長い散歩 | 2006 日本 キネティック |
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ストーリー | 校長職を定年退職した男安田松太郎はアルコール依存症の妻を死なせてしまった懺悔からアパートで一人暮らしを始める。隣人には幼い子サチを虐待する母親横山真由美がヒモと一緒に住んでいた・・・ | |||
監督 | 奥田瑛二 | |||
出演 | 緒形拳 | 高岡早紀 | 杉浦花菜 | |
音楽 | ストーリー | 映像・演出 | 俳優 | 総合評 |
★★★★ | ★★★★ | ★★★★ | ★★★★ | ★★★★ |
コメント | 主人公は安田松太郎。一瞬でもサッカーを思い浮かべると、松木安太郎の名と混同してしまう・・・ 高校の校長だった主人公。この団塊の世代の教師は「でもしか先生」と呼ばれる方が多く、いざなぎ景気を背景に「教師にでもなるか」「教師にしかなれない」と志願すれば誰でも教職に就くことができた世代だ。とはいってもレベルが低いわけではなく、逆に教師になってからがむしゃらに教育に取り組んで自分の家庭をも省みることがなかったのだろう。この安田松太郎(緒形拳)もその一人。娘に「人殺し!」と罵られるほど、アルコール依存症の妻を死なせてしまった悔恨の念を持っているのです。 一人暮らしを始めたアパートでは隣人が夫婦喧嘩(実際はヒモ)が絶えなく幼児虐待をもうかがわせる。その被害者である5歳の少女サチ(杉浦花菜)の虐待を受けた痕跡がとても痛々しく、耐えられなくなった松太郎が彼女を連れ出してしまうストーリー。高岡早紀の狂ったかのような演技も凄まじく、胸が苦しくなりました。また女の子の叫び声や、しつけの行き届いてないことがわかる粗暴な態度。メロンパンしか食べたことがないような食生活。そして、「死」ということが未だ理解できていない、いたいけな少女なのです。 虐待から解放したかっただけなのに、世間ではそれを誘拐というのが当たり前。行くあてもないような旅を続ける二人の間には、頑なに心を閉ざしていたサチが徐々にストックホルム症候群のように心を開き、信頼関係も生まれてくる。なにしろ、最初に名前を聞いたときには「ガキ!」と答えたほど。途中、唐突に現れたザンビア帰りの青年との微妙な関係も緊張感を与えてくれるが、ここでもまた「死」を考えさせられ、「おーい君、おーい天使、おーい青い空」という松太郎の詩の意味が浮かび上がってくるのです。目的地は家族で行ったことのある山の風景だったのだ。 サチはずっと天使の羽を背中につけていましたが、新聞紙を破いて羽根のように切り貼りしたもので、最後のほうにはボロボロになっていました。もしやファンタジー映画だったのか?と思わせるシーンには驚きましたけど、急降下するようにラストの現実へと戻されてしまう展開もまたいい。人生は長い散歩。贖罪や巡礼という言葉にも象徴されるように、誰もが感じるような人生の重い十字架もいつかは晴れる日がやってくる。天使のパンツを被って反省しなければならないなぁ・・・ 2006年モントリオール世界映画祭グランプリ、国際批評家連盟賞、エキュメニック賞 (2007.2)
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眺めのいい部屋 | 1986 イギリス シネマテン A ROOM WITH A VIEW |
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ストーリー | 20世紀初め、イギリス上流階級の娘ルーシーは従姉妹とイタリア旅行に出かけた。宿泊先の眺めのいい部屋を交換した縁でジョージと知り合う。。。 | |||
監督 | ジェームズ・アイヴォリー | |||
出演 | ヘレナ・ボナム=カーター | デンホルム・エリオット | マギー・スミス | |
音楽 | ストーリー | 映像・演出 | 俳優 | 総合評 |
★★★★ | ★ | ★★ | ★★★★ | ★★ |
コメント | マギー・スミスの嫌悪感を抱くような好演が素晴らしい。主役はルーシーであるような気がしたのに、イギリスではシャーロットが主演女優賞を獲っている事実に不思議な気分です。牧師とフレディ、ジョージが池で素っ裸で水浴びするシーンがいいですね。 全体的には非常につまらないストーリーです。何故作品賞を獲れたのかもわかりません。確かに俳優陣の演技は素晴らしく、人間関係やそれぞれの心を感じるのですけど、所詮は貴族のお遊びと恋愛要素が強く、働きもしない人たちの人生なんて苦悩の微塵も感じられず、全てが軽すぎますね。牧師がもっと庶民的に扱われていたら面白かったかもしれません。 1986年アカデミー賞脚色賞、美術監督賞、美術装置賞、衣装デザイン賞 同作品賞、助演男優賞、助演女優賞、監督賞、撮影賞ノミネート 1986年英国アカデミー賞作品賞、主演女優賞(マギー・スミス)、助演女優賞 その他多数 (2004.4)
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流れる | 1956 日本 東宝 |
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ストーリー | 花街の芸者置屋にて山田五十鈴演ずるつた奴を中心に物語が進む。 | |||
監督 | 成瀬巳喜男 | |||
出演 | 田中絹代 | 山田五十鈴 | 高峰秀子 | |
音楽 | ストーリー | 映像・演出 | 俳優 | 総合評 |
★★ | ★★ | ★★★ | ★★★ | ★★ |
コメント | いろんなエピソードがそれぞれつまらない。女優の競演という点では凄さを感じるのですけど、ストーリーに入りこめなかった。「男を知らないくせに」などといったエピソードは好き。 (2006.1)
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NARC・ナーク | 2002 アメリカ UIP NARC |
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ストーリー | デトロイト署の潜入捜査官テリスは、麻薬常習者を追跡中に犯人に発砲するが、一般市民を巻き添えにしてしまった。停職中の彼は潜入捜査官マイク・カルベス殺人事件の捜査を命じられる・・・ | |||
監督 | ジョー・カーナハン | |||
出演 | ジェイソン・パトリック | レイ・リオッタ | チー・マクブライド | |
音楽 | ストーリー | 映像・演出 | 俳優 | 総合評 |
★★★ | ★★★★ | ★★★★★ | ★★★★★ | ★★★★ |
コメント | 殺された警官の元相棒と組まされたときから、ははぁ〜んこういう展開だろうなと予想しながら見たが、見事に当っていた。淡々と捜査が進むが、見事なまでにのめり込ませる展開。良かったです。全編通して、テリスの事件現場を推測する画面が随所に織り込まれているのですが、これがまた効果的だ。ダーティな警官の映画は多いが、この映画では何が善で、何が悪なのかとを考えさせられます。 最後は・・・と、いい終わり方でした。 見所は、ヘンリー刑事の暴力性!すごい顔してるよ〜〜(恐) (2003.12)
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殴られる男 | 1956 アメリカ COL THE HARDER THEY FALL |
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ストーリー | スポーツ記者のエディはニック(スタイガー)に呼ばれ、南米出身の新人ボクサー・トロを売り出すように頼まれる。体ばかり大きく弱くてしょうがない彼を八百長でチャンピオン戦まで担ぎ上げ、最後に相手に賭けて一儲けという計画らしい。 | |||
監督 | マーク・ロブソン | |||
出演 | ハンフリー・ボガード | ロッド・スタイガー | マイク・レイン | |
音楽 | ストーリー | 映像・演出 | 俳優 | 総合評 |
★★★★ | ★★★★ | ★★★★ | ★★★★ | ★★★★ |
コメント | 【ネタバレ注意】 新聞が廃刊になり、生活のために仕事を選べない。278パウンドの巨人だが、グラス・ジョーでボディも弱い。八百長も無茶苦茶で笑ってしまう。 タイトル戦直前の試合、ガスは可哀想だ。トロの強さをアピールできたけど、あれは演技じゃなかったんだなぁ。しかし、チャンピオン戦前に「全て八百長だった」と言っても信用しないトロ。「うそだろ・・・」と笑いたくなってしまったが、笑っちゃいけないんですよね・・・チャンピオン戦直前にクリンチとか教わってるし・・・それでもチャンピオン戦は戦う男を感じた。 実家の母親に家をプレゼントしたいと言ったトロに、自分の取り分である2万6千ドルを潔く渡すボギーがいいですね!やっぱ男だわ。 1956年アカデミー賞撮影賞ノミネート (2005.5)
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嘆きのテレーズ | 1952 フランス 新外映 THERESE RAQUIN |
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ストーリー | 病弱な夫の元に嫁いだテレーズ。泥酔した夫カミーユが業者のトラック運転手ロランに送ってもらい、友達になったのだが、3度目に会ったときロランはテレーズと一緒に逃げようと告白。そして不倫・・・ | |||
監督 | マルセル・カルネ | |||
出演 | シモーヌ・シニョレ | ラフ・ヴァローネ | ローラン・ルザッフル | |
音楽 | ストーリー | 映像・演出 | 俳優 | 総合評 |
★★★ | ★★★★ | ★★★ | ★★★ | ★★★ |
コメント | 「寝るのが一番。タダだしな・・・」と言いながら昼間から寝るほど病弱な夫。酒にもとてつもなく弱い。木曜日には仲間を集めて競馬のボードゲーム。これがなかなか面白そうだ。 看病だけの退屈な生活に疲れていたテレーズ。天涯孤独なトラック運転手ロラン。半ば投げやりで気だるい雰囲気だったが、楽しいロマンスを追い求め旅立つ。そしてカミーユ宅での逢引・・・ 夫も母も不倫に気付くが、夫婦でパリへの旅行途中、追いかけてきたロランが口論となりカミーユを列車から突き落とした。彼は自首すると言うが、テレーズは黙っていろと言う。事故として処理されるが、やがて罪の意識に苛まれるテレーズ。やがてゆすり屋が現れ50万フランを要求され、2人は再び結びついた。 金を渡し証文も書かせ、恐喝も解決したかと思われたがゆすり屋はあっけなく事故死・・・普通なら死人にくちなしなのに、彼は戻らなければ手紙を出してくれと頼んでいたのだ・・・運命とはこういうもの。不倫なんて所詮上手くいかないものだな。それにしてもトラックにはねられるシーンは生々しかった。 1953年ヴェネチア国際映画祭サン・マルコ銀獅子賞 (2006.4)
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なごり雪 | 2002 日本 大映 |
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ストーリー | 妻にも逃げられた梶村祐作は故郷臼杵の友人水田(ベンガル)から電話をもらう。妻雪子が死にそうだという・・・。急きょ故郷へ帰るが、思いだすのは28年前のこと。 | |||
監督 | 大林宣彦 | |||
出演 | 三浦友和 | 須藤温子 | 細山田隆人 | |
音楽 | ストーリー | 映像・演出 | 俳優 | 総合評 |
★★★★ | ★★★ | ★★★★ | ★ | ★★★ |
コメント | 回想シーン。雪子(須藤)も祐作(細山田)も他の学生も皆演技がださい。これが確信犯的だ。大林監督作品はこのダサさで郷愁を醸し出している。 九州の臼杵。実家手芸店の手伝いをしていた祐作は2歳年下の雪子と知り合う。テニス部のマドンナからも好意を寄せられいて、医者の息子とケンカしたりと、なかなかの学生時代。雪子と水田と一緒に仲良くしていたのに、祐作はやがて東京の大学へ進む。夏に帰省したときには恋が進展するかと思ったが、その次の夏には菅井とし子(宝生舞)という同級生を連れて帰ってきたのだ・・・ 鈍感で優柔不断な男が中年になって初めて素直になれるといったノスタルジー。あの時、なぜ素直になれなかったのか。都会への憧れと期待がそうさせたのか。それとも本当は春に戻ろうと思っていたのだろうか・・・。それでも大学進学とともにこういう思いをした男は結構多いと思う。せめてキスくらいしていれば、そうはならなかったと・・・ 雪子の台詞には伊勢正三の「なごり雪」の歌詞がそのまま使われている場面もあるし、最初の帰省のシーンでは臼杵の盆の美しい風景とともに、雪子の名前の由来を聞かされるところで涙を禁じえない。母親の夫が結婚直後に召集令状を受け取り戦死。悲しい過去へのエピソードがそのまま雪子と祐作にオーバーラップしてくる瞬間だ。 臼杵市が地元のために大林監督に依頼したような映画。珍しく配給が大映となっているところに商業映画ぽさが感じられ、逆に失敗してしまったような気もする。オープニングで伊勢正三の弾き語りシーンがあることから、彼も特別な思いで観ていたんだろうな〜。 宝生舞の胸が眩しい!!! (2008.1)
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