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譜めくりの女 2006 フランス
カフェグルーヴ=トルネード・フィルム
LA TOURNEUSE DE PAGES
ストーリー  コンセルヴァトワールの入学試験で審査員の一人アリアーヌの無神経な態度によって散々な結果に終わり、ピアニストの夢を断たれた少女メラニー。10数年後、彼女に近づいて信頼を得て“譜めくり”を務めることになった。
監督 ドゥニ・デルクール
出演 カトリーヌ・フロ デボラ・フランソワ パスカル・グレゴリー
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★★ ★★★★ ★★★ ★★★★ ★★★★
コメント  “歩”をめくって“と金”になり、縦横無尽に相手の家族をかき乱す・・・
 ほんの些細な事件であっても復讐心を燃やし続けることはあるんだろうなぁ。あまり説明はなされてなかったのですが、国立音楽学校の入学試験(?)のピアノ実技のとき審査員の一人であるピアニストのアリアーヌ(カトリーヌ・フロ)が無神経な態度を取ってしまい、受験生のメラニーが散々な結果に終わる。10数年後、短大生となったメラニーがアリアーヌの家族に近づき、復讐するというお話。
 メラニーの両親が肉屋であるところなんて、どことなくホラーっぽい。にわとりを大きな包丁でさばくところも意味深だったけど、あの鳥がマリアーヌの息子が可愛がってた鳥だったのかどうかは不明。このシーンも観客をミスリードする手法だったのだろうか・・・なかなか巧い。
 動機も弱いし、復讐の念も伝わってこないことが逆に恐ろしさを感じてしまう。しかも、どんな復讐を企んでいるのかもわからないし、具体的な被害も受けないので、アリアーヌはどんどんメラニーを信頼していって譜めくりとしての彼女がいなければ演奏すらできなくなってしまう。そして、その信頼が愛情に変わっていく・・・そうくるか!異性間の愛情を勝ち取って復讐する映画は他にもあるけど、同性愛という武器だとはなぁ・・・
 短い映画だけど、謎を残しているところにも唸らされる。アリアーヌは2年前にひき逃げ事故に遭っている事実や、メラニーが父親に「順調よ」などと言ってるところで想像力をかきたてられるのです。しかし、写真の裏に書かれたメッセージがなければ、次はどんな手段を取ったんだろうなぁ。
 爽快感なんてのは無いんですけど、「なるほど!」と膝を打つほどのエンディング。それにしても、女の執念は恐ろしい。あんな家庭崩壊へと導くような復讐はやめましょうよ。クラシックピアノを断念するのはいいけど、そこで一念発起してパンクロッカーになってアリアーヌを罵倒するような歌をぶつけるとか、健康的な復讐を望みます・・・あ、これもやばいか・・・

2006年セザール賞主演女優賞、有望若手女優賞、音楽賞ノミネート
(2008.8)

不滅の熱球 1955 日本
東宝
ストーリー  名投手沢村栄治の半生と日本プロ野球の誕生時代を描いた映画。
監督 鈴木英夫
出演 池部良 司葉子 笠智衆
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★ ★★★ ★★★ ★★★
コメント  実際の巨人中日戦からはじまるオープニング。
 昭和11年。ジャイアンツとタイガース。ノーヒット・ノーランの記録がかかる最終回。背番号14の沢村栄治(池部)が残る3人を相手にする・・・あと一人。藤本監督(笠智衆)が「スキヤキを食おう」と選手をリラックスさせる。大記録を打ち立てても「次の日も出てくれ」と言われるほど労働環境が悪い時代だった。米井優子が来てくれれば必ず勝つ沢村。なんだか微笑ましい。
 昭和12年。入営。最後の試合はゆうこさんが来てくれても負けてしまう。そして右腕の負傷。千周生命を断たれたかとも思ったが、昭和14年に帰還して復帰。だけど闘志が失せて、観客にやじられることも多かった。結婚して優子も妊娠。また野球の勘を取り戻し、幸せいっぱいになるはずだった。しかし、二度めの徴兵・・・
 史実とはちょっと違うようだけど、戦争により野球という娯楽が失せてしまった悲しい内容。
(2008.6)

ブーメランのように 1976 フランス
東映洋画
COMME UN BOOMERANG
ストーリー  かつてギャングをやっていたが今は実業界で成功しているジャック。ある晩、息子エディがドラッグッパーティで誤って警官を撃ち殺してしまう。。。
監督 ジョゼ・ジョヴァンニ
出演 アラン・ドロン カルラ・グラヴィーナ シャルル・ヴァネル
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★★★ ★★★★ ★★★★ ★★★★
コメント  17歳という未成年の殺人事件を扱うとは、さすがフランス。現在の日本ではようやく未成年犯罪について問題にされてきているというのに。しかも、一人の殺人で刑期は15〜20年だし、アメリカと違い、弁護士の力も弱いようだ。
 息子エディは留置所において、父親にも犯罪歴があることを知る。マスコミもジャックの過去を暴く。彼を知る刑事や弁護士や予審判事も、かつてのギャングだったジャックに戻ってしまうことを恐れていた。「罪の利子」という言葉が重くのしかかってくる・・・過去は清算されていないと。やがて、善悪のバランスを保っていたジャックが息子を救いたい一心で閉ざされていた凶暴性を露にしていく・・・とても虚しい話だ。人の性善説を覆すかのようなプロットと、父と息子の愛情を見事に絡ませている。
 大胆でもあり、繊細でもあるエディ。今までになかった息子の内面を知るジャック。そして終盤の「やっちまったか・・・」という展開がとても良かった。気になるエンディング・・・どきどき。
(2004.5)

ふみ子の海 2007 日本
パンドラ=シネマ・ディスト
ストーリー  昭和初期、新潟県頚城郡。栄養不良がもとで失明したふみ子は8歳になったとき高田盲学校教師の高野りん(高松あい)に会い、学校の魅力を感じながらも母親のために按摩屋の奉公に出るのだった・・・
監督 近藤明男
出演 鈴木理子 高橋惠子 遠野凪子
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★★ ★★★★ ★★★★ ★★★★
コメント  ふみ子は海を「きれい」と言ってたけど、〆香姐さん演ずる遠野凪子は海を見ていなかった。
 なにしろ遠野凪子だ。弱者を助け、悪を挫くという気高さまで備え持つ芸者なのです。憎々しい遠藤賢一に対して時には色気で、時には軽業師のような身のこなしでやっつけてしまう。そのまま隠密同心として口上を語り出しそうな勢いさえあった。
 盲女性自立の先達者となった粟津キヨさんをモデルにした市川信夫の同名小説を映画化した作品。昭和初期、新潟県頚城郡。主人公ふみ子(鈴木理子)は栄養不良がもとで4歳で失明。母親(藤谷美紀)は心中を図ろうともしたが、ふみ子の言葉で目を覚ます。やがて盲学校に通わせるという話も舞い込んできたが、貧しさゆえに断念せざるを得ない。8歳になったとき、自ら母のために豪雪地帯・高田の按摩屋へ奉公にでるのだった・・・
 厳しいながらも盲人女性を一人前にする優しさをも秘めた師匠(高橋惠子)。頭のいいふみ子に対しては「腕が大事なんだ」と教え込む。ドスの利いた声。盲人ならではの仕草など、女優魂を見せられた思いだ。
 ヘレン・ケラーをモチーフにしたような点字に関するエピソードは心が洗われる。そういえば『奇跡の人』においても、感動を与えてくれたのは本人よりもサリバン先生だったりするのですが、主人公ふみ子の頑張りよりも周りの師匠、〆香姐さん、サダ、りん先生(高松あい)といった人々の優しさが泣かせてくれる。そしてヘレン・ケラーが来日・・・ううう。
 こういう展開になってくると、どうしてもアン・バンクロフトを思い出してしまう。アン・バンクロフト、アン・バンクロフトと呪文のように名前が脳内に溢れ返るため、何度も登場した滝壺薬師住職のお経を忘れてしまいました・・・途中までは覚えてたのになぁ・・・
(2008.2)



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