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哀しみの街かど 1971 アメリカ
FOX
THE PANIC IN NEEDLE PARK
ストーリー  ニューヨークの街角。麻薬に溺れる若者たちの暗い青春。堕胎したばかりのヘレン(ウィン)はジャンキーのボビー(パチーノ)と知り合い、そのまま麻薬の世界に・・・
監督 ジェリー・シャッツバーグ
出演 アル・パチーノ キティ・ウィン アラン・ヴィント
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★ ★★ ★★★★ ★★★★ ★★★
コメント  ニードル・パークとは麻薬中毒患者のこと。ニューヨークのロケがそのままリアリティを描いている。アメリカン・ニューシネマの流れなんだろうけど、そこにはもう反戦やヒッピーの文化は何も見えない。ただ堕落したジャンキーの悲劇があるだけだ。アル・パチーノのショック症状は新人にしてはかなりの演技賞ものだ。
 盗みが失敗してボビーがムショに入ってる間に、ヘレンは売春してヤクを手に入れていた。出所したら田舎で暮らそうという彼女の意見にに最終的には応える形になるが、結局はヤク中毒に逆戻り。何度も裏切られ、刑務所にも戻り・・・物悲しい不毛の愛だけが残った。
 時系列通りに進み、途中経過をかなりカットしてあるのが、ジャンキーからみた散文調になっていて心地よい。ラストの出所シーンも唐突すぎるが、2人がまた同じ生活を繰り返すんだと想像させる。

1971年カンヌ国際映画祭コンペ、女優賞
(2005.5)

カナリア 2004 日本
シネカノン
ストーリー  オウム真理教事件をモチーフにした物語。ニルヴァーナ教団が壊滅し、児童相談所に引き取られた少年岩瀬光一と妹。しかし祖父が妹だけ引きとっていってしまった。彼は脱走し、妹を探す旅に出る・・・
監督 塩田明彦
出演 石田法嗣 谷村美月 西島秀俊
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★ ★★★ ★★★ ★★★★ ★★★
コメント  援助交際で金を稼ごうとしていた少女ユキと知り合い、二人で関西から東京へと旅に出る。途中で知り合った、レズっぽい2人の女性(りょう、つぐみ)。この2人がとても印象的。ボーっと眺めていた光一と由希の表情も最高だ。前半はロードムービーの基本を踏襲しながら、少年の閉ざされた心と、生きがいを見つけるために行動を起こす少女のやりとり。万引きは盗まれた痛みがやがて自分に振りかかるといった宗教的観念が抜けない光一。しかも夜になると御経を唱えたり、頭に触ると怒り出す習慣が抜け切らない。
 徐々に少年の心が変化していくかと思っていたが、マインドコントロールがどこか拭い落とせない。元信者たちと出会ったときにも、自分という存在を教えられる。親から生まれた子どもではあるが、アイデンティティは自ら作り上げなければならないこと。これには母、祖母と亡くしてしまった由希の方が切実な問題だった。もっと彼女が少年に対して人生を教えるような展開が欲しかったように思う。
 『害虫』のときのようにテンポがいいわけでなく、目の見えないおばあさんが鶴を折るシーンに代表されるようにじっくりと見せる手法が多かった。テーマもいいけど、視点がバラバラなのも気になるところで、実際、由希の心情に共感してしまう箇所が多かったかもしれない。ラストは衝撃的でもあるけど、ロードムービーの結末としてはもうちょっと・・・
(2005.8)

カニング・キラー 殺戮の沼 2007 アメリカ
劇場未公開
PRIMEVAL
ストーリー  ニューヨークのテレビ局報道部のティムはブルンジ共和国で人喰いワニ“グスタフ”を捕獲すべく取材することになった。しかし、現地はリトル・グスタフと呼ばれる支配者によって内戦状態・・・彼らは否応なく巻き込まれていくことに・・・
監督 マイケル・ケイトルマン
出演 ドミニク・パーセル ブルック・ラングトン オーランド・ジョーンズ
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★★★ ★★★ ★★★ ★★★★
コメント  『ジョーズ』のような捕獲ドキュメンタリーを撮る物語かと思ったら、『ホテル・ルワンダ』を彷彿させる社会派ホラーだった・・・
 これが実話を基にしているから驚きだ。ワニを生捕にするため、殺すような銃を使わず、発信機を打ち込み、頑丈な檻まで用意したスタッフ。撒き餌だって匂ってきそうなほど強烈なものだったのに、ワニだって賢い。CG満載なんだけど、終盤になるまで全貌を明かさないところがいい。
 恐る恐る行動するカメラマンのスティーヴン(ジョーンズ)。うっかりフツ族による虐殺シーンを撮影しちまったものだから、彼らの執拗な攻めに遭う。「世界にこの現状を知らせなきゃ」といった『ホテル・ルワンダ』そっくりのシチュエーション。ワニより人間のほうが怖いんだということがひしひしと伝わってくるのだ。残虐なワニが育ったのも、内戦や虐殺が続いたせいだというテーマ。かなり重い内容だった。
 アメリカに憧れる少年ジョジョ(ガブリエル・マレマ)というキャラクターもいいし、実は案内をしてくれたハリーが首謀者だったという、サムエルにも似た彼のキャラがいい。乾燥したアフリカの大地という印象もなく、むしろ荒れた天候と湿地帯のイメージが残る。だけど、スティーヴンに「アフリカは嫌いだ」と言わせる脚本には違和感が・・・
(2008.12)

彼女を信じないでください 2004 韓国
ハピネット・ピクチャーズ
TOO BEAUTIFUL TO LIE
ストーリー  詐欺罪で服役中だったヨンジュは得意のテクニックで仮釈放となったが、途中で知り合った男の指輪をスリから取り返したことから、男の実家で嫁さんとして自己紹介して・・・
監督 ペ・ヒョンジュン
出演 キム・ハヌル カン・ドンウォン ソン・ジェホ
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★★★ ★★★ ★★★★★ ★★★★
コメント  「嘘」は頭脳ゲームなんです。記憶力も瞬発力も持ち合わせてないので、完全にひっかかりそうです・・・
 キム・ハヌル、今まではそれほどいい女優だとは思わなかったけど、あの涙は本物ですよ。詐欺師の役なので、表情も豊か。嘘をつくときには見破ることは難しいけど、真実を喋るときには顔を赤らめるなんて可愛いじゃありませんか。認知症のおばあちゃんにご飯を食べさせるシーンでも良妻(?)ぶりを発揮するし、『氷雨』のセルフパロディのようなシーンでも楽しませてくれました。カン・ドンウォンも意外と好演。困った顔、泣きそうな顔、ダメダメぶりを発揮していました。特に鼻血(最近こだわってるかな・・・)を出すシーンが良かった!
 普通のラブコメだろうと、全く期待していなかったので、主演二人以外にもヒチョル(カン・ドンウォン)の実家の家族たちや近所のおばさんたちの集団笑撃パワーにまんまとやられてしまった。お笑い要素だけでなく、嘘発見ゲームや二人の馴初めエピソードの脚本の上手さが光ってました。唐辛子の名産地におけるMr.唐辛子コンテストや、家族と親戚が集まってのガーデンパーティなども面白い趣向ですし、かつての邦画ドタバタ喜劇とハリウッド流ラブコメを研究しているのではないかと思しき箇所もあったような・・・
 欲を言えば、田舎の風景は綺麗なのだけど、ちょっと飽きてくる。印象に残る美しい風景描写が欲しいところだ。しかし、今年の韓国ラブコメの中では一番の出来かもしれない。
(2005.9)

彼女を見ればわかること 1999 アメリカ
ギャガ
THINGS YOU CAN TELL JUST BY LOOKING AT HER
ストーリー  LA郊外に住む女性たちをオムニバス風に描く。それぞれ一見して幸せそうに見えるが、彼女たちの悩みは奥深い。
監督 ロドリゴ・ガルシア
出演 グレン・クローズ ホリー・ハンター キャシー・ベイカー
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★★ ★★★ ★★★★ ★★★★ ★★★
コメント ○キーナー医師の場合
 老母を看病する女医エレイン・キーナー(クローズ)。彼女の家にタロット占いをするクリスティーン(カリスタ・フロックハート)がやってくる。すべてを言い当てられるが、「人生の転機、夢がある」ことを告げるとその予言を聞きたくなかった。
○レベッカへの贈りもの
 銀行の支店長を務めるレベッカ(ハンター)は職場が禁煙なので外でタバコを吸っていた。そこへ汚らしい老婆がやってくる。シングルだが不倫中のレベッカ。妊娠が判明し堕胎の意志を告げるが、彼女は39歳。子供を産む最後のチャンスだと説得される。そして部下の妻子ある男性ロバートとも関係をもち、手術を受けることに・・・執刀はキーナー。手術はすぐに終わるが、もう子供はできないかもしれないと泣きじゃくり、ふらふら歩く。
○ローズのための誰か
 一人息子に愛情を注ぐ教師ローズ(ベイカー)はシングルマザー。息子が女友達と挨拶を交わしただけで気になってしまうのだ。隣に越してきた小人の男アルバートを車に乗せ家まで送る。軒先に可愛い鉢植えが置いてあったので、彼からのプレゼントだと思い、お礼をと思ったがドジを踏んでしまう・・・
○おやすみ、リリー、クリスティーン
 死期も近い病弱のレズ友達と暮らすクリスティ。
○キャシーを待つ恋
 盲目のキャロル(キャメロン・ディアス)。姉は刑事で死体を発見したばかり。キャシー(エイミー・ブレネマン)の恋人はレベッカの浮気相手。

 サンダンス映画祭で公開された作品らしい内容。刑事のエピソードが冒頭と最後に来るのでミステリーっぽい内容かと思えばそうでもない。アルバートもロバートも他のエピソードで繋がるし、なんとなくいい感じ。
(2006.12)



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