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サンキュー・スモーキング 2006 アメリカ
FOX
THANK YOU FOR SMOKING
ストーリー  タバコ研究アカデミー広報部長のニック・ネイラーは話術の天才。
監督 ジェイソン・ライトマン
出演 アーロン・エッカート マリア・ベロ キャメロン・ブライト
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★★★★ ★★★ ★★★★★ ★★★★★
コメント  情報操作やってんのは政府だろ!
 ニック・ネイラーの論点のすり替えはお見事としか言いようがありません。それも口から出まかせを吐くんじゃなくて、ちゃんと計算されているところが憎い。営業マンなら誰しもロール・プレイングを経験するかと思いますが、要は切り返しの妙というやつで、相手の目先を巧みに操作することなんだと思います。TV討論会でもちゃんとすり替え話法を用意してあるんだし、咄嗟に思いついた言葉ではあれほど説得力があるものではないはず。
 さすがに映画俳優を使ってタバコのイメージアップを図るのは問題ありましたが、結局をそれを実行したのはウィリアム・H・メイシー演ずるフィニスター上院議員でした。死の商人はいただけないけど、銃で死ぬ人間が年間1万人超なのに対して、タバコで死ぬ人は年間47万人というのはかなり強烈なブラック。交通事故で亡くなっても遺族は車メーカーを訴えるわけどもないし・・・こうやって考えてみると、パロマやナショナルやトヨトミが可哀想に思えてくるから不思議です。
 この映画は決してタバコ業界の情報操作を皮肉っているのではなく、むしろ政府の情報操作の恐ろしさを訴えているのだと思います。喫煙なんてもちろん害しかないんだし、今更ドクロマークをつけたって吸う人は吸うんです。命を縮めることなんてわかってる。喫煙率が減ってきている現在においてもそんなことをしたら、単なる弱い者いじめにすぎません。タバコを敵にしてしまえば、ほかのあらゆる害のある食品を垂れ流しにすることだってできるし、世論をタバコに引きつけておいて知らないところで悪法をごり押しすることだってできるのです。まぁ、ノロウイルスでマスコミを騒がせて教育基本法を変えてしまうようなものですね。
 話題のすり替え術もさることながら、最も面白かったのは、色仕掛けで近寄ってきてニック・ネイラーの本音を聞き出したケイト・ホームズ記者のエピソードです。一発逆転、どか〜んと爆弾発言をする父ちゃんを見て「coooool」と息子に言わせるなんて最高です(場面は微妙に違います)。そしてニコパッチの恐ろしさ。あれだけ貼ったら死ぬのか・・・医者の処方箋が必要だというのも理にかなってます。
 ディベート術、交渉術。日本人が見習うべきことが盛りだくさんでした。外交が下手だという日本もこのままだと危険だし、インターネットを媒体にして情報操作する輩も危険です。なんとかディベート術を身につけなければ・・・
(2006.12)

惨劇の週末 2000 スペイン
エスピーオー
THE ART OF DYING
ストーリー  4年前にナチョっという青年が行方不明になった。親友であったイヴァンと恋人クララ、その他4人の男女が田舎でキャンプをした際に誤って殺してしまったのだ。そのナチョが彼らの前に姿を現し・・・
監督 アルファロ・フェルナンデ・アルメロ
出演 フェレ・マルティネス マリア・エステヴェ ルシア・チメネ
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★★★ ★★★★ ★★★★ ★★★★
コメント  刑事がイヴァンに執拗な尋問を始める。ナチョのIDカードを持ったジャンキーが瀕死の状態で見つかったからだ。6人は4年前の真実を隠匿しようと相談をするため再会するのだが、遺棄したナチョの死体のことが心配になって田舎の無人の館を訪れる。しかし、埋めた死体を確認する前に突如火災が起こり、全ては闇の中に・・・
 過去の殺人という罪に苛まれる若者たち。斎藤栄の小説「金糸雀(かなりや)の唄殺人事件」が似たような設定だったので、これはクララが犯人に違いない!と想像しながら観続けた。もしかすると、ナチョの父親、刑事が仲間を次々に殺したのじゃないか?などと様々な想像ができるのだが、変態的画家であるナチョの絵を見ると・・・モルグで死体を撮影し、モチーフとして死の絵を描くといった不気味さ。タイトルにもある“死の芸術”がじわじわとイヴァンを苦しめ、観ている者にも謎を与えてくれる。
 徐々にイヴァンの前に姿を現すナチョ。モヒカン頭のヴィン・ディーゼルといった雰囲気の彼は幽霊としてはリアルなインパクトを与えすぎるのが残念。「実はお前は死んでるんだよ」などと言うナチョの言葉により、『アザーズ』のような映画かとも思わせるが、それよりもずっと奥が深い。シェークスピアと罪の意識についての話もポイントを押さえていました。
 『バッド・エデュケーション』でもいい演技をしていたフェレ・マルティネス。今後も楽しみ。
(2005.8)

サンシャイン2057 2007 アメリカ
FOX
SUNSHINE
ストーリー  2057年、太陽の活動が終焉を迎えそうになっていた。太陽に核爆弾をぶちこんで活性化させる計画のためイカロス2号が近づいていた。
監督 ダニー・ボイル
出演 キリアン・マーフィ 真田広之 ミシェル・ヨー
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★★★
コメント  神と対話してきたぜ・・・
 真田広之キャプテンのネイティヴな発音をもっと楽しみたかったのに・・・死んじゃうのが早すぎです。この分だとアジア系の乗組員は皆死んじゃうんだろうなぁ〜と思っていたら、なんだか皆悲惨です。
 『ザ・コア』とか『アルマゲドン』とか、核の平和利用を訴えようとする映画は最初から引いてしまいがちです。まぁ、太陽にぶちこむ巨大な核爆弾のために、地球上の核兵器を全て使うということで安心はさせられますが、花火のような美しさだなんて描写もいただけません。
 なんだか本格的なSF映画のような雰囲気にもさせておいて、最後はエイリアンもどきのホラーになってしまいました。トレイ(ベネディクト・ウォン)の自殺にしても納得いかないし、最後は特攻精神まるだしだし・・・なんじゃこの映画は。
(2007.4)

サン・ジャックへの道 2005 フランス
クレスト・インターナショナル
SAINT-JACQUES... LA MECQUE
ストーリー  母親が亡くなり、仲の悪い長男ピエール、長女クララ、次男クロードが遺産相続する条件として、2ヶ月に及ぶ巡礼の旅に参加しなくてはならなくなった・・・
監督 コリーヌ・セロー
出演 ミュリエル・ロバン アルチュス・ドゥ・パンゲルン ジャン=ピエール・ダルッサン
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★★★★ ★★★★★ ★★★★ ★★★★★
コメント  3人の兄弟が徐々に打ち解けていくという映画かと思っていたけど、そうではなかった。他の巡礼参加メンバーであるアラブ系の高校生2人と女子高生2人、そしてワケアリ女性とアラブ系のガイド、計9人による群像劇風ロードムービー。フランスから聖地サンティアゴ(サン・ジャック)までの巡礼の旅。特に文盲であるアラブの少年のエピソードがとてもよかったなぁ。
 何がよかったのか・・・南仏の田舎の風景はもちろんなのですが、かなり重そうな荷物を背負っての過酷な旅。そのためか、最初は遠慮がちだった登場人物にも愚痴や本音トークが炸裂していたことでしょうか。本音といえども、隠すところは隠す。けれど、次第に打ち解けて、大切な部分では家族同然のように振舞っていたところ。中には恋愛に走っていた人もいましたが・・・
 巡礼といえば、普通は宗教が絡んでいると思われるところもミソ。参加メンバーはほとんど無神論者であり、イスラム教徒(熱心ではなさそう)であろうが、キリスト教教会に寝泊りする。神父が人種差別主義だったりすると罵倒したりするのです(言葉は通じてなかったようだけど)。
 歩くだけというシンプルな構成であるけれど、自然の雄大さと各人の夢を織り交ぜたりして、幻想的な一面も見せる。そして、皆個性的な登場人物であるものの、旅を通してどこか社会的人間になっていく様子や、都会の喧騒を離れ逞しくなっていく様子は観客に勇気を与えてくれるような気もする。彼らが本当に大切なモノに気づく姿を見たときには暖かな涙さえ流れてしまいます。
 『夜のピクニック』では最低点をつけてしまいましたけど、どこがどう違うのか・・・子供版と大人版の違い?それだけではないはずです。
 
(2007.9)

36時間 1999 アメリカ/カナダ
劇場未公開
36 HOURS TO DIE
ストーリー  飲料メーカーの社長ノアが心臓病で倒れ緊急手術を受ける。2ヶ月後、会社の不正を見つけたアーサーが何者かに殺される
監督 イヴ・シモノー
出演 トリート・ウィリアムズ キム・キャトラル ソウル・ルビネック
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★ ★★ ★★ ★★★ ★★
コメント  仕事もだめ、セックスもだめ。何もかも禁止され暇を持て余しているノアだけど、ボーリングは大丈夫のようだ。あの変なボスの何度も出てくる台詞には「飯は3食で十分、4食は食えん」というのがあった。そう言われても、夜食が欲しくなるときってありますよね。徹夜するときには胃をこわしてしまいそうですし。
 もっと緊張感のあるドラマかと思っていたら、かなりドンパチが激しいし、終盤にはわけがわからなくなってきた。面白いのは前半だけだったかな・・・
(2005.8)

34丁目の奇跡 1994 アメリカ
FOX
MIRACLE ON 34TH STREET
ストーリー  47年の『三十四丁目の奇蹟』のリメイク
監督 レス・メイフィールド
出演 リチャード・アッテンボロー エリザベス・パーキンス ディラン・マクダーモット
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★ ★★★ ★★★ ★★
コメント  ハ〜イ、クリス・クリングルです。などと全米に放送されたり、オリジナルの時代設定にはなかったテレビ中継なんてのがある。アッテンボローなんてサンタクロースそのものだな〜と、つくづく感じてしまう。
 事故の裁判になったかと思っていたら、結局はサンタを信じるかどうかという裁定へ。リメイクということもあるし、結果はわかりきっているので、だらだらした展開はいくない・・・
(2008.2)

山椒大夫 1954 日本
大映
ストーリー  平安朝末期、貧民を救うため将軍にたて突いたため筑紫に左遷された平正氏。その妻玉木と安寿と厨子王の兄妹。母は佐渡へ売られ、兄妹は丹後の山椒大夫のもとで奴隷とされてしまった。
監督 溝口健二  原作:森鴎外
出演 香川京子 田中絹代 花柳喜章
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★ ★★★ ★★★★ ★★★★ ★★★★
コメント  佐渡から来たと言う少女に母の消息を聞いても存ぜぬという返事。しかし歌い出したら、自分たち「安寿と厨子王」の歌だったのだ。10年の歳月が流れていたが、自分たちを恋しいという内容の歌を聞いて泣き崩れる安寿。
 兄だけ脱走させて自分は湖に身を投げてしまった安寿。兄は知らずに、安寿と自分の夢を叶えるために関白に直訴して、自分が正氏の嫡子であることが証明され奴隷を解放することに成功。しかし安寿の死を知ると絶望。囚われの身になっているときには弱腰で、安寿に励まされ強くなったというのに・・・

1954年ヴェネチア国際映画祭サン・マルコ銀獅子賞
(2006.9)

サンダーパンツ! 2002 イギリス
ギャガ・コミュニケーションズ
THUNDERPANTS!
ストーリー  オナラが止まらないことで悩んでいた小学生パトリック・スマッシュ。そのせいで父は家出。母と姉も彼を毛嫌いしていた。学校でもイジメにあうが、唯一発明オタクのアランとはウマが合った。彼はパトリックにサンダーパンツなるオナラを閉じ込めるパンツを発明してくれた・・・
監督 ピーター・ヒューイット
出演 ブルース・クック ルパート・グリント サイモン・キャロウ
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★ ★★ ★★★ ★★
コメント  日本の笑い話にもオナラをしてばかりの人間の物語があった。そこからヒントを得たのかなぁ〜などとは思いつつ、イギリスの少年物語はちょっと違っていた。
 友情の物語でもあり、自分の欠点を克服し、自分を取り戻すようなハートウォーミングストーリーとして仕上がっていた。宇宙飛行士たちの危機を救うため云々といった突飛なアイデアもファンタジーの域を超えてしまっている。
 ハリーポッターシリーズのルパート・グリントが演ずる発明家アランがなかなかのキャラクターだ。
(2006.5)

散歩する霊柩車 1964 日本
東映
ストーリー  タクシー運転手麻見(西村)の妻すぎ江はグラマラスで、他の男で浮気心を満足させていた。すぎ江は自殺したと見せかけて、棺桶を担いで浮気相手をゆすることを思いついた。
監督 佐藤肇
出演 西村晃 春川ますみ 渥美清
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★ ★★ ★★ ★★★ ★★
コメント  肉感派グラマラスバディの春川ますみ!死体役でずっと棺桶にいても血色の良さでバレると思うのだが、さすが白黒作品。そのあたりはわからない・・・
 通夜の日、政界に進出しようとしている北村(曽我廼家明蝶 )が5百万を持ってくるが、その帰りにすぎ江の“幽霊”に驚き階段から落ちて死んでしまう。もう一人の浮気相手である医師山越(金子信夫)とは共謀の末殺してしまう。そして遺体を病院の霊安室へ・・・
 残酷なようでコミカルな夫婦。最終的には若いツバメに走りそうになるが、夫婦喧嘩の末、麻見はすぎ江を殺してしまった。見破られた霊柩車の運転手毛利(渥美)までも殺してしまい、もうわやくちゃのまま最期を迎える・・・なんともシュール。悪銭身につかずということを、ここまで殺人を繰り返すことで皮肉っている。まぁ、「キイハンター」などでよくあるパターンだったかもしれない。
(2007.2)

三年身籠る 2005 日本
ゼアリズエンタープライズ
THREE YEAR DELIVERY
ストーリー  29歳の冬子は妊娠九ヶ月。出産予定日が過ぎても一向に生まれそうな気配がなく、やがて18ヶ月にもなり、マスコミも騒ぎ出す。
監督 唯野未歩子
出演 中島知子 西島秀俊 木内みどり
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★ ★★★
コメント  産みの苦しみよりも、笑えないギャグが苦しかった。
 完全に設定負け、タイトル負けしている映画だったような気がする。脚本も未熟。細かな突っ込みをすると枚挙にいとまが無いのですが、初っ端から「実家に帰ればいいのに」と家族の人間関係をすべて覆すかのような台詞。すべて妄想と捉えればいいのかもしれないですけど、最初から最後まで宇宙人の会話を聞かされているようで、ギャグでさえも笑えなくなってしまいました。
 台詞の抑揚や間の取り方は山下敦弘監督風だったように感じましたけど、彼の作品に見られる自虐ネタがないのです。それでも医者の海(塩見三省)だけは良かったような気がします。唯野未歩子さんの訴えたいテーマはなんとなく掴めるのですが、自分で書いた脚本の悪さによってそれさえも見えづらくなったのでしょうか。
 ちょうど団塊の世代の子供たちが精神的には大人になり切れなかった。今の世相を見ても児童虐待など、無責任な親の姿がクローズアップされて、赤ん坊が赤ん坊として生まれるよりも大人になって生まれてきたほうがいいのかもしれない。そうした問題提起も宇宙人たちの会話によってかき消されてしまいました。なにしろ西島秀俊がチンチ○を切ろうとしたことによって産気づいたのですから・・・どういう意味があるんでしょう・・・
 元々は女優の唯野未歩子さん。監督・脚本はまだまだでしたけど、今後に期待したいと思います。
(2006.6)














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