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消えた天使 2007 アメリカ
ムービーアイ
THE FLOCK
ストーリー  性犯罪登録者の監察を続けてきた公共安全局のエロル・バベッジは退職を間近に控え、後任となるアリスン・ラウリーの指導を任される。そんな中、女子大生ハリエットが行方不明になったとの一報が入る。家出の可能性も取り沙汰されたが、バベッジだけは自分が監視し続けている登録者の中に犯人がいると確信するが・・・
監督 アンドリュー・ラウ
出演 リチャード・ギア クレア・デインズ アヴリル・ラビーン
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★★ ★★★★ ★★★ ★★★
コメント  「怪物と戦う者は自らが怪物とならないように注意しなければならない」といった言葉が印象的でした。全米での性犯罪登録者は50万人以上だとか、1人の監察官が1000人の登録者を監視するとか、米国では2分に1人のペースで女性または児童が性的暴力を受けている、といった能書きそのものもショッキングなのであります。日本においても再犯率の高い性犯罪者の情報公開が議論されたことがありましたけど、そのマイナス面をも含めて問題提起といった点は評価できるように思います。
 主人公は公共安全局の監察官エロル・バベッジ(リチャード・ギア)。定年退職(?)を間近に控え、後任となる新人監察官アリスン・ラウリー(クレア・デインズ)がやってきて、しばらく同行することになったのだ。性犯罪の登録者たち(The Flock)と面接し、外見上は普通の人間と変わらないのに、内面には得体の知れない心が隠されていることを教えていく。その点では、ケイディ・ストリックランドやラッセル・サムズといった俳優は観客をも欺くほど羊の皮を被っているナイスキャスティング。
 18年も性犯罪者と対峙してきたせいか、“人間を信用しない”バベッジ。プロファイリングなんかも当てにはできず、老練刑事のように勘を働かせ、時には暴力や脅しまでして登録者たちに挑んでしまう。さらには黒覆面を被って闇討ちしたり・・・怪物と戦う者が怪物になりつつあったのです。「罪を憎んで人を憎まず」といった言葉とは無縁のようにも思えるバベッジ。これは「罪も憎むし、人も憎む」といったところでしょうか。
 ある女子大生が行方不明となる事件が起こり、バベッジだけが自分の担当する登録者の中に犯人がいると推理した。本来ならば警察の仕事であり、彼の行為は越権行為のような気もしてくるし、そのうち、早く警察を呼べよ!と手に汗握る終盤へともつれ込む。児童ポルノマニアや手足切断マニアとか、変態なシーン、グロいシーンもあるので、鑑賞する際にはある程度の覚悟が必要なのかも・・・特に切断器具にはゾッとさせられます・・・
(2007.9)

記憶の棘 2004 アメリカ
東芝エンタテイメント
BIRTH
ストーリー  10年前に科学者の夫ショーンを亡くしたアナは婚約披露パーティで、「ぼくはショーンだ」と名乗る少年に戸惑う。最初は誰も信じなかったが、2人しかしらない秘密などを語り、徐々に信じるようになる・・・
監督 ジョナサン・グレイザー
出演 ニコール・キッドマン キャメロン・ブライト ダニー・ヒューストン
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★★ ★★★ ★★★ ★★★★ ★★★
コメント  サンタはいない!
 少年ショーン(キャメロン・ブライト)は輪廻転生した夫なのか、はたまた精神を病んでいるだけなのか・・・微妙な終盤の展開のために場内の寒さだけが身に沁みる。冒頭のクララ(アン・ヘッシュ)の挙動不審な行動といい、「サンタはいない」という暗号のような言葉が気になって、短い台詞の応酬がそれを増幅してしまったからです。プチっと蜂の一刺しにも似たクララの言葉が少年の心を抉ってしまい、「記憶の棘」という邦題にも納得させられるのですが、意味は理解できていません。もしかするとアナ(ニコール・キッドマン)の記憶だったのかもしれません。
 感情を揺さぶるような大きな展開もないし、少年ショーンがアナの入浴中にひょっこり入ってくるシーンで観ている者を驚かせるという曖昧な演出。「アナが初めてだよ」などという台詞に胸キュン状態になるニコールの演技もさすがでした。『ナチョ・リブレ』では見逃したピーター・ストーメアも渋い演技でなかなかよかったです。
 最後には海岸でたわむれるニコールでしたが、このラストシーンはヨーロッパ映画か?などと感じてしまうほど映像にはこだわりがありました。しかし、それまでの映像は台詞と同様淡々としていたので、とってつけたようなアンバランスさ。亡き夫のことを忘れ去るために、少年のことも忘れるために、ふっ切れた心理描写だったのでしょうか、この後彼女はしっかりと現実を見つめて生きていけることでしょう。

2005年ゴールデングローブ賞女優賞ノミネート
(2006.11)

記憶のはばたき 2001 オーストラリア/アメリカ
ギャガ・コミュニケーションズ
TILL HUMAN VOICES WAKE US
ストーリー  精神分析医のサム・フランクスは15歳のときに好きな女の子を亡くしてしまった。父の死をきっかけに故郷に戻る際に、ルビーという謎めいた女性に出会うが。。。
監督 マイケル・ペトローニ
出演 ガイ・ピアース ヘレナ・ボナム=カーター ブルック・ハーマン
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★★ ★★★★★ ★★★★ ★★★★
コメント  幼なじみシルヴィは脚が悪い。金属のギプスをつけないと歩けないのだ。そんな彼女は詩を愛し、自然を愛し、サムとは言葉遊びをする清楚な少女。川の船着場、鳥の死骸、謎の老婆、昆虫、とノスタルジックな雰囲気だ。)
(2004.7)

祇園の姉妹(きょうだい) 1936 日本
大映
ストーリー  
監督 溝口健二
出演 山田五十鈴 梅村蓉子 久野和子
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★ ★★ ★★★★ ★★★★ ★★★
コメント  トーキーとなったばかりの頃の映画のため、音声が聞きづらいのですが、溝口作品の最高峰と誉れの高い映画だ。
 しかし何だろう。ストーリーとしては面白くもなんともないけど、細かな会話がすごく自然でリアルだ。金額なんかが多く登場してるけど、現在の価値に換算すると100万単位の金が動く祇園の世界だけあって、庶民感覚が通用しない。
 戦前の小津と比べると、動きや台詞に躍動感があるし、現在作られる映画の基礎として考えると歴史的な価値はあるのだろう。
 「芸子でっせ。ほんまのことばかり言うとられません」などと厳しい現実を目の当たりにしてしまったらやだなぁ。

キネマ旬報邦画ベストテン1位
(2006.12)



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