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ジンギス・カン 1965 アメリカ
COL
GENGHIS KHAN
ストーリー  テムジンの父は族長。ジャムーガという敵に殺されるが、石の首枷をつけられ少年期を過ごす。
監督 ヘンリー・レヴィン
出演 オマー・シャリフ スティーヴン・ボイド テリー・サヴァラス
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★ ★★ ★★★ ★★★ ★★
コメント  あっという間に父を殺されるがテムジンの手のひらにあった“血の印”によって殺されずにすんだ。一族の敵であるジャムーガ(ボイド)。青年になった頃再びジャムーガに遭遇し、首枷をはずさせ逃げる。そこで長老ギーガと再会、センガル(ウッディ・ストロード)という黒人戦士も彼に仕え、モンゴル内で最小の族長となり、旅を続ける・・・西にはキリスト教文化もあるサマルカンド、東には万里の長城のある中国。中央だけが混沌としていた時代だ。
 あちこちの部族、キャラバン隊を襲い、奴隷を解放して部族に取り込んで大きくしてゆくテムジン。ジャムーガの婚約者モルテイ(フランソワーズ・ドルレアック)を奪って自分の妻にしてしまう。一度はジャムーガに奪われるもののすぐに奪還。途中、たまたま出会ったインド大使を助けて北京皇帝に接見し、満州族に侵略された土地を奪還する役目を買って出るのだ。戦闘に勝利し、ジャムーカを捕らえるが中国は彼をモンゴルに帰してくれないので、否応なく皇帝を殺害、後に征服するのだ。
 史実ではジャムーカは最初テムジンの盟友で後に裏切ったとあるから、永遠のライバルのような描写は映画を面白くするためだけのものだろう。実際にテムジンの妻を奪っていったのはメルキトらしいからテリー・サバラスがそうした役だったのだろう。
(2007.2)

真救世主伝説 北斗の拳 ラオウ伝殉愛の章 2006 日本
東宝
ストーリー  世界が核戦争で滅び、生き残ったわずかな人間たちは暴力の世界に暮らしている。南斗聖拳の聖帝サウザーが子供をさらい、一大帝国を作ろうとしていたころ、北斗神拳の3兄弟はそれぞれの道で闘い続けていた・・・
監督 今村隆寛
出演 宇梶剛士 阿部寛 柴咲コウ
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★★★ ★★★ ★★★ ★★★★
コメント  今年の邦画にはカップ麺映画が多いのか?!
 80年代に週刊少年ジャンプに連載され大ヒットしたコミック。TVアニメにもなり、これも人気が出た。そして20年経った今、なぜ作り直さなければならなかったのか?しかも人気俳優に吹替えを担当させるなんて・・・などと、全く期待しないでの試写会鑑賞となった。
 タイトルには「ラオウ伝」とあり、「北斗の拳」サーガ全5部作の第1章とも謳ってるようです。もちろん原作ではケンシロウが主人公であるし、もしやラオウを中心とした内容なのかもしれないとも期待しましたが、「お前はもう忘れてる」などと言われそうなほど記憶がないので、何も考えずに観たのです。冒頭では、核戦争後の未来。リュウケイが3人の養子をとって一子相伝の北斗神拳を伝授する等の説明。すぐに南斗と北斗の十人組手で幼少のケンシロウがピンチとなる過去のシーンへと移ります。すでに聖帝サウザーが帝国を築きあげようとしていて、そこにはユリア、レイ、シンもすでにいないことから、続編でも登場がないのかもしれません。
 長兄ラオウには修羅の国出身のレイナという女性戦士が腹心にいて、最初からケンシロウが北斗神拳伝承者と納得している様子です。次兄トキも病的ではありません。ストーリーの記憶がないので、何やら知ってるような知らないようなエピソードによってラオウがいい人のように描かれています。戦いにしても「ひでぶ」や「安部氏」が出てきませんし、一体どんな展開になるんだ?と心配になってきたところへ、大好きな南斗白鷺拳のシュウが登場するじゃありませんか!ここから一気に好感度アップしちゃいました。
 仁星のシュウがサウザーの築いたピラミッド聖帝十字陵を聖牌を担ぎ登る。子供たちは泣きそうな顔で彼を見守る。まるでキリストが十字架を担いでいるようで、このシーンで涙腺が決壊しました。ああ、第1部はシュウのための映画だったんだ・・・と感動してしまうと、その後の闘いがどうでもよくなってきたほどです。
 レイナ役の柴咲コウはあまりにもミスマッチだったし、ケンシロウの阿部寛も「アタタタタタ」という六連符のタンギングテクニックがなかったせいでしょうか、神谷明の雰囲気よりはブルース・リーの雰囲気でした。特に余韻を残す「ァァァ」という声は『燃えよドラゴン』を彷彿させるほどエコーが効いています。声でも良かったのはシュウでした・・・
(2006.3)

真救世主伝説 北斗の拳 ユリア伝 2007 日本
オリジナルビデオ
ストーリー  核戦争前、乗ろうとした旅客機が空中爆破。ユリアが予知で避けたのだ。保護者ダーマがリュウケンの元へ連れてゆく。大人になったユリアは天の声によりケンシロウとともに生きてゆくことを決意。しかし南斗のシンにユリアを奪われる・・・
監督 うえだひでひと
出演 阿部寛 石田ゆり子 宇梶剛士
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★★ ★★★ ★★★ ★★★
コメント  犬のトビーという原作にはないキャラ。リュウケンよりも長生きしている?
 サザンクロス編。ユリアの自殺は五車星のリハク、その娘トウ、フドウにより助けられ、シンはユリア殺しの罪を被る。南斗最後の将の話がいきなり登場。リハクに連れられ、ラオウ軍の覇業を見せつけられることになる。
 ダーマは南斗最後の将だった。ユリアがそれを受け継いで、ラオウと戦うために五車星とともに仲間を集める。
 洵愛の章にて、サウザーに一度敗れ倒れたとき、ラオウが助ける前に彼らがケンシロウの元へ行ったという裏ストーリーが楽しめる。レイはあっさり死んでしまい、登場もほとんどないのが残念。ジャギもシンもほとんど・・・
 トビーも重要な位置をしめていてこれも前作とリンク。
(2008.10)

真救世主伝説 北斗の拳 ラオウ伝激闘の章 2007 日本
デスペラード
ストーリー  ラオウの元を去ったレイナは修羅の国でラオウを待っていた。ラオウは拳王軍にはむかう南斗義勇軍の地方を訪れ、南斗最後の将の存在を知り、ケンシロウとの戦いが近いことを知る・・・
監督 静野孔文
出演 阿部寛 石田ゆり子 堀内賢雄
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★ ★★★ ★★★ ★★★
コメント  タイトルバックから香港カンフー映画風の音楽。気合いが入っているけど、前2作とは違い時系列通りに「北斗の拳」第一部のラストへと向かう。時系列といえば、トキも死んでいたし、順序を考えると、トキ伝を先に入れたほうがよさそう。
 五車星の活躍・・・特にヒューイやジュウザの活躍が全く無いところが痛い。唯一フドウの最期を劇的に描いてあり、感動させるも、ラオウの野望の強さのインパクトが強過ぎ。
 心に真の哀しみを背負った者にしか会得できないと言われる北斗神拳究極奥義“夢想転生”をめぐってラオウとケンシロウの戦いが面白い。しかし、このあたりは原作通り。映画的に盛り上がるんだけど、その分、新シリーズとしての面白味に欠ける。
(2008.10)

真救世主伝説 北斗の拳 トキ伝 2008 日本
オリジナルビデオ
ストーリー  ラオウ伝激闘の章の少し前、ラオウとトキの戦いを中心に描いた番外編のような内容。
監督 静野孔文
出演 阿部寛 石田ゆり子 堀内賢雄
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★ ★★★ ★★★ ★★
コメント  タイトルバックのトキの演武によるシルエットの北斗神拳の型がとてもよい。
 核戦争前、一子相伝の北斗神拳伝承者がまだ決まってない頃。ラオウ、トキ、ケンシロウ、そしてユリアが青春時代を楽しんでいるような雰囲気。原作には出てこない医者のサラとトキとの愛の物語も楽しめる。
 伝承者についてのそれぞれの考え。ラオウは元より野望があったが、リュウケンも認める真の伝承者はトキとなるはずだった。しかし余命4年と思われる病気のトキ。ケンシロウもそれを認めていたのだ。そしてシェルターでのエピソード(ユリア伝でも描かれていたが、ずいぶん絵が違う)。新たに追加したカットばかりなので、全て新しく描き直したような感じ。
 惜しいかな、ラストがトキとラオウの闘いになってるのはいいんだけど、何も感じなかった。
(2008.10)

真救世主伝説 北斗の拳ZERO ケンシロウ伝 2008 日本
ゴー・シネマ
ストーリー  
監督 平野俊貴
出演 阿部寛 石田ゆり子 堀内賢雄
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★★★ ★★★ ★★★ ★★★★
コメント  
(2008.10)

 
(2008.10)
ケンシロウ サウザー!きさまの髪の毛一本すらこの世には残さん!
この石段はシュウの悲しみ、一歩一歩かみしめてあがってくるがいい
シュウ ただで命をくれとは言わぬ、代わりに俺の光をくれてやる
ただ、あなたの力を知りたかった
神が最後にひとつだけ願いをかなえてくれた。
サウザー でかくなったな小僧
拳の勝負は貴様が勝った。だが、きさまはこの私が持つ帝王のさだめ(原作は流れる血)に負けたのだ
俺のために生きられぬ男に価値などない!
俺は蟻の反逆も許さぬ
退かぬ!媚びぬ!省みぬ!
ラオウ 人は得難し覇業は遠し
ここで死ぬのは許さん。お前を倒すのはわが拳をおいてのみ。
トキ われら北斗の者にはいかなる城塞も意味がない

人生は、奇跡の詩 2005 イタリア
ムービーアイ
LA TIGRE E LA NEVE 
THE TIGER AND THE SNOW
ストーリー  2003年、イラク戦争前夜のローマ。2人の娘を持つ詩人で大学講師のアッティリオは一人の女性を一途に愛していた。彼女がバグダッドで重症を負ったと聞き、すぐさま飛び立つのだが・・・
監督 ロベルト・ベニーニ
出演 ロベルト・ベニーニ ニコレッタ・ブラスキ ジャン・レノ
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★★ ★★★★★ ★★★★★ ★★★★ ★★★★★
コメント  人間には二種類ある。一途に愛し続ける者とその愛を受け入れる者だ。
 ロベルト・ベニーニが監督・主演をつとめた映画といえば、真っ先に『ライフ・イズ・ビューティフル』を思い浮かべる人も多いであろう。今作でも公私共にパートナーであるニコレッタ・ブラスキを思い続ける男を演じているベニーニがそこにいて、イラク戦争をモチーフに取り入れるなんてところにも共通項がありました。主人公アッティリオ(ベニーニ)は詩人。夢と現実を混同しているかのような楽天的な人物像は“イタリアのチャップリン”との異名を復活させたかのようにも感じられるし、東国原知事にも似たおでこの輝きも健在でした。
 『ライフ・イズ・ビューティフル』では後半に息子への愛情のウェイトが大きくなりましたけど、今作では2人の娘がいるものの愛の対象はずっとヴィットリア(ブラスキ)という女性だけ。彼女のことを想うと周りのモノが何も見えなくなるほど破天荒な行動を繰り返すコメディアンぶりを発揮していました。彼女はそんな一方的な愛をも鬱陶しく感じ、「ローマに雪が降る中、虎を見れたら考えてもいい」と言ってさらりと彼から逃げるのです。しかし、悲劇は突然訪れる。イラク人の詩人フアド(ジャン・レノ)が帰省し、その取材を続けていたヴィットリアが建物の爆発に巻き込まれて意識不明の重体に・・・
 イラク戦争勃発によりバグダッドへの空路も絶たれるが、赤十字の医師団に潜入。もう形振りかまわず彼女の看病をするために命を賭してイラクに乗り込むベニーニ。愛の深さをユーモアとシニカルな演出によって涙腺を攻撃され始める。どうしてこんなオッサンによって泣かされなきゃいけないんだと身構えつつも、ベニーニの献身とジャン・レノの嘆きを観ていると、米軍に催涙弾をぶちこまれたような気分になってしまうのです。そして、大人のファンタジーを現実味というスパイスを加えたラストシークエンスで心が温まり、意外な人間関係にも驚かされる。
 戦争は何故起こってしまうんだろう?そうした素朴な疑問と、バグダッドはかつての“バベルの塔”から近いという皮肉。言語の違いによる意思疎通や宗教の違いなど、様々なネタをも振り撒きながら、両極にあるはずの戦争と愛が身近にあるんだということを訴えてくる。人に感動を伝えたいがために詩人となった主人公という設定も、一見チグハグな構成ににじみ出ていたように思いました。
 映画の中のテレビで放映されていた映画は『続・夕陽のガンマン』。このイーストウッド主演映画でも性格の違う3人の人間が見事に輻輳していましたが、砂漠を歩かなければならなかったり、戦争に巻き込まれるところなんてのもかなりオマージュしているのかとも感じられます。また、ベニーニの夢の中で歌うトム・ウェイツもいい味出していました。今夜はいい夢を見させていただきます・・・
(2007.3)

親切なクムジャさん 2005 韓国
東芝エンタテイメント
SYMPATHY FOR LADY VENGEANCE
ストーリー  無実の罪で13年間刑務所で暮らしたイ・クムジャ。少年を殺害したのは誘拐を試みた相棒のペク先生だったのだ。彼女は復讐を誓い、ペクを追い詰めていくが・・・
監督 パク・チャヌク
出演 イ・ヨンエ チェ・ミンシク イ・スンシン
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★★ ★★★★ ★★★★★ ★★★★ ★★★★
コメント  伝道師の吉幾三はどうなったんだ?!そして、ビー玉もいいけど、ガッちゃんは?!
 13年もの間、無実の罪で服役したイ・クムジャ。刑務所内では顔が光っていたり、北の囚人に優しくしたり、魔女に復讐したり、腎臓移植したり・・・これはもう「親切」という言葉で表現できるものではない!わけがわからないほどの慈愛の精神に満ちた聖女のような女性だ。ということで、囚人仲間たちからも尊敬され、出所後に復讐しやすくなったクムジャさん。仲間は泊めてくれたり、拳銃を作ってくれたり、皆彼女を応援してくれる。
 パク・チャヌク監督の復讐三部作最終章であるこの作品。イ・ヨンエが可憐で内に秘めた復讐心を静かに燃えさせる女性を演じるために、『復讐者に憐れみを』『オールドボーイ』とはかなり印象が違っていました。特に刑務所内の落ちつきのある色彩と、出所後泊まることになる部屋の赤と黒の不安定な色彩の対比。そして、女性らしくケーキ屋で働くという明るさと復讐シーンの暗さの対比が面白いのです。それでも、主人公の痛いエピソード、痛い映像によって重い空気が漂ってきました。さすがパク・チャヌク。その辺りは三部作として一貫性を保ってます。
 最も凄いのは終盤の復讐シーン。こんなパターンは見たことがない。全く想像できませんでしたよ。あのシチュエーションで人間の心理がどう動くものか、殺したって死んだ人間が戻ってくるわけではないといった葛藤もあり、とんでもないことに巻きこまれた人間でも特殊な状況に置かれると・・・しかし、ちょっと笑えるところで救われる。
 イ・ヨンエの衣装の変化、特にラストの黒レザーで顔を半分隠す彼女は魅力爆発。チェ・ミンシクは脇ながらも怪演。ソン・ガンホやシン・ハギュンの友情出演もある(見逃してる)。今後人気が出そうなキム・シフや、ちょっと可哀想なイ・スンシン。最強の怪演だったのは魔女役のコ・スヒだ!(と、これだけカタカナで書くとわけわかりませんね)

2005年韓国チョンリョン映画祭主演女優賞

(2005.11)

新・平家物語 1955 日本
ストーリー  
監督 溝口健二 撮影:宮川一夫
出演 市川雷蔵 久我美子 林成年
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★ ★★ ★★★★ ★★★ ★★★
コメント  映像が凄い!NHKの歴史大河ドラマへも影響を与えたかのような展開だったけど、平安貴族などの映像がとてもリアルに迫ってくる。カメラワークはそれほど特筆するべきものじゃないけど、監督のこだわりが壮大な雰囲気を醸し出していたのだろう。ストーリーは特に面白いものじゃなかったけど・・・上皇の息子がどうとかこだわってた市川雷蔵が印象的だったけど。
(2006.8)

シンプル・プラン 1998 アメリカ
東宝東和
A SIMPLE PLAN
ストーリー  大晦日。ジェイコブ、ハンクの兄弟とルーの3人が猟で森に入ったとき、墜落した飛行機から450万ドルの大金を見つける。最初は警察に届けると主張していたハンクだったが、誰も捜していなければネコババしようということに決めた・・・
監督 サム・ライミ
出演 ビル・パクストン ブリジット・フォンダ ビリー・ボブ・ソーントン
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★★★★ ★★★★ ★★★★★ ★★★★★
コメント  小便で名前が書けるぜ!と聞いて大はしゃぎ。失業しても陽気なジェイコブ(ソーントン)。一夜明けて正月の翌朝。墜落した飛行機への痕跡を無くすための偽装をしようと現場に戻った兄弟。じいさんが通りかかったが、ジェイコブが殴り倒してしまう。
 それにしてもブラックな笑いを与えてくれる。「かみさんにも誰にも言うなよ」と完全秘密主義を貫き通そうとしたハンク(パクストン)が真っ先に妻に打ち明けたりする。また死んだと思ったじいさんが生きていたのがわかると殺して川へ捨ててしまう・・・
 兄弟で殺してしまった事実をジェイコブがルーに告げ、ルーは分け前を要求してくる。あの金は誘拐犯に対する身代金だったと知るハンクの妻。ハンク夫妻は子供を授かるが、妻はだんだん恐ろしい計画を・・・ルーにじいさん殺しを自白させる計画だ。
 大金を見つけたことで次々と不幸が訪れ、罪のない者まで死んでいってしまう。ルー夫妻や警官カールの複雑な銃撃戦でも正当防衛を基準にややこしく口裏を合わせようとするハンク。複雑さを嫌ってもっとシンプルにやりましょうと言う相手。妻サラとハンクが計画を立てるときには立場が逆転することも面白い。全ては大金が原因。金を燃やすとか飛行機に返すというシンプルな計画が一番良かった。
 ビリー・ボブ・ソーントンの役はビル・パクストンの兄さんであるが、父親の借金のおかげで豊かではなかったが、弟だけが大学に行かせてもらった。父の死は実は借金苦のための自殺だったということも弟に告げる。そして、「女の子とキスさえしたことがない」という女に無縁の人生だったのだ(実際は全く逆だろうけど)。
 偽のFBI捜査官が危険だということに気づいても飛行機捜索に出るハンク。兄は行かないつもりだったが、多分弟を守るつもりで出かけてしまう。彼が最後にとった行動に泣けてしまった。

1998年アカデミー賞助演男優賞、脚色賞、撮影賞ノミネート
1998年LA批評家協会賞助演男優賞(ソーントン)
1998年ゴールデングローブ賞助演男優賞ノミネート
その他
(2006.3)

親密すぎるうちあけ話 2004 フランス
ワイズポリシー
CONFIDENCES TROP INTIMES
ストーリー  6階にある精神科医モニエの診療を受けようと思っていたアンナは間違って税理士ウィリアムに身の上話をする。間違いだということも言えずにずるずるとセラピーを続けてしまう・・・
監督 パトリス・ルコント
出演 サンドリーヌ・ボレーヌ ファブリス・ルキーニ アンヌ・ブロシェ
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★★ ★★★★ ★★★★ ★★★★★ ★★★★
コメント  セラピーなんて誰でもできる?これこそセラヴィ(C`est la vie)
 パトリス・ルコント監督作品は好きです。オリジナリティ溢れる設定や会話の中に織り込んだ意味深な台詞、そして極端なまでの俳優のクローズアップ。瞬時にそれを吟味しながら登場人物の心理を読み取っても、自然な流れに乗って、置いてけぼりにされることはない。それでいて、冗長だとは感じられないほど独特の空気に包み込まれるような・・・だけど、いつも満点評価にはならない、何か忘れ去られたものを感じてしまうのです。
 今回も伏線だと思わせておいて、最後には煙に巻かれてしまったものがありました。一つは絵の代わりに買い漁ったブリキのおもちゃ。もしかすると北原おもちゃ博物館から借り受けたおもちゃを使っているのか?と疑ってしまうほど、コレクター心をくすぐる品々。父親から受け継いだ事務所から離れることを意識していた割には、父親の時代に流行っていたような逸品もあったかもしれません。
 そして、エレベーターに乗れないという強迫観念を持った患者の存在も、ある一線を越えるという意味では上手い伏線だったのに、エレベーターそのものが活かし切れてないような気もしました。まぁ、これはひょっとするとシンドラー社製だったためカットされたのかもしれませんが、定かではありません。
 ストーリーは、夫婦生活の悩みを精神科医モニエの診療所で受けようとしていた主婦アンナが間違って税理士ウィリアムの事務所に入ってしまったことが発端となり、間違いであると告げることのできない彼がそのまま何度もセラピーを続けてしまうといった内容。徐々にアンナに惹かれていく様子を演じるファブリス・ルキーニはまるでジョヴァンニ・リビシの父親であるかのような雰囲気で、口数が少ないのに心が手に取るようにわかるほどの上手い演技。モニエからも「いい耳を持ってる」などと言われるほどの聞き上手だったのでしょう。まさしく親密すぎるうちあけ話をアンナからじっくり聞くことになるのです。
 そのうち彼女の夫も心配して事務所に乗り込んでくるようになり、決定的なホテルでの衝撃的シーンを目撃させられることとなるウィリアム。セックスシーンもヌードもすべて排除。なのに艶っぽさが真に迫るような、そんなアンナを演じるのはサンドリーヌ・ボレーヌ。彼女の魅力溢れる演技のため、ウィリアムが取る行動も手にとるように想像できるのです。最後には事務所で無くしたジッポライターがいい小道具となり、エンドロールの映像ではタバコまで吸ってしまうウィリアムでした。まさに煙に巻かれたオチまでつきました・・・
(2006.10)



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