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暗いところで待ち合わせ 2006 日本
ファントム・フィルム
ストーリー  父親を亡くし一人暮らしをすることになった盲目のミチル。ある日、家から見える駅で転落事故が起こり、その重要参考人とされたアキヒロがこっそり家に住み着いてしまうのだった・・・
監督 天願大介
出演 田中麗奈 チェン・ボーリン 宮地真緒
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★★★ ★★★★ ★★★★ ★★★★
コメント  音を立てちゃダメだ!シーンと静まり返った場内でお腹の鳴る音が響き渡る・・・
 まるで背後霊のように盲目のミチル(田中麗奈)の家に忍び込み、そのまま居座ってしまった男大石アキヒロ(チェン・ボーリン)。まるでギドク監督の『うつせみ』状態だ。アキヒロが駅のホームから彼女が窓辺で佇む姿をジッと見ていたことから、もしやストーカー行為に走るのではないかと想像してたのに、展開は全く違ったものになりました。音を立てずに部屋の片隅を自分のテリトリーとして、彼女の生活を眺めているアキヒロ。風呂だって覗かない、寝室だって覗かない、かなりストイックな青年だったのです。
 駅のホームの転落事故。死んでしまったのは松永(佐藤浩市)だ。ハーフであるアキヒロと同じ職場で、彼によっていじめられた経緯もあることから、アキヒロが重要参考人と報道される。もしや殺人犯?と緊張感が生まれる中で、ミチルは何も知らないで生活を続ける。音を立てられない、匂いも出せない、トイレだってペットボトルという窮屈な逃亡生活。いつまで居座るつもりなんだと疑問を持ちつつも、何も悪いことをしそうにない彼にも感情移入してしまう。よく観察すると、佐藤浩市の亡霊がアキヒロに取り憑いたんじゃないかと思うほど、唇、鼻、眉毛が似てきているのです。ひょっとすると佐藤浩市の隠し子なんじゃないかと疑ってしまいました。
 ミチルの親友のカズエ(宮地真緒)もいい存在だ。一人暮らしを決めたのなら、一人で外を歩く練習しなければならないと突き放すところもあり、真に彼女の生活のことを考えてくれる。そしてそれ以上に優しさを感じさせるのが日本語もたどたどしいアキヒロの存在。見つかって食事をご馳走になったんだから「礼くらい言えよ」とは感じるのですが、何しろ自分の居場所がないと信じている男ですから、黙って去ることも考えていたのでしょう。
 外国人や障害者に対する世間の冷たさや、『武士の一分』のように親戚の態度をもチクリと描きつつも、人間の温かさを感じる映画でしたけど、これはサスペンスなんだということを忘れてしまいそうになります。そのおかげで井川遥の超人的ダッシュや狂気に満ちた表情にインパクトがありました。
(2007.2)

クリムト 2006 オーストリア/フランス/ドイツ/イギリス
メディアスーツ
KLIMT
ストーリー  1900年のパリ博覧会ではオーストリアで不評だったクリムトのスキャンダラスな絵画が絶賛される。会場でレアという女性に魅了された彼は母国へ帰って、やがて現実とかけ離れていく・・・
監督 ラウル・ルイス
出演 ジョン・マルコヴィッチ ヴェロニカ・フェレ サフロン・バロウズ
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★★ ★★★★ ★★★ ★★★
コメント  眠気を感じたらリレミトを唱えて会場を脱出すればいい・・・
 愛弟子シーレ(ニコライ・キンスキー)が病床にあったクリムト(マルコヴィッチ)を見舞うシーンから始まるこの作品。シーレのおでこのテカり具合が東国原氏を想起させ、すでに夢心地にさせてくれる。病院内もなにやら異常な世界。これはもしやクリムトの幻想によって創り出された世界の残骸なのかと思わせるほどで、第一次大戦の終焉がそのまま絵画における美と栄光の終わりであるかのようだった。
 ウイーンとパリの文化の違い。詳細には描かれてなかったのですが、『マリー・アントワネット』でもそうであったように、封建的で厳粛なイメージのオーストリアと自由の国フランスの違いがそのまま残されていたのだろうか。パリではメリエスによる映画上映などもあったりして、映画ファンとしては興味深いところでしたが、そのフィルムにはクリムトのそっくりさんとレア(サフロン・バロウズ)が登場する。映画ではそのレアに心を奪われてしまったクリムトが中心となるのです。
 美と醜悪の違いを論じ合う批評家たち。そして本物と偽物の違いに悩まされるクリムト。その違いは鏡やマジックミラーという道具によって入れ替わり、あくまでも本物を追求したいという彼の心が揺れるのです。しかし、絵を描くこと自体が偽物を作り出すことに他ならないので、描き続けることなんかじゃ満足できないはず。そう考えると、彼の作品には“死の香り”がするという批評も間違ってはいないように思われるのです。映画はクリムトの伝記としての流れよりも、こうした彼の心象描写が前面に出ていたような気がします。
 梅毒に冒されていたクリムト。顕微鏡で梅毒菌を見て「美しい」とまで言ったクリムト。もはや現実と虚構の世界の区別がつかなくなっていたのだろう。何度も登場する書記官は最初から幻影だったのかもしれないし、レアという女性も最初から存在しなかったのかもしれない。と考えると、クリムトは最初から偽物を追いかけ、鏡に映る虚構の女性を描き続けていたのかもしれない。
(2007.2)

狂い咲きサンダーロード 1980 日本
東宝
ストーリー  暴走族“魔墓狼死"のリーダー健が解散を宣言するが、特攻隊長の仁は後を引き継ぐと暴れる。反発したメンバーとの対立、8年前の創設者剛の右翼との対立、仁は片足、片腕になっても強力な武器を得て、全てを捨てて立ち向かう・・・
監督 石井聰亙
出演 山田辰夫 南条弘二 小林稔侍
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★ ★★★★ ★★★★ ★★★
コメント  パワーで押し切られた。低予算でただただここまで突っ張れるのも凄い。石井聰亙監督の初期の傑作カルトムービー。
 彼らのアジトで君が代を歌いながら登場する小林稔侍も凄い。「なに変な歌うたってんだよ!」とつっぱる山田辰夫も凄い。権力とか、強い者にとにかく逆らいたい、アナーキーなところも面白いし、なんでもかんでもコケにするところもいい。小林稔侍のゲイシーンにも笑ってしまう・・・
 設定は近未来の架空都市サンダーロード。若い頃に観ていれば違っていたかもなぁ・・・
カナザワ映画祭青いオトコまつり(2007.9)

クルーレス 1995 アメリカ
Par=UIP
CLUELESS
ストーリー  弁護士の父を持つセンスのいいシェール。血の繋がらない義兄ジョシュがしばらく住むことになった。
監督 エイミー・ヘッカリング
出演 アリシア・イルバーストーン ステイシー・ダッシュ ブリタニー・マーフィ
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★★ ★★ ★★★ ★★ ★★
コメント  仲良し3人組。16歳という若さもあって、3人ともバージン。シェールはセンスのいい男をじっくり選ぶ才女タイプだから、簡単には気を許さない。ポップで遊び人風なのになかなかしっかりした感覚なのだ。
 学校の47歳独身男性教師と女性教師をくっつけようとするエピソードから始まるが、最後も彼らの結婚式で終わるという軽いタッチのラブコメ。ずっとアリシアのナレーションによる展開なので、彼女に感情移入しなければつらい。笑えるネタもごく日常のものだったりして、なんだか拍子抜け。それでもパーティ帰りに好きでもない男に迫られて、車を降りたらすかさず強盗にケータイとバッグを盗られるところはビックリ。だけど、次には何もなかったかのようにストーリーが続く・・・
 それでも選曲が良かったので曲だけでも楽しめるかもしれない・・・

1995年全米批評家協会賞脚本賞(ヘッカリング)
1996年MTVムービーアワード 女優賞、魅惑の女優賞
(2006.12)

クレージー作戦 くたばれ!無責任 1963 日本
東宝
ストーリー  鶴亀製菓の田中(植木等)は無気力なダメ社員だったが、開発中のハッスルコーラの実験台とされる。
監督 坪島孝
出演 クレージーキャッツ 浜美枝 藤山陽子
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★★★ ★★★ ★★★ ★★★★
コメント  序盤、ブルーを基調としたモノトーン映像によって、ブルーなき分、やる気のなさを表現してしている。会社で一番無気力な社員は誰かね?と専務に聞かれ、選ばれた庶務課の植木等。飲んで数十秒後にカラー映像に変わり、モーレツ社員に変身する。ハッスル、ハッスル、ハッスル、ホイ!と・・・同僚の女子社員にプールに誘われ、不良どもに囲まれるが、いきなりハッスルぶりがダウン・・・効果てきめんのハッスルコーラだったのだ。
 しかし、興奮剤入りの製品では清涼飲料水としての販売は認められず、子会社を作って販売することになったが、選ばれたメンバーはクレイジーキャッツの7人。実は赤字を抱えたために最初からつぶすために設立した子会社だったのだ。
 効かない催眠術ばかりする谷啓や銀行頭取の東野英治郎など面白いキャラがいっぱい。「ホンダラ行進曲」「ハッスルホイ」など元気のでる曲がいっぱい。植木等もかなり真面目にその子会社を買い取り成功させようと努力するのだが、発売された清涼飲料水にはエキスが抜いてあるという事実を知らされる。本社に戻ることができ昇進することも約束されたが、彼らには自信がつき、無責任な会社に見切りをつけるところが潔くてスカッとする。
 無責任男というイメージとは全く逆のシリーズではあるが、とてもいい。
(2007.4)

黒いドレスの女 1987 日本
東宝
ストーリー  バーのマスター田村(永島)の元に義理の妹の知人と名乗る女の子朝吹冽子(原田)がやってきて2階に住まわすことになった。拳銃を持っていた彼女に不審を抱き・・・
監督 崔洋一 原作:北方謙三
出演 原田知世 永島敏行 菅原文太
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★ ★★★ ★★
コメント  うわ〜〜つまらん。角川アイドル映画もそろそろ人気薄になってきた頃、そして日本映画が徐々にダメになってきた頃。ヤクザ映画なのかアイドル映画なのかの区別もつかない中途半端さや、間の取り方が絶妙に悪いこの映画。拳銃を持つことの恐ろしさや人を殺すことに躊躇すること。特に藤真利子の演技がダメダメ・・・・
 むしろ原田知世はアイドルの面影を残しているので、なかなかいいのです。菅原文太もそれほどの演技ではないし、永島敏行が1人で頑張ってる。それよりもレイプしようとする橋爪功の表情が恐ろしくて印象的だ。
(2006.12)

黒い眼のオペラ 2006 台湾/フランス/オーストリア
プレノン・アッシュ
黒眼圏 I DON'T WANT TO SLEEP ALONE
ストーリー  マレーシアのクアラルンプール。賭博に手を出したシャオカンは袋叩きに遭い、若者たちに助けられる。青年ラワンの手厚い看護により、徐々に回復するシャオカン。一方、同じアパートのシャンチーは喫茶店の女主人の息子の看護をさせらたり大忙し・・・シャオカンに逢った日から彼に惹かれていくのだが・・・
監督 ツァイ・ミンリャン
出演 リー・カンション チェン・シャンチー ノーマン・アトン
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★★★ ★★★ ★★
コメント  ツァイ・ミンリャンの映画力は健在。ラストには幻想的なシーンもゆったりと流れ、どっぷりと映像美に惹かれるのだが・・・
 登場人物の顔のアップがほとんどない前半。シャオカン(カンション)なのかどうかもわからない人物。まだそんなに元気じゃなかろうに・・・などと、最初のチンピラかと勘違いしてしまった。あらすじを先に読んでたらわかったろうに、映像だけでは無理じゃないかと感じます。
 ロングショットの多用と、長いワンカットはヨーロッパ的で、情感たっぷりなのです。傷ついたシャオカンを手厚く看護する若者。この青年ラワン(アトン)はかなり男前で、行動から察するとゲイっぽい気もしたのですが、どこまで愛情を注いでいたのかは不明。とにかくずっと一つのマットレスの上に蚊帳を降ろし、二人で寝て過ごしていたのだから、直接的ではないにしろ、そのケはあったはず。
 嫉妬心だったのか、単にそのベッドを汚されたと感じたからなのか、若い女性の存在が障害となってしまう。エロチックなシーンも満載だし、強制された性と自由な性とが対照的でもありました。ただ、引越しとか、毛布に包んで人を運ぶシーンとか、わけのわからないコントラストもあったりして、頭をひねってしまいます。
 台詞も少ないし、説明調の部分もほとんどない。煙霧という気象現象が幻想的ならよかったのに、単なる光化学スモッグのような公害でしかなかったのも痛い。廃墟と化したビルの水溜まりにしても、洪水によるものなのか、水道管が破裂したものなのかもわからないし・・・
(2007.6)

黒の報告書 1964 日本
大映
ストーリー  柿本社長が殺された。凶器もあるし証拠品もあるので簡単に解決できると思われた・・・黒シリーズ第二弾
監督 増村保造
出演 宇津井健 叶順子 高松英郎
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★ ★★★ ★★★ ★★★ ★★★
コメント  青銅の壺が凶器。犯行は流しではなく身内によるものだと断定。愛人関係にある職員や、取引先、容疑者が次々と取り調べられる。人見という男に絞り、やがて起訴に持ち込むのだが、山室という弁護士が只者ではない。
 証人の発言に翻弄される検事の宇津井健。対して冷静すぎるほどの弁護人。その弁護士もまた海千山千でやり手なのだ。そして、珍しく公判で負ける検事の姿。正義は必ずしも勝つものではないと虚しくもなってくる。
 裁判までの過程がいまいちの描写なのでハマれなかったが、これがもっと現実的であれば凄くいい映画になったのでしょう。
(2007.2)

クローズド・ノート 2007 日本
東宝
ストーリー  女子大生香恵は引越し先で前の住人の日記を見つける。バイト先の万年筆店ではイラストレーターの石飛リュウと出会いほのかな想いをよせるようになる一方、見つけたノートにのめりこんでいく・・・
監督 行定勲  原作:雫井脩介
出演 沢尻エリカ 伊勢谷友介 竹内結子
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★★★ ★★★ ★★★ ★★★★ ★★★★
コメント  マンドリンしながらバイトしてまんねん。
 教育系の大学、音楽系クラブ、それだけで懐かしさいっぱい。花束のエピソードなどは「みんなこんな風に頼んでいたのか・・・」と20年前の謎を解明したような思いです。さすがに万年筆は使ってなかったのですが、いかに上手くペン先を切って五線譜用万年筆を作ることができるかと話題になっていたことまで思い出します。そして、『太陽の子』の灰谷健次郎。真面目に勉強してなかったので作者の名前しか覚えてません・・・
 他人の日記を読んでしまうという不謹慎な展開だと思ってたのですが、日記の持ち主が新米小学校教師であることや、ボルトー色の万年筆にも興味を覚えた香恵だったのでしょうがないことだったのでしょう。留学してしまう友人(サエコ)と浮気性の彼氏(田中哲司)の関係は物語の中ではつまらないところですが、彼女が「日記を読んじゃいけない」と嗜めたり、花束のエピソードに繋がる隠し味的な存在だったし、時間は長かったけどかなり練られた構成のように思います。
 現代の女子大生と、1年前の女性教師というタイムラグを感じさせながら同時進行するストーリー。“意外な結末”などという言葉が全く当てはまらないほど、推理可能な展開でもあります(親切すぎるほどの伏線のため)。しかし、読めるはずなのに泣かされる・・・沢尻エリカの涙、それに伊勢谷友介の涙もそうだったのですが、小学生の君代ちゃん(山口愛)にまんまとやられてしまったのです。
 生意気な態度でなにかとたたかれる沢尻エリカ。せっかく作ったウズラの卵入りミートボールを食べてもらえないシーン、「仕事のため定期演奏会に行けなかった」という台詞を聞いて喜ぶ表情、「わたしじゃだめですか?!」と訴えるシーン、これらがお気に入りです。そしてYUIが歌うイメージソングの『LOVE&TRUTH』も最高です。切ないけど爽やかで、どんなにつまづいても胸を叩いて自信を持って生きていける、前向きな終わり方もよかった。
(2007.9)




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