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野良犬 1949 日本
東宝
ストーリー  熱い日。バスで拳銃をすられた新人の村上刑事。やがてそのコルトを使った強盗事件が起きてしまう。まずはスリのお銀をピタリとマークするのだが・・・
監督 黒澤明
出演 三船敏郎 志村喬 淡路恵子
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★★★ ★★★★ ★★★★ ★★★★
コメント  しつこくお銀を追いまわして、ようやく話を聞きだすが、闇のピストル屋を探すこととなる。復員兵の格好をして、歩き続け、ようやく白い花を頭に飾った女を捕まえるが、末端の売人。強盗事件を担当していた老練の佐藤刑事(志村)とタッグを組んで捜査する村上(三船)。やがて野球が大好きな本多という男にたどり着く。
 ジャイアンツの試合、青田や川上が出ているし、かなり貴重。それだけじゃなく、戦後混乱期の東京の姿もリアルに映し出されるし、給料の話だとか、配給だとか、刑事も含めた庶民の生活が描かれている。しかも作られたのが1949年。当時としてもかなりの先端をいってたんだろうなぁ。
 村上も復員兵。遊佐(木村功)も復員兵で、共に全財産の入ったリュックを盗まれ、一方は刑事、もう一方は悪人となってしまう。悪が悪を生むだけじゃなく、善にも変わり得る可能性を描いているところがいい。
 ラインダンサーの並木ハルミ(淡路)。殺人犯遊佐に絡んだドラマよりも、ダンサーとしての彼女がいい。暑さもあれど、ダンスが終わると一斉に楽屋にかけこむ踊り子たちの汗・汗・汗!艶っぽいけど、生活臭まで漂わせる。
 ラストの三船・木村の対峙シーン。現代の刑事ドラマからすると、あっけないのだが、上流階級家庭からピアノの響きが聞こえるところが、この頃から格差社会が生まれていたんだと印象付けられるところだ・・・その後、2人が倒れこんでいるところへ童謡「ちょうちょ」が聴こえてくるけど、遊佐の想いは「この平和な時代に生まれてきたら・・・」などと思ったのだろうか、慟哭が妙に悲しい・・・
(2008.5)

のら猫の日記 1996 アメリカ
ユーロスペース=ポニーキャニオン
MANNY & LO
ストーリー  16歳の孤児ローは里子に出された妹マニーを誘拐して、万引きしながら旅を続け生きている。ローは妊娠していることに気づくが、堕胎するには時が経ちすぎていた。生むにしても金も何もない。ベビーショップで子育てに詳しい中年女性エレインを見つけ・・・
監督 リサ・クルーガー
出演 スカーレット・ヨハンソン アレクサ・パラディノ メアリー・ケイ・プレイス
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★★★ ★★★ ★★★★★ ★★★★
コメント  スカーレット・ヨハンソンが12歳の頃の映画。ナレーションも彼女で、演技のほうでもすでに大物女優の片鱗を見せている。姉妹はモデルハウスなどを転々とし、昼はスーパーで万引き。当てもない旅を続ける。妊娠に気づいてからは、人里離れた隠れ家を求め、スキー場近くの別荘地を見つけた。
 ベビーショップの店員エレインは友達も少ない、暗めの女性。客にも親切にするが商売ッ気が全くない。そこでマニーとローの姉妹は彼女を誘拐して、出産を手伝わせようとしたのだ。この時点で、脚本の面白さ満点。エレインも自分が何の目的で誘拐されたのかわからなかった。まさか子供の姉妹に誘拐されるなんて・・・
 手械足枷をはめられたエレインはハンストを続け、縛られたナンバーロックの組み合わせを試している。無線機を操り、「あと2万2千通りあるから大丈夫」などと人質の心理までもを推し量る頭の良さも覗えるマニー。
 数日経ったある日、別荘の持ち主である男がふと立ち寄る。そこでエレインは彼を気絶させ、監禁するという意外な行動をとる。男は逃げ、彼女たちもねぐらを変えることを余儀なくされた。エレインの行動を怒ったローは彼女を道端に置き去りにするが・・・
 「レディ・マーマレード」が要所要所でかかる。

1996年インディペンデント・スピリット賞主演女優賞、助演女優賞、新人作品賞、新人脚本賞ノミネート
(2005.11)

野良猫ロック セックス・ハンター 1970 日本
日活
ストーリー  米軍基地バー街を中心にマコたち不良グループがバロン率いる不良少年グループと対立する。
監督 長谷部安春
出演 梶芽衣子 安岡力也 藤竜也
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★ ★★
コメント  シリーズ第3弾。最初から観ていると理解できるのか?10代の頃は深夜映画のタイトルに惹かれてこのシリーズは見たことあるはずだが、当時は裸のシーンしか興味がなかったようだ。もちろんストーリーを楽しむ映画じゃないし、セクシーさと気だるさ、暴力シーンを楽しむだけの映画。そして、梶芽衣子のかっこよさだけの映画です。力也も竜也も演技がくさいし、名を売ろうと頑張ってる女優だけが素晴らしい。ああ、それと5人揃ってるゴールデンハーフですね(笑)
 70年安保の時代、サイケが流行った時代とスケバンが流行った時代の狭間にあり、不良女のスタイルも確立していなかったのか、微妙に流行を取り入れた中途半端な衣装にも注目だ。
 しかし、混血児を狙うとかいう主旨は何なのだろう・・・
(2004.6)

紀子の食卓 2005 日本
アルゴ・ピクチャーズ
ストーリー  『自殺サークル』のテーマを発展させ、「レンタル家族」という職についた娘が虚構の家族と本物の家族を鋭くついた作品。
監督 園子温
出演 吹石一恵 つぐみ 吉高由里子
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★ ★★★ ★★★★ ★★★★ ★★★★
コメント  “上野駅54”というハンドルネーム。これは「上野駅にいるkossy」を表している。
 17歳の女子高生・島原紀子(吹石一恵)は“廃墟ドットコム”というサイトの常連になり、主催者とみられる“上野駅54”に次第に惹かれていく。田舎の生活にも飽きて父親との確執もあったことから“上野駅54”ことクミコに会いに行った。早速、クミコの家族を紹介され、おばあちゃんの家へ向かい、そこでも親しげに紹介される。しかし、彼らは“レンタル家族”。言いかえれば、イメクラの派遣会社でもあるのです。もしかすると小泉改革における自由化路線の一環で、ついに家族まで派遣してもいいことになったのか・・・
 家族の絆、人と人との繋がりが希薄になった現代社会。ぎくしゃくした本物の家族よりも金で雇った家族のほうが安らぎを覚えるといった発想は見事です。「あなたはあなたの関係者ですか?」といった言葉からも窺えるように、自分自身さえ見失ってしまっている世の中。偽物であっても心が落ち着くのであればと、そちらを選ぶ人の気持ちも何となくわかります。しかし、本物と虚構の間で働いている彼女たちも精神的におかしくなって、仕事が上達しステージが上がると大変なことまでやってしまうのです。
 「いっせーの、せっ」と、『自・殺サークル』で行われた54人の女子高生が集団で駅のホームから飛び込むシーンが何度も映し出され、その事件の真相が明らかにされるというオマケつき。「命を粗末にする人は現実社会のほうが圧倒的に多い」とうそぶくサークル主催者の意見はさすがに矛盾してましたが、報酬をもらって偽家族を演じることが人間関係を悪くすることも少ないだろうし、なんとなく納得してしまう。
 物語は章立てとなっていて、登場人物それぞれの視点で一人称ナレーションスタイルを貫いている。これが自己喪失感を上手く表現しているので、159分という長尺も苦にならない。演技においても主演女優もさることながら、父親役の光石研の演技が印象的です。ただ、それぞれが別名を持っているので混乱することもあったのですが、名前はそれほど重要ではありませんでした。
 さすがR15だけあって、かなりのスプラッターがありますので、ご鑑賞の際にはご注意を。

カルロヴィヴァリ映画祭特別表彰、国際シネクラブ賞

(2007.1)

ノロイ 2005 日本
ザナドゥ
ストーリー  怪奇実話作家の小林雅文の自宅が全焼し、妻が焼死、彼は行方不明となった。彼の残した最後のビデオ「ノロイ」によると、かぐたばという言葉の謎が記されていた・・・
監督 白石晃士
出演 松本まりか アンガールズ 高樹マリア
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★ ★★★ ★★★ ★★
コメント  映像ドキュメンタリーと銘打ったホラー映画。フィクションかノンフィクションか、その答えは映画の中にあるようだ・・・
【ネタバレ全開】
公式サイト
小林雅文公式サイト
杉書房公式サイト
 中田秀夫監督や清水崇監督がジャパニーズホラーの人気を確立し、その才能に次ぐ監督と評価される白石晃士監督。仕掛人は一瀬隆重プロデューサーだ。音響効果やVFX・CGによる恐怖を煽る手法にホラーファンがそろそろ飽きてきているのではないかと読んで、このようなドキュメンタリー・タッチによる映画を作ったのだとすれば、賞賛の拍手を送ってもいいのかもしれない。「これは実話だ」と騙される人がかなり多くなることは明白だからだ。上記の小林雅文、杉書房公式サイトを立ち上げるという徹底ぶりも凝っている。ただ、ビデオも書籍も、残念なことにamazonでは販売していない・・・
 フィクションなのか、ノンフィクションなのか・・・霊の存在を信じる者であれば、確実に実話だと信じさせてしまう手法には恐れ入ったが、俳優(チョイ役の実際のタレント)の演技がわざとらしく、途中から興ざめしてしまうのです。小林雅文(俳優名不明)と松本まりかだけは迫真の演技だったのですが、アンガールズと心霊スポット取材の幽霊が全くダメ。そして、“霊体ミミズ”というわけのわからない霊能力者の存在にも失笑を買ってしまいます。その後はフィクションと受けとめ、冷静にドラマとして鑑賞せざるを得ませんでした。
 そうは言っても、小道具のこだわりやビデオ構成の上手さには思わず唸ってしまうほど。時系列を見ても、順撮りビデオなのに怪しい人物やそのエピソードが巧妙に交錯し、“かぐたば”という鬼祭の儀式へと繋がっていく。ドキュメンタリーの枠を超えて、プロット重視の立派なホラー映画に思えてきます。エンディングも見事。エンドロールが全くないどころか、キャスト、スタッフの紹介が全くない・・・
(2005.8)

呪い村436 2006 アメリカ
劇場未公開
POPULATION 436
ストーリー  436人しか存在してはならない村ロックウェル・フォールズ。そこへやってきた国勢調査員のスティーヴ。調べるにつれ、この村が何年たっても436人と変動のないことに驚き・・・
監督 マイケル・マクラーレン
出演 ジェレミー・シスト フレッド・ダースト デヴィッド・フォックス
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★★★ ★★★ ★★★ ★★★
コメント  一人が生まれると一人が死ぬ。一人が死ぬと、一人転入者があったりする村ロックウェル・フォールズ。見た目は田園地帯にある普通の小さな村。村の入口で車がパンクし、村に留まることになったら最後だ・・・
 村人は皆親切だけど謎が多い。唯一の医者だって、村人が認めただけの医者。囚われている少女アマンダだって、熱病だと説明されるけど、どう見ても普通だ。知恵おくれの青年もいるが、何か訴えたい様子が窺える。逃げだすと熱病とされる?そんな疑問をぶつけまくり、村人に監視されまくるスティーヴ。祭りは年に何度か行われるが、「あなたのための祭りよ」と言われ驚くスティーヴが見たものは壇上で首つりされるルビーの姿。誰かが一人増えるとくじ引きで死ぬ者を選ばねばならないという残酷な慣習があったのだ。小学校から村独自の神の教えを叩き込まれ、誰も逆らわなかったのだろうか・・・
 「君は友達だ」と保安官ボビーと親しくなるが、逃げ出すことを相談するうちに、ボビーが求婚しようとしている女性コートニーと寝てしまう。 村を逃げ出したい人間は何人かいるはず・・・だけど、皆諦めて平和な村を享受している。一度捕らわれて、逃げだしたときに8年前に偶然村にやってきて住み着いた男と知り合うが、彼もまたなかなか抜け出せないでいたのだ。
 序盤からロボトミー手術を臭わせていたけど、コートニーがやられたときにはゾッとしてしまう。とにかくアマンダを連れて逃げるスティーヴ・・・ボビーが助けてくれたのは意外だったが、逃げだしたと思ったら、やっぱり悲惨な運命に・・・こうして3人が死んで、誕生したのが双子。スティーヴを探しにきた友人が村に入り、帳尻合わせもバッチリだっ!
(2007.12)



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