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未来世紀ブラジル 1985 イギリス/アメリカ
FOX
BRAZIL
ストーリー  近未来、一匹のハエによってコンピューターが誤作動し、テロリストと善良な市民を間違え誤認逮捕してしまう。情報省記録部のサムは後始末のためその未亡人宅へ向かうが、夢の中に出てくる女性を見つけ独自に調査を始める。。。
監督 テリー・ギリアム
出演 ジョナサン・プライス キム・グライスト ロバート・デ・ニーロ
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★★★★ ★★★★ ★★★★ ★★★★
コメント  情報管理社会への徹底的な風刺ぶりが心地よかった。製作年から考えても、現在の住基ネット等の危険性を予測したような内容だ。テロリストについては目的も明らかにしていないため時代を感じさせるが、現在でも思想は違うが頻発していることを考慮すると未来を見事に予測している脚本には脱帽せざるを得ない。笑わせる小ネタや署名が大好きな役所体質、未来のコンピューターの描写には満足できました。特にディスプレイだけがかなり未来的で、キーボードやプリンターが前時代的である点!
 夢の中の世界については、発想はいいのだが単なるSFという領域を越えていないのが残念だ。しかし、大魔人のような鎧男や役人のイメージがギリアムなりの比喩になっていて面白い。サムが逮捕されてからめまぐるしく場面が変化してつまらなくさせてはいるものの、衝撃のラストで大いに満足できました。
 欲を言えば、デ・ニーロにもっと活躍してほしかったですね。

1985年アカデミー賞脚本賞、美術監督賞ノミネート
(2004.3)

未来は今 1994 アメリカ
Uni
THE HUDSUCKER PROXY
ストーリー  1958年大晦日のNY。一人の社長ノーヴィル・バーンズが飛び降り自殺を図ろうとしていた。少し前、前社長ハッドサッカーが飛び降り自殺をし、株を暴落させるためバカ社長が必要だったのだ。
監督 ジョエル・コーエン 製作:イーサン・コーエン
出演 ティム・ロビンス ジェニファー・ジェイソン・リー ポール・ニューマン
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★★ ★★★ ★★★ ★★★★ ★★★
コメント 【ネタバレ全開】
 “The Future is Now”という会社。とにかく大企業。地下の郵便係だけでも何十人と働いている。何の会社かさっぱりわからないけれど、ノーヴィルのアイデアであるフラフープが爆発的に売れてしまう。
 しかし、エレベーター・ボーイをくびにしたことで、アイデア盗用疑惑が持ちあがる。登りつめるのも超特急。落ちるのも超特急。巨大企業の陰謀や、運命のイタズラのような世界をコミカルに描いてある。しかし、ラストはファンタジー。大時計の番人である老人モーゼの存在が気になっていたけど、こういう使われ方をしていたのね・・・自殺しても天国へ行ったというハドサッカー前社長(ジョン・グッドマン)も。キリスト教文化ではなく、ユダヤ資本がウォール街を動かしていたことも皮肉ってるのかもしれないなぁ。
 折れ曲がるストローやフリスビーという大きな発明(すべて単純なものばかり)が登場するので、非常にわかりやすかったけど、ファンタジーで帰結する手段はどうも肌に合わない。
(2005.6)

未来への伝言 1990 日本/ソ連
仕事=モスフィルム映画
ストーリー  息子が小児マヒになりソ連へ向かう佐川圭子。日本の子供たちのためにワクチンを分けてもらうが税関で没収される。厚生省の審査も待てず、小児マヒの子供を持つ親たちによって輸入会社を作り・・・
監督 アレクサンドラ・ミッタ
出演 栗原小巻 久米明 内藤武敏
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★ ★★★ ★★★ ★★★ ★★★
コメント  昭和50年代に蔓延した小児マヒ。ソ連で開発された生ワクチンは他の欧米諸国では承認されなかった。生ワクチンの治療はソ連へ行くしかなかった・・・
 ドキュメンタリータッチの撮影。所々に実際の小児病棟の映像を織り交ぜ、リアリティを増している。ソ連のグーセフ医者も様々な問題が起こり、実験用のサルを使えない。しょうがないので自らの体で実験をする医者。厚生省と薬業界ののんびりした展開。ワクチンを2回飲ませたために吐き出す映像をテレビで流された。
 なんとか空輸で生ワクチンを運び込むことができたのに、東京は台風の中。必死の思いでワクチンを守るパイロットと医者・・・
 1960年7月にようやく日本でも認められ3週間後にポリオ伝染病がなくなった。病気と闘うためには法律を破ることも必要なときがある。ドラマ性を排除した記録映画にするとか、ソ連側のドラマをもっと少なくするとかしたほうがよかったような気がする。
 しかし、今、小児マヒの恐怖がなくなったのは、こうした歴史があったからこそ。しっかりと記憶しておかねばならない。
(2006.3)

未来惑星ザルドス 1974 イギリス
FOX
ZARDOZ
ストーリー  未来社会。巨大岩石に乗ってボルテックスを調べるためにやってきたゼッド。
監督 ジョン・ブアマン
出演 ショーン・コネリー シャーロット・ランプリング サラ・ケステルマン
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★★ ★★★ ★★★★ ★★★ ★★★★
コメント  巨大な顔の岩石がすごいインパクトを持っていた。アイルランドあたりの自然に見事に解けこんでしまっている。
 獣人を殺し続けてきたゼッド(コネリー)はボルテックスでは「死ぬことのできる人間」として重宝がられる。管理された未来人は自ら死を選ぶことすらできない。額にクリスタルを植え付けられて、互いに連絡を取り合ってるほど支配者層に管理されているのだ。
 実は長老たちは科学者であったとか、ゼッドが読まされていた本が「オズの魔法使い」であったり、結構斬新なSFとなっていた。それでも面白いのはランブリングが生殖について講義するところだったり、胸毛だらけのコネリーが花嫁に変装する場面だったりする。神なんて、結局支配者層が勝手に創りあげたものであったり、人間の記憶を消して自分たちの身の保全に力を注いでいたりと、現代社会の風刺にも繋がっている。
 中学生の頃に公開されたけど、当時観ていたらかなり興奮したに違いないエロチックシーン。勿論ランプリングの薄い衣装とか、最終的にはチラリと見せる胸。ストーリーは最後には破綻しているような感じだが、サイケデリックSFとして印象に残る映画でもある。

1974年英国アカデミー賞撮影賞ノミネート
(2006.3)

ミラクル/奇蹟 1989 香港
東宝東和
MIRACLE  MR. CANTON & LADY ROSE
ストーリー  ひょんなことからヤクザのボスの後継者にされてしまったコオ。
監督 ジャッキー・チェン
出演 ジャッキー・チェン アニタ・ムイ グロリア・イップ
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★ ★★★ ★★★ ★★
コメント  新しいボスのジャッキー・チェンは「暴力はやめよう、不正な取引はやめよう」と演説してしまう。ホー警部に内通者になってくれと協力を要請されるが、あきらめる。そんな折、ライバルヤクザのタイガーとの乱闘騒ぎ。運良く警察に救われた・・・
 幸せのバラを売るばあさんを助けるために苦労するが、これでよかったんだろうか。ジャッキーのアクションも少ないし、コメディとしては長すぎるし、かなり退屈になった・・・
(2006.4)

ミラノの奇蹟 1951 イタリア
イタリアフィルム=松竹洋画部
MIRACOLO A MILANO
ストーリー  キャベツ畑で拾われた少年トト。育ての親ロロッタおばさんが死んでからは施設に入れられた。知り合ったホームレスのブリキの周りの広場に貧しい人たちが集まって小屋を作り始め集落が出来始めた。
監督 ヴィットリオ・デ・シーカ
出演 フランチェスコ・ゴリザーノ パオロ・ストッパ エンマ・グラマティカ
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★★ ★★★★ ★★★ ★★★
コメント  鞄を置き引きされても、盗んだホームレスに鞄をあげてしまうトト。寒い冬、わずかな太陽光線の円の中に集まる人々。一等席の車窓に見える裕福な人と浮浪者たちとのコントラスト。バラックを建て始めた周りには、やはり戦後の高層アパートが建てられていた。
 集団になるとすごい!モッビ氏所有の土地だったが、民衆が資本家を追い出してしまう。やがて石油を発掘し、居座ってからは、それほど面白くなくなるが、警察がやってきた時、ロロッタおばさんが天使となってトトのもとへ現れ、願いの叶うハトを置いていく。これだけ面白い内容なのだから、敢えてファンタジー色を強く出さなくてもいいとは思うのだが・・・
 明るくて「生きてることが素晴らしい」と言うトトが爽やか。終わったら、誰とでも明るく挨拶したくなります・・・

1951年カンヌ国際映画祭グランプリ、FIPRESCI
1951年NY批評家協会賞外国映画賞
その他
(2005.4)

ミラーを拭く男 2003 日本
パル企画
THE MAN WHO WIPES MIRRORS
ストーリー  定年間近のサラリーマン皆川勤は交通事故を起こしたことをきっかけに全国のカーブミラーを磨くことが生き甲斐となった。
監督 梶田征則
出演 緒方拳 栗原小巻 辺土名一茶
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★★ ★★★★ ★★★ ★★★
コメント  事故現場のミラーを拭いていたときに気付いた寄贈者の名前。役所が立てたんじゃなくて、孫を亡くした大滝秀治じいさんが立てたものだった。そのミラーのおかげで緒方拳の事故でもかすり傷で済んだ被害者。事故を永遠に無くしたいと願うようになった主人公皆川であった。
 市内のミラーには飽き足らず、ついに北海道へ向かう皆川。農耕車に上げてもらったり、自転車ツーリングのグループと挨拶したり、爽やかな雰囲気で最北端の町を巡り、やがてテレビ局が取り上げることになった。そういえば『さくら』でも桜の植樹で一生を終える男が描かれていたけど、こうした信念っていいなぁ。
 津川雅彦が登場して、手伝いたいと申し出るが、単なるボランティアでやってるわけではないので、そうそう簡単にイエスとは言えない皆川。自分が事故で入院して、過去の事故は片付いたと聞かされホッとしたのであろうか、今度は快く申し出を受け入れた。しかし、皆川はマスコミの取材を中心とした予定の組み方に不満の顔を覗かせていた。やがて、ボランティアが集まり活動が全国展開してしまうが、皆川はグループを離れ、以前のように1人でコツコツとミラー拭きを続ける。
 一向にミラー拭きを止めそうにない皆川に対し、自ら教習所に通って夫の手助けをしようと頑張る妻の姿。カーブミラーに頼りすぎだと教官に怒られる栗原小巻が可愛い。
(2006.5)

ミリオンダラー・ベイビー 2004 アメリカ
松竹=ムービーアイ
MILLION DOLLAR BABY
ストーリー  老トレーナー、フランキーのもとに一人の女性ボクサーが訪れる。
監督 クリント・イーストウッド
出演 クリント・イーストウッド ヒラリー・スワンク モーガン・フリーマン
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★★ ★★★★★ ★★★★ ★★★★★ ★★★★★
コメント !けいを逆のとこいたりや。だいんなゃじ屈理はグンシクボ
 この映画を観た直後に印象に残ったキーワードを書き出してみると、「110回目のプロポーズ」という言葉が残ってしまいました。「自分自身を守れ」とか「タフ・エイント・イナフ」よりもずっと強烈に・・・そして、アカデミー賞の結果は嘘じゃなかったと座骨神経にフックを食らってしまった気分です。ラスト30分に自然と涙が流れるというコピーも嘘じゃありませんでした。観る前にはボクシングを題材にした普通のスポコンドラマだと信じきっていましたから、衝撃は強かった。しかし、終わってみると、重いテーマだけど、どことなく心が洗われるような感覚にもなりました。
 最も印象に残ったのはヒラリー・スワンクの演技でしょう。映画の中で、彼女は13歳からダイナーのウェートレスで稼ぐのですが、彼女本人が幼い頃はトレーラーハウスで暮らすほど貧しかったらしく、客の食べ残しを隠すシーンなどはリアルに演じてました。もちろん鼻が折れる等の痛いシーンもすごかったです。
 クリント・イーストウッドとモーガン・フリーマンもおじいさんコンビとしていい味を出していました。過去の贖罪と娘との確執を背負い、必ず送り返される手紙と毎日通う教会。静かな演技であってもボクサーを守るという信念。どれをとってもイーストウッドらしい演技でした。彼が贖罪を感ずる本人であるモーガン・フリーマンの語りも渋く、23年間ずっと一緒に働いてボスに罪の意識を感じさせないよう生きている姿も、何発もジョブを食らうかのようにじわりと感動を与えてくれました。脇役ではあるけど、デンジャーやウィリーもインパクトあったし、世界チャンピオンの青い熊もボクサーだけあって睨みつける目は強烈でした。
 伏線である「モ・クシュレ」というゲール語の言葉。真の意味を知ってからは、アイルランド人の観衆が歓喜した理由もわかり、カウンターパンチを食らってしまいました。それよりも、ラスト30分の意外な展開そのものが、ビリー・ザ・ブルーベアの放つ反則技くらいインパクトがあるもののだったかも・・・「父親が犬にやったこと」と言葉を発したときには、もう涙が・・・

2004年アカデミー賞作品賞、主演女優賞、助演男優賞、監督賞
同主演男優賞、脚色賞、編集賞ノミネート
その他
(2005.5)

ミリオンダラー・ホテル 2000 ドイツ/アメリカ
東宝東和
THE MILLION DOLLAR HOTEL
ストーリー ロサンジェルスにあるミリオンダラー・ホテルには変人風の落ちこぼれ達が集まっている。知的障害者のトムトムは友人イジーの自殺に心を痛めていたが、自殺ではないと主張する父親からFBIの捜査員がホテルにやってくる。。。
監督 ヴィム・ヴェンダース
出演 ジェレミー・デイヴィス ミラ・ジョヴォヴィッチ メル・ギブソン
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★★★ ★★★★ ★★★
コメント  映像は綺麗でした。精神薄弱や統合失調症気味の演技も良かった。徐々にメル・ギブソン扮するスキナーもホテルのメンバー達の仲間入りしていくような過程が面白かった。誰が一番変人か?なんて考えながら見ると楽しいのかもしれない。。。
 よくわからなかったが、メル・ギブソンの背中の傷跡ってのは、3本目の手が生えていた痕跡なのかな?

2000年ベルリン国際映画祭審査員賞(ヴィム・ヴェンダース)
(2004.1)

ミルドレッド 1996 アメリカ
シネセゾン
UNHOOK THE STARS
ストーリー  未亡人ミルドレッド・ホークスは娘アニーが仕事をしないことに手を焼いていたが彼女に家出され、暇を持て余すことになった。暴力亭主が出て行って、隣の若い主婦から6歳の息子を仕事中預かることになったのだが・・・
監督 ニック・カサヴェテス
出演 ジーナ・ローランズ マリサ・トメイ ジェラール・ドパルデュー
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★★ ★★★★ ★★★ ★★★★ ★★★★
コメント  23歳の娘なのに不登校で新聞配達をしない・・・わがままな娘が出ていってしまった。監督のニック・カサヴェテスはジーナ・ローランズの実の息子だ。監督として自分を見つめるかのような映画。
 隣人の息子JJを預かることにしたミルドレッドは小学校への送り迎えをしたり、彼に色んな知識を教える。感謝祭の七面鳥・・・インディアンとピルグリムが仲良く食べたことに由来等々。息子夫婦もやってきてモニカ(トメイ)とJJも楽しそう。
 マリサ・トメイが面白い。出て行った亭主の腹いせに男とデートするはずだったのに、すっぽかす電話がかかってきて、汚い言葉を連発。しかもタバコの煙を鼻から出すなど、美人が台無しだ(笑)。
 トラック運転手のビッグトミー(ドパルデュー)と知り合って仲良くなるミルドレッド。恋の行方はそれほど期待できなかった。暴力亭主も戻ってきたモニカ夫妻も再生。そのうち息子夫婦が引越し、母と一緒い暮らしたいという。そして娘アニーも仕事を見つけ家に戻ってくるが、家を売ったあとだった。行き先も告げず、娘と別れるミルドレッド・・・
 新たなる旅立ち。子離れ、親離れ。アメリカの家族らしい結末だが、再生、希望といった人生を前向きに考える内容が爽やか。後半になって笑える部分が少なくなったけど、マリサ・トメイのハジケぶりは『いとこのビニー』に次いで楽しめる。
(2006.4)

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