の顔を想像してしまった。 信楽焼の素朴な色彩、力強さ、そして“火火”というタイトルがそのまま女性陶芸家の草分け的存在である神山清子さんを表しています。「死にたいんか?」と一瞬乱暴な言葉ともとれるが、息子に投げられたこの言葉がなんと愛情がこもっているんだと感じられる不思議な魅力を持っている力強いお母さん。「貧乏は嫌や」と言うが、何もかも無くした状態、自分を捨ててからでないと作品に心がこめられないという信念。自然釉(特殊なうわぐすりを使わないで出す焼物のつや)を出すためには何度も作品を砕くというこだわりをも見せる芸術家タイプ。夫には捨てられた形となったが、こんなエネルギッシュな素晴らしい女性に求婚する男がいないわけがないのだが、「財産を捨てて、裸一貫になって来い」という言葉を投げかけてしまうといった人生のこだわりをも見せるのだ。 全く予備知識無しでこの映画を観たのですが、最初は実話に基づいたものだとは知りませんでした。息子賢一の恋人役として好演していた池脇千鶴が途中から出てこなくなったので、実話だと気づきました。突如襲いかかる白血病と闘う息子賢一は、窪塚俊介(洋介の弟)が演じていますが、多分兄を超えるだろうと期待させてくれました。多分、今年の邦画男優賞の賞レースには確実にからんでくるでしょう。 平成3年にようやく設立された日本骨髄バンクのドナー登録者数は20万人だそうです。昨年も『半落ち』『世界の中心で、愛をさけぶ』など、白血病に関する映画がヒットしてますが、この『火火』のほうが実話なのに完成度が高いような気もします。 (2005.2)
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ビフォア・サンセット | 2004 アメリカ ワーナー BEFORE SUNSET |
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ストーリー | 『恋人までのディスタンス』の続編。9年前の一晩のデートの後、半年後に再会を約束したものの実行できなかったロマンスを書籍化したジェシー。パリで小説のキャンペーンで偶然セリーヌと再会する・・・ | |||
監督 | リチャード・リンクレイター | |||
出演 | イーサン・ホーク | ジュリー・デルピー | ヴァーノン・ドブチェフ | |
音楽 | ストーリー | 映像・演出 | 俳優 | 総合評 |
★★★★ | ★★★★ | ★★★ | ★★★★ | ★★★★ |
コメント | かなりあっさりした再会。まるで出会いの時と同じような友達同士のような再会。9年も経っているのに12月にウィーンへ行ったかどうかと2人とも覚えていた。しかし、2人に残された時間はジェシーが飛行機に乗るまでの95分だけ。溢れ出す言葉も慎重に選び、空白の9年間を語り合うのだった。 一晩の出来事を3〜4年かかって書き作家となったジェシーと、緑十字で環境問題に取り組んでいるセリーヌ。ジェシーは結婚して子供もいる。セリーヌも現在は報道カメラマンと付き合っている。お互いに別の人生を歩んでいるにも拘わらず、懐かしい恋人にあった気分になる。不思議と、デジャビュのように自分にもこうした一時の心の恋人がいるかのような錯覚に陥ってしまう。 「あのときセックスしたじゃん」「え?してないわよ」などといった会話が繰り広げられるが、もちろん9年前はキスどまり。セリーヌが数々の恋愛を経験したものだから記憶が曖昧になっているのか、そうやって嘘をついて反応を楽しんでる様子が面白い。 最後にセリーヌのアパートまで行ってくつろいでしまうのはどうかと思う・・・でも終わり方は余韻を残してくれるほどヘンテコなエンディングだ。この後どうなるんだろう?飛行機をキャンセルしてそのまま居座るのか、それとも・・・ 2004年アカデミー賞脚本賞ノミネート 2004年インディペンデント・スピリット賞脚本賞ノミネート (2006.5)
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