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子ぎつねヘレン 2005 日本
松竹
ストーリー  カメラマンの母親を持つ太一は一人で北海道の森の動物診療所に預けられた。ある日、道路脇に子ぎつねを見つけ、飼うことになったのだが・・・
監督 河野圭太
出演 大沢たかお 小林涼子 深澤嵐
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★★ ★★★ ★★
コメント  サリバン君と連発されると、アン・バンクロフト(2005.6.6没)を思い出しました。
 ほふく前進ネタだけでも喜ぶことができるお子様なら満足できるでしょうけど、最初から大人の観客をバカにしたかのような脚本だったかもしれません。矢島親子(小林涼子が大沢たかおの娘なのかどうかも不明)がヘレンを発見した冒頭シーンからいや〜な予感がしたのです。いくら動体視力が優れていても、あの速度で車を走らせていてキツネが動いてないことを確認できるシークエンスにするには編集の荒さが出ていたのではないでしょうか。そして予感は的中しました・・・
 動物病院を知らない警官・阿部サダヲや謎の老婆・吉田日出子、伏線のように思わせておいて全く無意味な人物設定。少年と動物診療所の大沢たかおの関係にしたって、最後にわざとらしいサプライズを持ってくるにしては不自然すぎる初期設定。「お前か〜」という対面シーンがあるため観客はあれこれ想像するはずですが、この想像するという労力が報われないまま置いてけぼりにされそうになるのです。この原因は、幾分浮いているキャラの松雪泰子をストーリーの中に溶け込ませるには無理があったからでしょうけど・・・子ぎつねヘレンだけに注目してもらいたいのなら、無駄な人間ドラマを省いてドキュメンタリータッチに作ったほうが好感度が上がると思います。
 子ぎつねの糞を採取して研究室に送った直後のシーンでエキノコックスが発見されます。さすが北海道は郵便が届くのが早いとわかり、びっくりしました。さらに物語は進み、太一少年の学校生活なども映し出され、キタキツネの知識をさりげなく棒読みする同級生がいたりします。「あぁ、いい友達もいるんだぁ〜」と心を和ませてくれるのですが、前後の関係がハッキリしません。とにかく脇の登場人物が不自然すぎて可哀想になってきます・・・逆に、九官鳥や犬のロッシ(コッシではありません)の演技はとても良かったです。
 だからといってひどい映画か?と言われると、そうではなく、いい点もいっぱいありました。北海道の自然、特に草原のさざなみ映像は好きです。また、CGで描いたファンタジーっぽい映像はお子様にとっては情操教育となり、いいのではないでしょうか。そして、伏線が全くなさそうだったのに、太一が将来カメラマンになるのではないかと思わせるところは上手くできてました。さらに音楽はかなり素敵♪
 生命の尊さを子供に教えることはいいことですけど、それにしては苦痛と安楽死についてかなり説明がなされていました。難しいテーマだと思いますが、お子様たちはどのように捉えているんでしょう。「楽しかったに違いない」というのは人間のエゴのような気もするし・・・
(2006.3)

コキーユ−貝殻− 1998 日本
松竹
COQUILLE
ストーリー  同窓会で再会した男女。男には家族もあったが、東京から戻ってきたシングルマザーのバー・コキーユに通うようになった・・・
監督 中原俊
出演 小林薫 風吹ジュン 益岡徹
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★★★ ★★★★ ★★★★ ★★★★
コメント  同窓会の2次会。カラオケをバックにダンスする小林薫と風吹ジュン。耳元で囁くものの小林の右耳は子どもの頃から聴こえなかったのだ。昔話に花を咲かせ、コキーユという店の常連になった。30年前からずっと片想いしていた風吹。中学時代、剣道の部活帰りの小林に告白しようと待ち合わせ場所を伝えたのに、それは聴こえなかったのだ。
 折りしも東京営業所への転勤が決まっていた小林だったのだが、支社長を約束されていた直属上司が自殺未遂を図る。彼も東京への転勤を悩むようになったこともあって、現実を逃避するかのように懐かしい同級生にほのかな感情を抱くのだ。東京から故郷に帰ってきていた益岡と寝たことがあるという事実も彼を動かしてしまった・・・
 わたしの耳は貝の殻、海の響きを懐かしむ。「昔、実はあなたのことが好きだった」という言葉は、中年にとってはキュンとなる言葉。30歳前には絶対に共感し得なかったとも思えるくらいだ。
 中学のプレゼント交換のとき小林は貝殻を入れておいたのが風吹に当る。その貝殻が一生の思い出となり、店の名前もずっとコキーユ(フランス語の貝殻)になっていたこと。交通事故により亡くなり、墓参りをしに故郷に戻る小林。そこで彼女の娘に出会う。墓前には貝殻が供えられていて、遠い中学時代の思い出がいっきに膨れ上がる・・・

1999年度キネ旬ベストテン第10位
(2007.4)

黒衣の花嫁 1968 フランス/イタリア
UA
LA MARIEE ETAIT EN NOIR
ストーリー  次々と男を殺していく謎の美女ジュリー。それは最愛の男を失った女の復讐だったのだが・・・
監督 フランソワ・トリュフォー
出演 ジャンヌ・モロー ジャン=クロード・ブリアリ ミシェル・ブーケ
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★★ ★★★ ★★★ ★★★★ ★★★★
コメント  金持ちで女たらしのブリス氏がパーティ会場で高層階から突き落とされる。女のブーケを取ってくれと頼まれた直後のこと。白いブーケは空を羽ばたき続けるシーンが優雅で、フィルム・ノワールとは正反対な明るさを醸し出す。
 孤独な初老の紳士コラル氏はチケットの入った封筒を受け取りコンサート会場に誘われる。彼のアパートの自室で毒を飲まされ殺される。
 政治家モランは息子の教師と偽って近寄ってきたジュリー・コレールに閉じ込められ殺される。そこで回想シーン。5人の遊び仲間が猟銃を触っているうちに結婚式の花婿を誤って殺してしまったことを告白する。
 画家の男フェルギュスに対してはモデルとして近づくのだが、「ディアーヌ(狩りの女神)と呼んで」というジュリー。弓矢を放つ格好をさせられるが、なかなか屋を放てない。殺したときにはブリスの友人がどこかで見た顔だと気づく・・・そして逮捕、自白となったが動機を隠したままのジュリー。4人を殺すという目的は果たすが、一人だけ残っていたことがミソだった。中古車販売の詐欺で拘留されていた男が残っていたのだ。
 復讐に燃えていたジャンヌ・モローの怪しげな雰囲気がとてもよくて、絵に描かれたモデルが彼女そっくりだったことに鳥肌が立ってしまうほど。ストーリー展開には淡々としすぎて、プロットを追っているだけの印象もあるが、それはそれでなかなか面白い。『キル・ビル』なんかはこの映画が元になっているのかもしれません。
(2006.10)

極道の妻たち 1986 日本
東映
ストーリー  貧しい町工場を経営する父と暮らす池真琴(かたせ)は堂本組若頭の妻である姉・粟津環(岩下)から縁談を持ちかけられる。そんな折、組長が急死、跡目を引き継ぐことになるが、分裂も・・・
監督 五社英雄 原作:家田荘子
出演 岩下志麻 佐藤慶 世良公則
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★ ★★ ★★ ★★★ ★★
コメント  極道の妻たちが開くやもめ会。80年代のバブリーさも見受けられる。かたせ梨乃は20歳を過ぎても処女のホステス。芸能プロの社長だという杉田(世良公則)にも店で言い寄られていたが、リゾート地で偶然出会って、処女を奪われる・・・
 ヤクザの抗争もの映画だけど、肉親とか夫婦の絆みたいなものを描いたもの。「脱ぎそうで脱がない女優」だったかたせ梨乃が大胆に脱いでいることが新鮮だったけど、その他には見る価値もないような内容。
 最期、刺されて血まみれになってもかたせ梨乃のおっぱいを吸い続ける世良くんが印象的だ。

1987年日本アカデミー賞助演女優賞(かたせ梨乃)
(2007.1)

極道の妻たちII 1987 日本
東映
ストーリー  四代目の妻(十朱)が取り仕切ってる重宗組。関西新国際空港の建設の乱開発により町の勢力図が変化しつつあった。
監督 土橋亨
出演 十朱幸代 かたせ梨乃 木村一八
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★★ ★★★ ★★★ ★★★
コメント  いきなり地上げ屋によるアパートの取り壊しだ。極道の妻たちはのんきに海水浴。かたせ梨乃はヌードモデルとなっていた(ちなみにカメラマンは月亭八方だ)。
 前作とは全く関係ない青春映画にも似たヤクザ映画。柳沢慎吾がそう感じさせたのか、村上弘明が爽やかそうなヤクザだったためか、何だか最後には頑張るぞ〜!って気にさせる不思議な感覚・・・
 いかさま博打の男と別れた内縁の妻と娘、そして十朱の重宗組抗争の2本立てが男女関係で繋がる。むしろ男女関係の方にウェイトを占め、最後には娘の演技で泣けてしまうほど。子供をいっぱい使うのは反則技かもしれない。
(2007.1)

極道の妻たち 最後の戦い 1990 日本
東映
ストーリー  よーわからん。
監督 山下耕作
出演 岩下志麻 かたせ梨乃 津川雅彦
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★ ★★
コメント  シリーズ第一作と出演者が被っているけど、何を考えているのか全然繋がりがない。ストーリーを追うのもバカらしく、5億の値打ちがあるかたせ梨乃の体をなめまわすように鑑賞する津川雅彦のすけべ面が印象に残る。
 ストーリーは全く面白くないが、ちょっとしたヤクザネタが興味深い。バブルの頃なので、博打もサイコロなんかはせずゴルフで賭けをするとか、株にまで手を出しているとか・・・
 かたせ梨乃が早々と死んでしまうのは珍しく、ちょっと違うぞ!という意気込みも感じられたけど、岩下志麻がださくてしょうがない。こんなもん演技とは言わんだろ・・・

1990年日本アカデミー賞主演女優賞ノミネート
(2007.1)

地上より何処かで 1999 アメリカ
FOX
ANYWHERE BUT HERE
ストーリー  ちょっと変わった母アデルは14歳の娘アンを連れてウィスコンシン州の田舎からビバリーヒルズへ引っ越すことを思い立つ。
監督 ウェイン・ワン
出演 スーザン・サランドン ナタリー・ポートマン ショーン・ハトシー
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★★ ★★★ ★★★★ ★★★
コメント  2度目の父と再婚、そして母娘で引越し。自分は教師になり、娘にはハリウッドスターになってもらうという偉大な計画。「父親テッドはいい人だったのに・・」と母親の生き方に反発するアンだった。
 金も底をつき、夜逃げ同然で引っ越す二人。歯科医のジョシュに夢中になる母親にも呆れてしまったアンだった。なにかと故郷にも連絡をとってしまったり、いとこのベニーも死んでしまったり、悲しいこともあった。それに給料が安いと言って、さっと教師を辞めてしまったり・・・
 17歳になったアンは母親の元を抜け出したくて東部のボストン大学を内緒で受ける。奨学金だけでは金が足りない・・・それを知ったママは二人の思い出でもある金色のベンツを売ってしまうのだ。
 人生の転機ともいうべき場面で警官に違反キップを切られそうになる。2回とも母娘ケンカや悩みをぶつけることで、いいアドバイスをもらったりする。サランドンの破天荒ぶりと、純情なポートマンがとてもいい。

1999年ゴールデングローブ賞助演女優賞(ポートマン)ノミネート
(2007.3)

こころ 1955 日本
日活
ストーリー  夫婦喧嘩をしたばかりの野淵先生に会った私日置。自分を寂しいという先生に親友が変死したからだと奥さんから聞く。
監督 市川昆  原作:夏目漱石
出演 森雅之 新珠三千代 三橋達也
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★ ★★★★ ★★★ ★★★★ ★★★★
コメント  読んだのは小学生の頃だった。先生の家に通う私ってのは奥さんに魅力があったから?などとこの映画を観て思えるようになった。不倫など、かなり現代的な夫婦の問題も垣間見えるようで、先見の明があったのだろうか・・・映像だけ見ていると、そのうえに師弟愛を超えた同性愛みたいなものもあるような気がする。
 「恋愛は罪悪」「親の財産は生前に整理しておけ」と先生は言う。徐々に先生の過去が明かされていくが、中盤からは親友梶との回想シーンが織り交ぜられる。そして明治天皇崩御と乃木将軍の死の報道により野淵は明治の精神に殉死するなどと悲観的になる。
 過去の話は有名すぎますが、抜け駆けして求婚(しかも母親に)して罪の意識に苛まれる心の葛藤。梶の自殺というショッキングな展開。梶が仏教を勉強していた大学生ということもあったけど、辛気臭さは上手い具合に表現されてました。先に静さんに告白されてしまうんじゃないかという焦りや、断崖絶壁の上で「突き落としたらどうなる?」などと恐ろしい冗談を言うシーンなど。「人の死を何も考えちゃいない」という先生の思想にはこんな過去の出来事があったからだということがよくわかります。
 「妻の顔を見るたびに梶のことを思い出す」「自分が生きているだけで妻を不幸にする」などと日置への手紙に綴った内容はほんと厭世主義の極意ですわ。で、なんで日置が奥さんにあやまらなければならないんじゃ〜
(2007.1)






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