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ゼア・ウィル・ビー・ブラッド 2007 アメリカ
ディズニー
THERE WILL BE BLOOD
ストーリー  20世紀初頭、ダニエル・プレインビューは孤児のHWを連れて一攫千金を当てようとしていた。ポールという青年から油田の情報を仕入れ、土地の買い占めを始めるが、ポールの双子の弟でカリスマ牧師のイーライが警戒を強める・・・
監督 ポール・トーマス・アンダーソン
出演 ダニエル・デイ=ルイス ポール・ダノ ケヴィン・J・オコナー
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★★ ★★★★ ★★★★ ★★★★ ★★★★
コメント  ガソリンが170円台!
 H.Wが須賀健太に見え、イーライ・サンデー(ポール・ダノ)が吉岡秀隆に見えてしまったため、いつかH.Wの書いた作文を盗むんじゃないかと想像したのですが、全く違ってました。映画は石油屋ダニエル・プレインビューがイーライの双子の兄ポールの情報によって石油成り金になるストーリーであり、東京タワーならぬ採掘用のやぐらが見事でありました。
 採掘開始。ガス漏れ事故。落下事故。炎上。音響効果とともに凄い迫力の映像であります。パイプラインを作っているところを見ると、なぜだかベンチャーズの曲を勝手に頭の中で弾いてみたりするのですが、現代音楽っぽいサントラが不気味なのに心地よかったり。自分のうちにパイプラインが通ったならば、こっそり穴を開けてかすめ取りたいところです。
 アメリカンドリーム、大金持ち。成功するためには並大抵の努力じゃ無理だ・・・などと、偉人伝を描いた映画では決してなく、人を信じない、金の亡者、気に入らない奴はぶっ殺すなどという最低の人間の物語だ。牧師イーライは対立する構図というより、ダニエルにとってうざったい存在。教会に5000ドルの寄付くらいしてやれよ!と、ダニエルに一縷の望みかけたくなるけど、金儲けにならない事には契約があっても全て反故にしてしまうほどの性格だったのだ。
 かと言って、イーライを完全な善人としても描いていない。ダニエルが傲慢なアメリカそのものを象徴しているとしたら、その力を利用しようとする資源豊かな国が結局は裏切られることをシニカルに描いているのかもしれません。そうなってくると、「自分はあんたの弟だ」と言って近寄ってくる男なんて日本なのか?じゃあ、孤児のH.Wは?などと考えてみると面白い。
 

2007年アカデミー賞主演男優賞、撮影賞
同作品賞、監督賞、脚色賞、美術賞、音響賞、編集賞ノミネート
2008年ベルリン国際映画祭銀熊賞(監督賞)、銀熊賞(芸術貢献賞)
2007年ゴールデングローブ賞男優賞
その他
(2008.6)

青春☆金属バット 2006 日本
ゼアリズ・エンタープライズ=日本出版
ストーリー  
監督 熊切和嘉
出演 竹原ピストル 安藤政信 坂井真紀
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★ ★★★ ★★ ★★ ★★★
コメント  甲子園球児はグランドで汗を流し、汚ギャルはコンビニ裏で汁を流す。
 「汁?出た出た!」って、どこからどんな汁を流すんだよ・・・さすがに映画館内では臭いもわからなかったが、近寄り難い存在の汚ギャルであった。その汚ギャル様を殴り倒し金を奪うという、謎の酒乱巨乳の坂井真紀。どこにそんな豊満なお肉を隠し持ってたのか、かなり危険な存在でしたが、その彼女に出会ったことで野球に賭ける青春を取戻そうとする27歳コンビニ店員ナランバ(竹原ピストル)だったのだ。
 何をやってもダメな男にも甲子園出場という輝かしい過去があったのですが、エースの石岡(安藤政信)から頭にデッドボールを受けて以来、世の中がオレンジ色に染まったようです。そのオレンジ色だかよくわからない、フィルムにフィルターのかかったような暗さが独特の効果を生み出している。これはもしかすると“甲子園ノワール”と呼ぶべき犯罪映画か?とも思わせ、カツアゲされる中学生、新人コンビニバイト、汚ギャルの仲間、やる気のない石岡巡査等々が社会のゴミ貯めを這いずりまわっているかのような悪を演じている。
 とは言っても、悪から抜け出せなくなったような究極の悪ではなく、まだまだやり直すことができるような悪だったと思いたい(寺島進のキャラはダメかもしれない・・・)。かすかな希望はラストに見られるけど、やる気を出した原因もたいしたことないし、火をつけた中学生はその罪を一生背負わなければならないことを考えると、何が言いたい映画なのかもわからなくなってしまいます。
 でも、バットを振ることによって青春を取戻そうとしたり、どうすればいいのかわからなくてもがき苦しむ人間もいるということ。能天気な野球バカに救われる人間もいるかもしれないし、ちょっとしたことで立ち直ることだってあるんですよね・・・
(2006.10)

青春漫画〜僕らの恋愛シナリオ〜 2006 韓国
エスピーオー
ALMOST LOVE
ストーリー  康煕大学に通うジハンとチン・ダルレは幼馴染。ダルレにはジハンのテコンドー仲間で親友のヨンフンという恋人ができたのだが・・・
監督 イ・ハン
出演 クォン・サンウ キム・ハヌル イ・サンウ
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★ ★★★★ ★★★ ★★★★ ★★★★
コメント  『マルチュク青春通り』ではブルース・リーに憧れていたクォン・サンウ。今回はバイトでスタントマンをこなしながらテコンドー学部に在籍する、ジャッキー・チェンに憧れる男だ。
 もしかするととてもつまらないラブコメになるのかと思っていました。しかし上映開始直後、映画の祖といわれるリュミエール兄弟の映写風景から香港映画へと場面は変わり、映画への情熱がひしひしと伝わってくる始まり方。主人公の二人にしても、クォン・サンウはスタントマンという道を選ぼうとしているし、相手のキム・ハヌルだって上がり症だけども女優志望。少年時代にはスーパーマンTシャツを着ているし、ロボコップだって大好きな少年。二人でドライブ・イン・シアターで鑑賞していた映画が日本語の映画だったのが気になります。
 幼なじみという二人。キム・ハヌルには恋人ができたのですが、彼はクォン・サンウの親友でもあり、同じテコンドー仲間でもあるという基本設定。青春漫画というタイトルよりも少女漫画にしたほうがいいのではないかと思えるほどベタな三角関係と言ってしまえばそれまでなのですが、靴、秘密の場所といった伏線やサンウの書くシナリオやすべてが映画に繋がる設定。そして二人の暮らす家庭のバックボーンが秀逸なのです。
 ハヌルの家庭は介護を必要とする父親と物忘れのはげしい母親。家庭内では苦労が絶えないはずなのに、そんな辛さはおくびにも出さない天真爛漫なハヌル。この介護の精神もドラマの後半に伏線になるなんて想像もできなかったです。そして、ケンカも多い幼なじみだけど、いつも笑顔の二人は家族のような関係。一方の恋人となった男だって嫉妬も疑念もほとんどないほどのいい男。自分の幼なじみをサンウに紹介したりもする・・・悪い奴が出てこない。
 こうしたノホホンとした関係もサンウの突然の交通事故で一変する。スタント俳優の道が開けた直後の出来事。映画の雰囲気が天国から地獄へと落ちてしまったかのように、笑いがあった前半から涙だらけの後半になってしまいました。ラストにはもちろん感動できるのかもしれませんが、事故直後のシーンでボロ泣きでした。何が起きてもプラス志向で笑顔を絶やさないこと。今の心境にピタリとくるものがあったので満点にしたかったところだけど、音楽が全くダメでした。
(2006.9)

西部戦線異状なし(完全版) 1930 アメリカ
東京第一
ALL QUIET ON THE WESTERN FRONT
ストーリー  第一次大戦が始まって間もない頃、ドイツの町では群衆の声援に見守られて兵士が出兵してゆく。
監督 ルイス・マイルストン 原作:エリッヒ・マリア・レマルク
出演 リュー・エアーズ ウィリアム・ベイクウェル ラッセル・グリーソン
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★★★ ★★★★★ ★★★ ★★★★★
コメント  前線を経験した兵士の群像物語。
 町は戦争一色、歓喜の声。学校のラテン語のクラスでは老教師が若者たちに全員志願をそそのかす態度。「祖国のために死ぬのが本望」と訴え、行きたくない者まで拒否できないような雰囲気を作ったのだ。入隊した学徒たちは知り合いの郵便配達人が上官になってたことにとまどう。そんな和気あいあいとした雰囲気も、訓練と実践によって夢から覚める。
 いきなりの前線。鉄条網を張る作業。さっそくクラスメートの一人が戦死。なんとか生還するも現実を目の当たりにした若者たちであった。これが1930年に作られた映画?と、驚くばかりの迫力。愛国心なんて生と死の挟間で一瞬にして消え去る現状なのだ。
 壕に暮らし、休む間もない兵士たち。次々と仲間が死にゆき、彼らの雑談の中にも戦争の意義を問う反戦意志が生まれてくる。「国が国に怒る」などと現実味のない言葉。偉い連中が若者を使って得をしているだけだと気づくのだ。
 主人公のポールはある銃撃戦で敵兵と向き合い殺してしまう。自分を取り戻して敵兵を生かそうと努力するも死んでしまうのだ。やがて3年の時が流れ、自分も負傷し、死の恐怖を味わうことになるがなんとか帰還。休暇中に地元へ戻ると、新たな愛国心を養おうとしている老教師と、ポールを臆病者となじる生徒。「国のために死ぬよりも命を大事に!」と、実戦を経験した者の声も虚しく・・・やりきれない思いで戦地に戻るのだ。
 完全版は2時間10数分。敵地であるフランス女性と一夜を過ごすとか、コミカルな部分もあったりして、無駄な部分はあるがかなりの大作。アカデミー賞受賞も頷けるのだ。現在の世界情勢はもっと複雑なので単純には語れないけど、戦争が生まれる直接原因はいつの時代も同じだと思う。上の人間が自分の利益のために国民の愛国心を煽る。どうしていつも一般人は騙されてしまうのか・・・
 
1929〜30年アカデミー賞作品賞、監督賞
同脚本賞、撮影賞ノミネート
(2007.12)



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