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奇談 キダン 2005 日本
ザナドゥ
ストーリー  1972年。民俗学を研究する佐伯里美は奇妙な夢を見るようになるが、それは次第に小学一年のときに東北の隠れキリシタンの里として知られる村へ預けられたことの記憶が甦る・・・
監督 小松隆志  原作:諸星大二郎
出演 藤澤恵麻 阿部寛 ちすん
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★★★ ★★ ★★
コメント  恐怖ものには必ず名を連ねる一瀬隆重プロデュースだ。
 渡戸村(わたらどむら)で神隠しにあった少女の記事を見つけるのだが、行方不明になった新吉君の写真を見ると意識を失ってしまう里美。やがて村を訪ねるが、かつて神隠しに遭った子が戻ってきたり、不気味なことばかり・・・村のそばのハナレには近親相姦ばかりで7歳程度の知能しか持たないというのもキーワード。
 サブリミナルのように挿入されるショットがすごくいいけど、途中からつまらなくなってしまう。あの青空が良かったのに。終盤、人の山となったCGもまぁまぁだが、キリスト教の伝説を描くってのは、やっぱり日本人には無理があるのかもしれない。
 んで、最後に阿部寛が行った世界はどこなんだ??
(2006.12)

鬼畜 1978 日本
松竹
ストーリー  印刷屋を営む竹下夫妻の元に二号である女がやってきて3人の子供を押し付けて蒸発する・・・
監督 野村芳太郎  原作:松本清張
出演 緒方拳 岩下志麻 小川真由美
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★★★ ★★★ ★★★★★ ★★★★
コメント  児童虐待問題はこの時代から注目すべきだった。妾(小川)との間にできた子だというが、別の男との間に出来た子かもしれなかった。大手印刷会社の台頭と自宅の火事によって経営も火の車。妾の手当てだって店の金を流用したにすぎない。
 最初に末っ子が栄養失調で死んでしまう。長女の美子は東京タワーに連れて行き置き去りにしてしまった。3番目に6歳になる長男を青酸カリで殺そうとするが上手くいかず、旅行に連れていく・・・また北陸だ。『ゼロの焦点』と同じく断崖絶壁。その前に訪れたのも東尋坊だった。
 夫婦に子供がいなかったのだから、跡取りにする道だって残されていたのに、当座のことばかり考えていた妻(岩下)。最近では『誰も知らない』で子供のほったらかしが問題となったが、自分のことしか考えない親が多すぎるのだろう。緒方拳は「父チャン」と呼ばれ、愛情は若干あったのに、妻との生活を選んでしまった。誰が一番の鬼畜だったのかと考えてみても、大人はみんな鬼畜だとしか答えられないような内容だ。
 印刷関係にいたこともあり、専門用語がポンポン飛び出したり、蟹江敬三が機械を扱う上手さには驚いた。しかし石版印刷なんて知らなかった・・・かなりのキーワードだ。子供の演技力の無さには残念だ。

1978年日本アカデミー賞主演男優賞、監督賞
1978年ブルーリボン賞主演男優賞、監督賞
(2006.3)

吉祥天女 2006 日本
CKエンタテインメント
ストーリー  昭和45年。麻井由似子(本仮屋)のクラスに5歳までこの町に住んでいたという名家の娘・叶小夜子(鈴木)が転校してきた。遠野家の兄弟、男たちはみな小夜子の魔性の魅力に翻弄され・・・
監督 及川中  原作:吉田秋生
出演 鈴木杏 本仮屋ユイカ 勝地涼
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★★ ★★ ★★★ ★★★ ★★★
コメント  遠野家の義兄弟アキラとリョウ。2人揃えばデビルマンに変身だ!
 その『デビルマン』といえば永井豪。永井豪といえば石川県出身。この映画も金沢ロケがふんだんに用意されていました。さらに、奇妙な符合として、『デビルマン』にも出演していた嶋田久作と小倉一郎が見られることにも吉祥天の呪いなのか、因縁めいたものを感じてしまいます。ついでに言えば、津田寛治は福井県出身、勝地涼の祖父さんは石川県だ。
 金沢及び、近郊のロケ地はロケ地マップ(http://kisshohtennyo.jp/)で参照できますが、有名すぎるくらいの観光スポットよりも、地元の人間でさえ知らない場所を選んだのがとてもよかった。ロケ地も廻って見たい・・・そういう思いにもかられてしまうロケ地マップ。全てを廻るのはかなり厳しいでしょう。
 舞台挨拶付きの上映。なぜか最前列のど真ん中の席。鈴木杏が目の前(3M以内)にいました。普通の女の子だ・・・しかし、なぜか魔性の目は映画と同様。さすがに目は合いませんでしたが、この杏ちゃんの目ヂカラに翻弄される男どもの気持ちもよくわかります。本編に入ると、巨大なスクリーンも眼前に現れるため、魔性の目ばかりを追っていると、金沢の風景を見逃してしまうのです。『舞妓haaaan!!!』と同じく、浅野川の梅の橋(舞妓では夢の橋でした)も出てきます。
 映画としては風景や能をメインとしているせいなのか、動きを楽しむよりは叶小夜子(鈴木)を中心とした心理描写を楽しむべき内容。ポイントとして、襲いかかる不良高校生を一網打尽に殴り倒すアクションシーンや、12年前の神社火災事件の謎めいた映像があり、静と動、そしてサスペンスを対照的に描いていたように思います。
 主演の鈴木杏はもちろん、勝地涼もとてもよかった。もっともポイントの高かった俳優は、謎めいた書生役の津田寛治。彼の演ずるキャラクターとしても、毒薬に絡んだ事件や小夜子との謎の関係が心地よく余韻として残りました。ただ、登場人物が多い割に軽い扱いになっていた市川実日子が残念でした。
(2007.6)

KIDS 2007 日本
東映
ストーリー  ある日、町にやってきたアサトはダイナー“PADADISE CITY”でタケオと知り合う。整備工場で働くタケオは傷害の前科を持ちケンカに明け暮れているが、アサトは内気な青年、しかも超能力が使えるのだ。人の傷を自分に移すことができる彼にも暗い過去があった・・・
監督 荻島達也
出演 小池徹平 玉木宏 栗山千秋
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★★ ★★★★ ★★★ ★★★★ ★★★★
コメント  乙一がいくら和製スティーヴン・キングと称されているからといって、冒頭から「スタンド・バイ・ミー」をかけるとは・・・
 冗談なのか、本当に和製スティーヴン・キングとして祭り上げたいのか理解しにくいところでしたが、最終的には男の友情を感じる作品になっていました。男2人と女1人が中心になってることや、栗山千秋が最初からずっとマスクをしているので、また薬剤師の役?と、最初は違う映画まで思い出してしまい、そのマスクの下が気になりつつ物語は進んでいきます。
 ある日荒んだ町にやってきたアサト(小池徹平)はタケオ(玉木宏)の目の前で超能力(=テレコキネシス)を使ってしまいます。それに興味を持ったタケオは不良に絡まれているアサトを助けた際、人の傷を自分に移す能力まで持ってることがわかる。物を動かすことが出来るんだから傷くらいお茶の子さいさいです。だけど、アサトは能力を悪いことに使おうとはしない・・・喧嘩に明け暮れているタケオだったが、なぜかピュアなアサトに惹かれていくのです。
 タケオも傷害で捕まったこともあったのですが、なんとアサトも母親を刺した罪により保護観察中。そして顔に傷を負ったシホとの関係が絶妙なタッチで描かれる。単純なプロットのようでもあり、親子の確執、そして復讐の連鎖など、考えさせられることが多いのです。また、顔の傷を治すことも簡単なのに、その治療がもたらす結果とか。全ては3人の友情に絡んでくる。なにしろ3人とも「初めて友だちができた」のですから・・・なかなか考え付かないです。
 クライマックスの交通事故のシーンはさすがに胸が熱くなってきて、火災が起こった瞬間にこちらまで息苦しくなってくるほど。なんだか『パッション』を思い起こすほどの痛々しさだったのです。そして、斉藤由紀の一言がきつい!グサっときました。なんだかアサトの心の傷が観客席まで移ってしまうような・・・ちくしょー、超能力使いやがったな・・・てな感じでした。最後はちょっと好きじゃなかった。もっとキングキングしてほしかったです。
(2008.2)

Kids Return キッズ・リターン 1996 日本
オフィス北野
ストーリー  いつもつるんでワルばかりしていたシンジとマサル。カツアゲした高校生に殴られてからボクシングに目覚める。
監督 北野武
出演 金子賢 安藤政信 森本レオ
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★★ ★★ ★★★ ★★★ ★★★
コメント  全然笑えない漫才の練習をする姿や、成人映画館になんとか入ろうとする様子がなかなか良かった。説明的な部分を一切排除。卒業式もなかったし、それぞれの道を進む経緯もはっきりしない。何となくわかる、すべて勝手に想像してくれ、勝手に感情移入してくれ・・・そんな投げやりなプロット。しかし、皆虚しい生き方。心理描写がさっぱりないのだ。
 変な営業の会社からタクシー運転手になった二人なんかは、一般的だからもっと描写してほしいところだ。漫才の彼らが一番まともそうに見えるところなんて、タケシの勝手な思い込みでしかない。ヤクザなんか出すなよ・・・

1996年日本アカデミー賞新人俳優賞
同音楽賞(久石譲)ノミネート
1996年ブルーリボン賞新人賞
(2005.10)

キッチン・ストーリー 2003 ノルウェー/スウェーデン
エスピーオー
SALMER FRA KJOKKENET
ストーリー  1950年代、スウェーデンの家庭科学研究所では独身男性を対象にした台所調査を行うことになった。調査対象になったのはノルウェーのイザック。
監督 ベント・ハーメル
出演 ヨアキム・カルメイヤー トーマス・ノールシュトーム ビョルン・フロベリー
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★★ ★★★ ★★★ ★★★ ★★★
コメント  1年間に主婦が歩く距離は前はコンゴまでだったのに今はイタリアまで・・・って。
 しかし、イザックは馬をもらえるからと調査対象となったのかぁ・・・最初に馬の人形が映ってましたけど、かなりずるいです(笑)
 北欧でもノルウェーとスウェーデンじゃ仲が悪いのかなぁ。戦争では傍観してただけのスウェーデンと非難してましたがな。
 被験者と喋っちゃいけないと言われていたのに、徐々に奇妙な友情のようなものを感じ取ったのだろうか。しかし、逆に調査されていたフォルケなんてのは笑えるなぁ・・・
(2006.6)

キトキト! 2006 日本
シネカノン
ストーリー  高岡市。夫を早くに亡くした斎藤智子は女手一つで子供二人を育てるが、姉はグレて男と駆け落ち、弟優介は高校中退し、東京に出てホストになった・・・
監督 吉田康弘
出演 石田卓也 平山あや 大竹しのぶ
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★★★ ★★★ ★★★★ ★★★★
コメント  犯人は船越英一郎だ!
 「キトキト」とは富山弁で“生きがいい”という意味なのですが、劇中にはこの言葉は登場しなかったように思います。それよりも金沢弁とも共通の「だら」という言葉が30回は登場していました。さすがに映画の方言はわかりやすかったのですが、むしろホスト用語がわかりづらかったです。『東京タワー』を観たばかりで、息子を想う母親の姿、それに息子や娘が育つのを生きがいにしている愛情たっぷりの内容に類似点はあるものの、またしても感涙でした。
 映画にはなぜか“玉”というキーワードが存在していました。主人公優介のお祖父ちゃんにあたる井川比佐志はパチンコ狂い。ちらりと映ったパチンコ屋は“金の玉”だったのです。そして母親智子(大竹しのぶ)は最終的には水商売を営むことになるけど、出来る職業は何でもこなすスーパー智子ちゃん。夫を早くに亡くして子供二人を育て上げる姿はまさしく“肝っ玉母ちゃん”だったのです。三つ目の玉は、智子の恋人佐川(光石研)が“ケン玉”という特技を持っていたこと。こうして三つの玉によるトライアングルができたと同時に、母親、娘(平山あや)、息子がそれぞれ水商売をやっていたというトライアングルも完成するのです。
 主人公の故郷である高岡市が“なーんつまらん町”ということや母親が勝手に進路を決めそうになったりする強引さに嫌気がさして、東京に憧れる。女の子に囲まれて単純に儲かるという理由でホストの道を選んでしまいましたが、母親が突如上京したときも驚く表情は見せるものの子供の自主性を尊重する。“生きた証し”を見つけるためには、職業も自分で見極め、何でもやってみればいいという考え方はまさしくリリー・フランキーと共通点がありました。
 “故郷は遠くにありて想うもの”と同様に、“母親も遠くにありて想うもの”なのかもしれません。生きているうちに親孝行せねば・・・と、またしても痛感するものの、近くにいるとなかなか行動にうつせない。こんな温かくなれる映画を作ったのは、本作が初監督であるという27歳の吉田康弘。全体的には荒削りながらも、脚本・演出ともに素晴らしかったです。
(2007.4)




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