戻る》 《index

鞄を持った女 1961 イタリア
映配
LA RAGAZZA CON LA VALIGIA
ストーリー  クラブ歌手のアイーダは男に騙され置きざりにされる。男を捜しあてたが弟がうまく追い払った。その弟ロレンツォが彼女を好きになっていく。
監督 ヴァレリオ・ズルリーニ
出演 クラウディア・カルディナーレ ルチアーナ・アンジェリロ ジャック・ペラン
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★ ★★ ★★★ ★★★★ ★★★
コメント  男とドライブ中、我慢できなくなって茂みにておしっこしちゃうCC。兄弟の家は大邸宅。16歳の少年ロレンツォ(ペラン)は学校に行くんじゃなくて、神父の個人授業によって勉強している。大邸宅にはバスルームがいっぱい。その中でも黒い浴槽がアイーダのお気に入り。ブルジョワの象徴のように思えたのかもしれない。
 少年が年上の女性にかなわぬ想いをよせる映画は数多くあるが、ここでのCCは雰囲気に弱く誘われると断れないようなごく普通の性格。しかしCCから放たれるフェロモンはどんな男でもいちころなのだ。ホテルのレストランで少年とともに食事に誘われ中年男性とダンスを踊る。女を取られたような嫉妬心がピリピリ伝わってきました。かなりディカプリオの雰囲気にそっくりのジャック・ペランだ。
 だけど、視点が定まらない映画だ。ジャック・ペランに感情移入したまま、途中からはアイーダの視点になり、不運な女を強調する。クラブ歌手という設定なのに歌は全く歌わないのも残念なところ。CCのセクシーさもそれほど感じられなかった。

1961年カンヌ国際映画祭ベストセレクション
(2005.8)

カビリアの夜 1957 イタリア
Par=イタリアフィルム
LE NOTTI DI CABIRIA
ストーリー  娼婦カビリアは男にバッグを奪われ川で溺れるところを子供たちに助けられた。
監督 フェデリコ・フェリーニ
出演 ジュリエッタ・マシーナ フランソワ・ペリエ アメデオ・ナザーリ
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★★ ★★★★ ★★★★ ★★★★★ ★★★★★
コメント  大富豪のラッツォという客と夢のような一時も過ごした。娼婦に限らず、浮き沈みの激しい人生を歩む人間にとって、幸せと不幸の繰り返しなんてのはどこでも見られる。そんな彼女は飲み屋の見世物で催眠術をかけられた。舞台の上で恥ずかしながらも色々と暴露させられるが、オスカーという青年と出会って恋をする寸劇を演じさせられた。それを見た同じ名のオスカー・ドノフリオという実業家が彼女に運命的なものを感じ、2人はデートを重ねる。
 カビリアの過去はともかく、かなりの年増に見えるし、本当に純粋な心だけを感じ取ったオスカー。ノースリーブのセーラー服を着たカビリアにプロポーズをするところなんて感動的。しかし、あまりにも急展開されすぎの至福の時。絶対にハッピーエンドにはならないぞ!とじわりじわりと予感させる進み方がすごい。
 結局は冒頭と同じことを繰り返しているんだと気づき、湖畔の綺麗な夕陽を眺めながら「殺して」と泣き叫ぶカビリアの姿。プロポーズシーンの感動から一転して悲しみの涙が流れてくる。ちょっとだけ未来に向けて希望も感じるエンディングも素晴らしい。

1957年アカデミー賞外国語映画賞
1957年カンヌ国際映画祭女優賞、国際カトリック映画事務局賞
1958年英国アカデミー賞作品賞、男優賞、女優賞ノミネート
(2006.4)

KAFKA/迷宮の悪夢 1991 アメリカ
ヘラルド
KAFKA
ストーリー  保険局に勤務する、「変身」の作者カフカが行方不明になった友人を探していたが、溺死体で見つかる。最初は自殺と信じていたカフカであったが、爆破グループの一員であったことがわかり、徐々に警察などの権力を疑うようになり・・・
監督 スティーヴン・ソダーバーグ
出演 ジェレミー・アイアンズ テレサ・ラッセル アレック・ギネス
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★ ★★★★★ ★★★ ★★★
コメント  白黒作品にすることによって、すごく重量感があった。反政府組織のアジテートもよくわからないまま徐々に引きこまれるが・・・
 警察、城、勤務先にいる手先など、カフカ自身の頭の中か現実なのかが把握しづらくなる。革命を信じる反政府の爆弾グループに真実はあるのだが、彼が独自に動くにつれ訳がわからなくなるのだ。コミカルなキャラのおかげですっかり騙され、そう思ってるうちに突然カラー映像になる。ゴシックホラーかと思っていたのに・・・びっくり。
 マッド・サイエンティストであるムルナウ博士(イアン・ホルム)が脱個性の実験を繰り返し、世の中を画一化しようとしているのだが、脳みそをいじくりまわすシーンがグロかった。近代化された実験の城だけをカラーにしたことによって、カフカの妄想の本質が見え隠れするのだが、博士の意図もはっきりしないことから、やはり妄想の世界という枠を超えられないでいる。警察はどこまで絡んでいたのかわからないが、現実世界への諦めのような厭世観がずしりと後味を悪くさせる。

1991年インディペンデント・スピリット賞撮影賞
(2005.6)

カプリコン・1 1977 アメリカ
東宝東和
CAPRICORN ONE
ストーリー  初の有人火星探査船カプリコン1に打ち上げ直前トラブルが発生、3人の飛行士は国家的プロジェクトを失敗に終らせないため、無人のまま打ち上げられたロケットをよそに地上のスタジオで宇宙飛行の芝居を打つ事になる・・・
監督 ピーター・ハイアムズ
出演 エリオット・グールド ジェームズ・ブローリン カレン・ブラック
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★★ ★★★★ ★★★★★ ★★★★ ★★★★★
コメント  高校時代に映画館で観た。映画そのものよりも『未知との遭遇』の過剰なまでの予告編のほうが印象に残った・・・
 60年代から始まった米ソの宇宙競争。冷戦の別の面をも感じることができるし、世界のリーダーであり続けたい米国の尊厳。アポロ計画も行き着いたら、次第に人気がなくなっているところも興味深い。そして情報操作や捏造という真実の重さ。前年には『ネットワーク』という映画もあったし、マスメディアの情報操作に政府の陰謀も加わったという社会派要素が満載。
 観た当時には社会派映画の良さもわかってない頃だったけど、80年代に入って“飛行機は空を飛ばない”と信じてる人たちがいることや、反オカルト的な議論もあったし、90年以降にはミステリーサークルやネッシー写真は捏造だったと告白する人たちが現われて、なんだか自分の目で見た事象しか信じられない思い・・・そう感じなくても、殺されるんじゃないかと察した3人の宇宙飛行士たちの逃亡劇に興奮した記憶がある。
 アメリカ建国200周年で沸いた1976年。その偉大なるアメリカの祝賀ムードの翌年、言ってみれば反米的というか、アメリカの闇の部分を描いた映画にはさすがに賞なんてものはないんだな。
 そんな捏造説とその反論の対決も面白いけど、映画の中心は3人の宇宙飛行士の逃亡アクションと新聞記者(グールド)の熱意。数値の異常に気付いた友人のアパートへ行っても違う女性が住んでいたり、車のブレーキが利かなかったり、狙撃されたり・・・閉鎖された軍事施設で証拠をつかみ、農薬散布小型飛行機でヘリとの空中アクション。手に汗を握るシーンが満載だし、今のようにVFXを使ってないところが凄い。最後の合同葬儀で、ジェームズ・ブローリンとエリオット・グールドがスローモーションで走ってくるのが清々しい〜強欲だけどイキな農薬散布会社社長のテリー・サバラスもgood
(2008.7)

カポーティ 2005 アメリカ
SPE
CAPOTE
ストーリー  1959年、カンザスで起こった一家4人惨殺事件。これを題材に小説を書こうとした天才肌の小説家トルーマン・カポーティ。
監督 ベネット・ミラー
出演 フィリップ・シーモア・ホフマン キャサリン・キーナー クリフトン・コリンズ・Jr
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★★★ ★★★★ ★★★★★ ★★★★
コメント  途中ちょっとだけウトウトしてしまいましたが、94%は覚えていますよ!
 ニコラス・ケイジ主演映画『8mm』では、アダルトショップの店員マックス(ホアキン・フェニックス)が読んでいた「アナル秘書」のブックカバーの下にはカポーティの「冷血」が隠されていた。裏世界の犯罪者の愛読書なのかと先入観を持ってしまっていたので、この映画に登場する一家4人惨殺事件の犯人の1人ペリー(クリフトン・コリンズJr.)の姿に驚きを隠せませんでした。トルーマン・カポーティについての知識も全く持ち合わせていなかったので、『ティファニーで朝食を』の原作者だったことにも驚いてしまいました(無知ですみません・・・)。
 社交界でも饒舌、変人と見られるほどであるが天才的な小説家カポーティ。ゲイであることも相まって性格も読みづらい。しかし、さすがはアカデミー賞主演男優賞を獲得したフィリップ・シーモア・ホフマンがその難しい役作りを見事にこなしていました。1959年の凄惨な事件を知り、意欲的に取材に取り組むことになったのですが、犯人が捕まると、その心理を追求したくなり、長編ドキュメンタリー小説を書きたくなる。
 興味本位からスタートして、彼の生い立ちを知るにつれ徐々に共感を覚え、優秀な弁護士を紹介して控訴まで持ち込む。「冷血」というタイトルをも決めて、前編を発表したりもするが、犯人ペリーにのめり込むにつれ、小説のタイトルを彼に伝えられなくなってしまうのです。被害者の友人からも刑事からも日記を借り、真相を追究する姿勢は気迫に満ちたものでしたが、ペリーの日記だけはそれが裏目に出てしまったのかもしれません。
 事件当日の真相を知りたい。その一心で彼に心をぶつけるが、逆にペリーの方も親近感を覚え、接見で涙を流すほどに・・・恐ろしい事実を知ったときには「早く死刑執行されればいい」と考えも変わったのでしょう。その辺りは微妙な葛藤、ジレンマ。ホフマンとコリンズのやりとりが徐々に表情が変化、犯行当日の真相を聞きだす時点で一変するところが見ものなのです。だけど、カポーティが冷血なのかというとそうでもないような気がする・・・彼を救おうとしたけど、できなかったという自責の念をもこめた作品発表だったのだと思います(かなり推測)。
 面白いのは助手としてカポーティを手伝っていたネルが『アラバマ物語』を発表した席。彼は駄作だつぶやいていましたが、映画は名作。黒人青年を助ける熱血弁護士の話と、最終的に見放してしまったカポーティとのコントラストがとても皮肉なコントラストになっていました。

「名探偵登場」では出演 「悪魔をやっつけろ」や「終着駅」では脚本

2005年アカデミー賞主演男優賞
同作品賞、助演女優賞、監督賞、脚色賞ノミネート
2005年ゴールデングローブ賞男優賞
その他いっぱい
(2006.10)



SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送