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ボー・ジェスト 1939 アメリカ
PAR
BEAU GESTE
ストーリー  孤児のジェスト三兄弟は養子として育ててくれた叔母の経済的危急を知り、最後に残されたサファイアを盗む。彼らは外人部隊としてアラブ人と戦うが・・・
監督 ウィリアム・A・ウェルマン
出演 ゲイリー・クーパー レイ・ミランド ロバート・プレストン
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★ ★★★ ★★★ ★★
コメント  ボー・ジェスト・・・美しい行い。
 冒頭ではアラブ人に襲われた砦と全滅した兵士が皆攻撃態勢で死んでいる異様さ。どことなくミステリー風でもあるプロローグだ。そして映像は15年前のジェスト兄弟の少年時代と出兵間近の青年時代。鎧に隠れていた長兄ボー(クーパー)がサファイアのやりとりを目撃していたの秘密がエンディングで明かされる。ずっと泥棒だと信じ込ませる手法といい、軍隊に入ってからのマルコフ司令官と兵の反乱のエピソードが面白いのになぜかつまらなくなる。
 愛国心がどうこう言っても所詮はイギリス人がフランスのために戦う内容。どことなく戦意高揚といったテーマもある気がしてならない。「死んだら海賊式に犬を傍において燃やしてくれ」などという伏線もいいのに、マルコフを有能な司令官だと言ってのけたのが失敗か・・・もっといやらしいほど宝石に固執させてもよかった。
 美しい行いなどと言われても、叔母さんに恩返しするには戦死することが一番じゃないはず。全員死んでしまったら、それこそ意味不明の行為だ。

1939年アカデミー賞助演男優賞(ブライアン・ドンレヴィ)、室内装置賞ノミネート
(2009.1)

ホステル 2005 アメリカ
ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント
HOSTEL
ストーリー  女と楽しむためにヨーロッパ旅行をしているアメリカ人パクストンとジョシュ。それにアイスランド人オリーが加わって、スロバキアのホステルに向かう。楽しんだ次の日、オリーがいなくなって・・・
監督 イーライ・ロス  製作総指揮:クエンティン・タランティーノ
出演 ジェイ・ヘルナンデス デレク・リチャードソン ジェニファー・リム
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★ ★★★★ ★★★ ★★★
コメント  またホームから飛び込みですか・・・
 最近観た映画、『紀子の食卓』『暗いところで待ち合わせ』『あなたを忘れない』そして本作と飛び込みすぎです。ただでさえ『それでもボクはやってない』を観てから電車には乗りたくないという気持ちになってきてるので、『待合室』や『幸福な食卓』でほのぼのとした駅の風景が打ち消されてしまいそうです。残酷描写は『SAW』シリーズによって免疫ができてしまってるので、この線路へ飛び込むシーンが一番強烈だと感じてしまいました。しかも飛び込むのはやっぱり日本人という設定なんですね・・・
 ホラー映画というのは「人間の本性が一番怖い」ことがテーマになってますが、この『ホステル』も例外ではない。「アメリカ人は2万5千ドル」などと、金を払えば自由に人を殺すことができるという設定。金持ちというのは普段の生活がよほど鬱屈しているのか、金さえあれば何でも出来るんだという思い上がりがあるようです。「それなら兵士になって紛争地域に行って来い!」とも言いたくなってしまいますけど、金持ちは逆に殺される可能性のあるところへは絶対に行かないことは定説となっています。
 この映画の凝ったところは、前半にホラー映画らしさを感じさせないところでしょうか。女を抱き放題という楽園のようなホステルの噂を耳にしてウキウキ気分のオバカトリオ。一緒に温泉に入れるのなら行ってみたい!と男のスケベ心を刺激して、途中までホラー映画であることすら忘れさせるのです。そして急展開して痛い映像のオンパレード。指なんかを切られるシーンってほんとに痛い・・・次第に感覚も麻痺してしまいそうになりました。
 スロバキアの子供たちも怖い存在でしたが、やはり子供の描き方だけは良心が残っていたのか、ちょっと安心しました。というか、エサに釣られただけでした。そしてもう一つ怖かったのは、自分の心。逃げ出すために相手を殺すのは正当防衛であるにしても、「こいつも殺してしまえ!」などと主人公に同化してしまってる残虐な自分に気づきました・・・うわぁぁ。

2006年MTVムービーアワード恐怖演技賞ノミネート
(2007.2)

ホステル2 2007 アメリカ
デスペラード
HOSTEL:PART II
ストーリー  ローマに留学中のアメリカ人女子学生ベス、ホイットニー、ローナの3人は休暇を利用してプラハに向かったのだが、モデルのアクセルに誘われ、スロバキアの温泉に立ち寄ることになった・・・
監督 イーライ・ロス  製作総指揮:クエンティン・タランティーノ
出演 ローレン・ジャーマン ビジュー・フィリップス ロジャー・バート
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★ ★★★★ ★★ ★★
コメント  ゴール!
 ネットオークションが流行しているおかげなのか、死の会員制クラブの裏側を暴いたことも面白かった。しかし、さすがに前作の緊迫感を保つことは出来なかったし、恐怖のサプライズシーンは男性器切り取りだけだったような・・・。それに金持ちの醜さに打ち勝つのがやっぱり金だなんて展開も気に入らなかったりしました。なんとなく読めてたし・・・。
 なにかとタランティーノ一派が活躍している2007年ですが、この映画の監督イーライ・ロスも『デスプルーフ』に出演していたようです。B級映画ってのはノリが大切なんだと思い知らされるものの、今回の続編は前半が退屈でした。秘密組織の怖さというのは前作によってわかってるのだし、主人公たちにも感情移入なんて出来ないし・・・どうせなら、スロバキアの祭りで助けてくれようとした前歯の大きい男の心理や背景をもっと描いてもよかったのかもしれません。
 そして今回は拷問殺人者として女子大生を落札した男2人がかなり人間味を帯びてました。一度は殺人を経験してみたい金持ちだって同じ人間。どこにでもいそうな成金オヤジぶりを発揮していたのがロジャー・バート(『プロデューサーズ』のオカマちゃん役)とリチャード・バージの2人。『デスパレートな妻たち』でも共演しているようで、相性の良さを見せてくれました。
 男の目線からすると、東欧の伊東美咲といった雰囲気だったアクセル(ヴェラ・ヨルダノーヴァ)が魅力的でしたけど、彼女の頭をサッカーボールにして遊ぶ子供たちのほうが無邪気で可愛かったです(?)。
(2007.11)

ポストマン 2008 日本
ザナドゥ
ストーリー  千葉県房総町の郵便局員・海江田龍兵は、バイクを使う局員が多い中でもバタンコと呼ばれる自転車を使い続ける。2年前に妻に先立たれ高校受験をひかえる娘と小学生の息子を育てているが、進路の問題で衝突し・・・
監督 今井和久
出演 長嶋一茂 北乃きい 原沙知絵
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★★★ ★★★★ ★★ ★★★
コメント  郵メイトだなんて日本語と英語を混ぜた言葉は使うな!とは怒らない・・・
 「セレクションなんて横文字は使うな!」と娘あゆみ(北乃きい)を叱る海江田龍兵(長嶋一茂)ではありましたが、これも幼少期から実父であるミスターとこと長嶋茂雄氏のナイスな横文字を聞かされていたことへの反発だったのでしょうか。そんなカズシゲが製作総指揮まで務めたポストマンという郵便局員の物語は終盤にはミスター・ポストマンとまで呼ばれるようになるのです。郵政民営化されてからの映画なので、もしやPR映画なのかと不安だったのですが、そんな内容ではありませんでした。
 舞台は架空の千葉県房総町。サーファーのマナーなどの問題を抱える人口8千人ほどの町を支える郵便局。龍兵は人とのコミュニケーションを大事にし、バイクを使う配達員が多い中、バタンコ(配達ようの赤い自転車)を愛用し、局内でもアナログ人間と揶揄されている。2年前に妻(大塚寧々)を亡くしていて、男手ひとつで高校受験をひかえる娘と小学生の息子を育てているという設定。千葉といえば長嶋を思い出すほどイメージが定着しているし、アナログという言葉もやっぱり彼に似合ってるのです。妻の母親が野際陽子。読経を始めたときには怪しげな宗教なんじゃないかとビクビクさせられ、そういえば元夫は千葉真一か・・・と、またもや千葉を思い出してしまう・・・
 中盤まではかなりユルい展開。おまけにカズシゲの下手な演技に、単なる筋肉自慢映画かと心配にもなってきます。それでも娘との確執を解くために地味ながらも信念を貫く姿や、映画『結婚しようよ』と同じように「家族揃って食事を摂ること」の大切さを説く彼の父親像に惹かれていくのです。親といえば、龍兵の漁師であった父親は海難事故で亡くしているのですが、もしや船がイージス艦に衝突されたのでしょうか・・・と、余計なことまで考えてしまいました。また、彼の息子が龍火祭で龍の山車に乗るシーンもあったりして、赤と青の龍の対決を見てると朝青龍まで思い出してしまいます(『モンゴル』の予告編を見たせいでもありますが)。
 基本的にはポストマンを中心とした人情ドラマ。『幸せの黄色いハンカチ』という言葉も登場するくらい、黄色(手紙、花、電車など)にこだわりを持つものの、山田洋次の域には到底及びません。しかし、終盤の予想外の筋肉自慢による展開には思わず胸が熱くなり、亡き妻への想いを込めた愛情物語にはいつしか涙も・・・。
 新人監督にそれほど期待もしていませんでしたが、太平洋や穏やかな田園風景の美しさもあったし、撮影は意外と面白く、ブレの少ないハンディカメラや空撮が見事にキマってる!それに電車を追いかけるポストマン、トラックを追いかけるポストマン、撮影には倍以上の労力があっただろうし、それらのタイミングも素晴らしかった。そして何度も登場する灯台の映像。犬塚弘や谷啓も出演していることから、植木等が名演を見せた『喜びも悲しみも幾歳月』へのオマージュさえも感じられるのです。もちろん谷啓の登場シーンで泣けた・・・
 
(2008.3)

ポセイドン 2006 アメリカ
ワーナー
POSEIDON
ストーリー  『ポセイドン・アドベンチャー』のリメイク
監督 ウォルフガング・ペーターゼン
出演 カート・ラッセル ジョシュ・ルーカス リチャード・ドレイファス
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★★ ★★★★★ ★★★ ★★★★
コメント  逆さまになっても上からモノが落ちてくるんですよ!
 心臓に悪いかと思えるほど緊迫感の連続。とにかく休む暇がない。オリジナル『ポセイドン・アドベンチャー』は劇場で2回観たほど好きだったのですが、この緊張感はそれと全く別物であるかのような体感ディザスター・ムービーでした。そういえば、オリジナルでは少年が逆さまのトイレに入って笑いを取ってしまうほどの余裕があったのに・・・
 『夢駆ける馬ドリーマー』でカート・ラッセルの娘思いの父親を見たばかりだったので、この『ポセイドン』でも父親像がダブってしまいました。同じく騎手で出演していたフレディ・ロドリゲスも脱出グループに同行することになるのですが、彼は“map”と呼ばれるほど豪華客船内に精通していたこともあって、元消防士で元NY市長のカート・ラッセルとここでもいいコンビになるかと思っていたら・・・あ、やられちゃったよ・・・でした。
 また、オリジナルと比べると、グループ内の人間関係、葛藤が感じられないのですが、食い違った意見をまとめる余裕なんてないほど次から次へと襲いかかるピンチ。自・殺マニアのような爺さん(リチャード・ドレイファス)がマップの手を振りほどいてしまったという罪悪感も感じるヒマがない。ましてや彼を慕ってきたエレナ(ミア・マレストロ)も死なせてしまったことも運命のいたずらなんだと感じるヒマがありません。水中での苦しさに感情などマヒしたに違いありません。
 配役の点でもオリジナルとつい比較してしまいがちなのですが、オスカー助演女優賞候補太った水泳おばさん(シェリー・ウィンタース)のキャラがいないことが残念ですし、アーネスト・ボーグナインとジョシュ・ルーカスが同じ役割だと考えるとどうも納得できません。そして、元市長とかギャンブラーという設定が何も生かされてないし、むしろカート・ラッセルの5のワンペアで勝負するポーカーフェイスが伏線となっていただけでした。
 多少の不満はあるもののリアルなCGと海洋映画を得意とする監督のおかげで、息がつまりそうになるほど楽しめる映画でした。
(2006.5)



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