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シャドー 1994 アメリカ
Uni=UIP
THE SHADOW
ストーリー  30年代のNY。チベットから悪の贖罪のためにシャドーを使う男クランストンがやってきた。
監督 ラッセル・マルケイ
出演 アレック・ボールドウィン ジョン・ローン ペネロープ・アン・ミラー
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★★ ★★★
コメント  『バットマン』のようなダークなヒーローもの。だけど、ストーリーがさっぱり。チンギス・カンの末裔との戦いとかメインにするなら、余分なストーリーがどうしてもノリきれなかった。映像は面白いし、水槽の中で悶絶するボールドウィンはよかったのに。 
(2008.5)

しゃべれども しゃべれども 2007 日本
アスミック・エース
ストーリー  二つ目の落語家で、古典落語にしか興味の無い今昔亭三つ葉は未だ師匠に認められていない。ひょんなことから若い女性、関西弁の小学生、元プロ野球選手の3人を相手に話し方教室を開くことに・・・
監督 平山秀幸
出演 国分太一 香里奈 松重豊
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★★★ ★★★ ★★★★ ★★★
コメント  ・・・
 今昔亭三つ葉(国分太一)はマクラをすっ飛ばしちまいましたが、このブログ記事にしても冒頭文がいかに大切か・・・とはいっても、しゃべることと書くことでは雲泥の差があるってなもんで、毎回頭を悩ませるしろものでございます。
 真打を目指す二つ目の落語家(国分太一)がひょんなことから話し方教室の先生をやることになった。生徒といえば、会話が苦手だという女性(香里奈)、強烈な関西弁のため学校でも浮いている小学生(森永悠希)、そして元プロ野球の湯河原(松重豊)というユニークな3人。噺家の現状や、落語にチャレンジする国分がみどころだってな映画です。
 落語を知らない者にもわかるように丁寧に描いてくれまして、特に高座返しなんてのは生の落語を観たことのない人には新鮮だし、演題の内容よりも噺家の名調子そのものが魅力である“火焔太鼓”をメインにしてるのもいい。落語の“間”を大切にし、サゲ(オチ)よりクスグリが魅力だってことですな。その“火焔太鼓”の中に「世に二つという名器・・・」という部分がありますが、本来なら「世に二つとない」と言うべきところ、舞楽の火焔太鼓は右・左の対であるところも示してるんですな。また、この噺のオチの古い型は半鐘を仕入れた夫婦が大名が通ったときにジャンジャン鳴らし、ご近所では火事だと勘違いされ大勢が店になだれ込んできて道具をめちゃめちゃ(おじゃん)にされてしまうというものらしい・・・
 もうちょいと見てみたかったのがプロ野球解説だ。本音をじゃんじゃん言ってしまえば、仕事もなくなってしまうかもしれないけど、毒舌解説者としてファンは根付くはず。そういや、ビートたけしがゲスト解説者をやったとき、「原の顔に○○の顔にしてしまえば打てるようになる」などと大いに笑わせてくれたもんだ。彼のエピソードはもっと面白くできただろうし、香里奈の心理描写も唐突すぎて、ちょっと呆気なかったでしょうか。
 壁をなかなか越えることができない状態でも、ちょっとしたことが原因で“化ける”ことがある。人間の可能性を優しく描いた作品だと思うし、下町の人情を感じた映画だった。落語をもっと見てみたいと思わせてくれたし、ついつい古典落語の本を一冊買ってしまいました・・・
 
(2007.5)

上海の伯爵夫人 2005 イギリス/アメリカ/ドイツ/中国
ワイズポリシー=東宝東和
THE WHITE COUNTESS
ストーリー 1930年代の上海。暗い過去を持つアメリカ人の元外交官ジャクソン(ファインズ)が、ロシアから亡命してきた伯爵夫人ソフィア(リチャードソン)をホステスとして迎え、理想のバー“白い伯爵夫人”をオープンさせる。
監督 ジェームズ・アイヴォリー
出演 レイフ・ファインズ ナターシャ・リチャードソン 真田広之
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★★ ★★★★ ★★★ ★★★
コメント  中盤までかなり眠ってしまった。展開が遅すぎるのだ。アイヴォリー作品といえば貴族が主人公になるものが多く、どうもまったりしすぎている。この映画も途中まではまさしく彼の王道をいく作品であり、例外ではなかった。しかし後半の日本軍が侵攻してくる迫力は凄かった。目の見えないレイフ・ファインズの視点で描かれているため恐怖心を煽る。
 亡命貴族という没落ぶりの描写も大人しいがきちんと描かれ、娼婦と蔑んでいたソフィアを頼ってしまうところなどはかなり辛らつ。
 謎の日本人マツダを演じた真田広之には、上海在住の人からは恐ろしい人間のように描かれ、「彼がいたところはなぜか侵略される」といった日本軍の残忍さも言葉だけで表現されていた。なにより子役の女の子が可愛い感じでよかった。
(2007.3)

守護神 2006 アメリカ
ブエナビスタ
THE GUARDIAN
ストーリー  アメリカ沿岸警備隊の伝説的救命士ベン・ランドール。仲間を救えなかったことで落ち込み、Aスクールという訓練施設の教官に命ぜられる。そこには学生時代に水泳の記録をもつフィッシャーもいたのだ・・・
監督 アンドリュー・デイヴィス
出演 ケヴィン・コスナー アシュトン・カッチャー セーラ・ウォード
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★★ ★★★★ ★★★★★ ★★★★ ★★★★
コメント  伝説的なレスキュー・スイマーには水かきがついていた?
 海洋モノは映画館で観るにかぎると改めて思い知らされた作品でした。冒頭から激しい嵐の中で手に汗握る救助シーン。巨大で荒れ狂う海は小さな船など一気に飲み込んでしまうほど、もはや人間が小さな虫であるかのように手も足も出ない凄まじさ。救助活動も難航。「生きているかもしれない」と一縷の望みを託して救命士は海へと降下する。時間も限られ、やっとの思いで生存者をバスケットに乗せた瞬間、救助ヘリは荒れ狂う波に激突炎上する・・・大切な仲間も失い、心身ともに深い傷を負ったベン・ランドール(コスナー)はレスキュー隊員エリートを育てる学校の教官として赴任することになるのです。
 “so others may live”-自分の命を賭してまで救助しなければならない彼らの宿命。Aスクール級学校へと舞台を移してからは、日本映画『海猿』で描かれた雰囲気とそっくりだ。過酷な訓練のため半数は脱落するという18週間の学校。生徒を教えるのが初めてではあるが、これまで200人以上救助したという記録保持者のランドールの教育方針は、『海猿』とは違いより実践に近い。理論を丁寧に教えるよりも体に叩き込むという体育会方式だったのだ。体力測定するよりも1時間プールで立ち泳ぎさせるなんて、もうすでにアウトです・・・
 生徒の一人、学生時代に水泳で大活躍したジェイク・フィッシャー(アシュトン・カッチャー)。彼と教官ランドールの父子愛にも似た師弟愛が心に響く。仲間を失ったという精神的苦痛。何度も夢でうなされるほどのトラウマを持ったランドールがフィッシャーにも共通する何かがあると感じたところもいい。フィッシャーの“2”と彫った刺青、ランドールが語りたがらない実際に救助した人数。互いに秘密めいた部分に興味を持つのも面白い。また、単なる賭けから付き合うこととなった女性の存在や、妻に逃げられたランドールが事実を隠し続け、ずっと指輪をはめていたところも2人の人物像を盛り立てる。
 時間を気にしてないで見ていたら、まさか卒業して終わり?と焦ってしまいましたが、本当の面白さは卒業したフィッシャーがランドールの故郷へ赴任するところから。こうやって実地訓練でも師弟愛を発揮してくれるとは・・・あぁ。
 『ウォーターワールド』のことばかり考えていたので、ドライランドに住み着いた主人公がそのまま海の守り神になる話だと勘違いしていました。あ、当たってるのか・・・
(2007.2)

シューテム・アップ 2007 アメリカ
ムービーアイ
SHOOT 'EM UP
ストーリー  ニューヨーク。殺し屋に追われる妊婦を助けるハメになったスミス(オーウェン)。途端に狙撃者が次々と現れ銃撃戦に・・・妊婦は死亡。なんとか赤ん坊を出産させたスミスは追手をかわし、母乳プレイの娼婦のもとへ逃げ込んだが・・・
監督 マイケル・デイヴィス
出演 クライヴ・オーウェン ポール・ジアマッティ モニカ・ベルッチ
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★ ★★★★ ★★★ ★★★
コメント  野菜を食え!
 いきなりの銃撃戦。巻き込まれ型のクライムアクションかと思っていたら、コメディ型ガン・アクションだということに気づきました。何しろ冒頭ではニューライン・シネマのロゴマークが銃で撃ち抜かれ、007のパロディ風のオープニング。もしや、クライヴ・オーウェンのためのギャグだったのかと思わせるのですが、廃屋の風景はワーナーへのパロディだったのかは定かではありません・・・
 残虐な銃撃シーンにおいてもコミカル。なんだかコミカルなゾンビ映画を観ている気分にさせてくれる。序盤の絶体絶命のピンチに立たされるスミス(オーウェン)。屋上のネオンを撃ち砕いて“F・・U・K・・U”。負けじとポール・ジアマッティが“too”の文字を付け足す。笑わせてくれた。
 “TIT FOR TAT”とは“しっぺ返し”を意味する言葉だけど、三つ子のPAT、RAT、TATがママの乳首(TITS)を求めているが3人目のTATにはTITがない・・・などとわけのわからない解説をするジアマッティ。この元FBIのボスもIQが高い割にドジを連発するし、部下たちもそれ以上にドジ。それにアンチヒーローであるオーウェンもドジであるのが嬉しくなってくる。
 赤ん坊争奪戦には、銃規制を推進する議員一人のための精子バンクという背景があったけど、わけのわからぬストーリーはどうでもよくなってくる。母乳プレイのモニカ・ベルッチのおかしさも相乗効果となって、笑えるアクションだけを楽しむ映画なのだ。
 全体的にどことなくタランティーノ風B級アクションなのですが、タラちゃんのようなオタク度が欠落しているので、寒々とした雰囲気だけが後味として残る。指紋認証式の銃なんてのは面白かったのになぁ。
(2008.6)

娼婦ベロニカ 1998 アメリカ
FOX
A DESTINY OF HER OWN
ストーリー  1583年、ベネチア。女は男の所有物でしかなかった時代。ベロニカは青年貴族マルコを愛していたが、身分違いのため結婚できなかった。実在の詩人ベロニカ・フランコの半生。
監督 マーシャル・ハースコヴィッツ
出演 キャサリン・マコーマック ルーファス・シーウェル オリヴァー・プラット
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★★ ★★★★ ★★★ ★★★ ★★★★
コメント  大金を手にできる道はコーティザン(高級娼婦)になることしかなかった。結婚は契約、国家間の条約と同じと割り切っている母親(ジャクリーン・ビセット)。実は母親も高級娼婦だったのだが、父親が持参金を酒に費やしてしまった・・・結局、家柄よりも金!
 日本の花魁のようなものかと思っていたら、そうではない。知性と教養を磨き、目指すはクレオパトラのような女性。国防大臣に目をかけられ、総督や司教の間で評判になってゆく。そしてマルコ(シーウェル)は愛のない結婚を強いられる。即興詩の対決をするマルコの従兄弟マフィオ(オリヴァー・プラット)。総督の前で侮辱したことで決闘まがいの騒ぎに・・・そして助けてくれたマルコと初めてベッドイン。
 スルタンが攻めてきて窮地に立たされるベネチアだったが、援軍を求めるためフランス国王の相手もするベロニカ。戦争は収まったが次にペストの蔓延という危機がベニスを襲う。そしてベロニカも魔女として宗教裁判にかけられるのだ。審問官には復讐心を燃やすマフィオ。裁判のシーンは涙なしでは見れない。ベロニカ自身は処刑される覚悟だったのにマルコが共犯者だと告白し、慈悲を乞う。そして、かつての愛人たちも次々と立ち上がる。なんとなく滑稽にも思えるけど、人権を無視する魔女裁判にはこうした愛が必要なんだろうなぁ。
(2008.6)

少林少女 2008 日本
東宝
ストーリー  中国の少林拳武術学校で三千日の修行を終えた凛は日本で少林拳を広めるため帰国したが、廃墟となった道場に愕然とし、ひょんなことから国際星館大学女子ラクロス部に入ることとなった・・・
監督 本広克行
出演 柴咲コウ 仲村トオル 江口洋介
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★ ★★★★ ★★★
コメント  『燃えよ!ピンポン』では見られなかった鏡の間が・・・あぁ。
 “気”が強すぎて、心まで感じられなかった。どんなスポーツにおいても心技体が良い結果を出す。カメラアングルは面白いし、技術面は問題ない(しょぼい部分も多かったけど)。スタントなしの体当たりアクションもいい。だけど、この映画においても「心を教えている」などと江口洋介に言わせているのに、映画そのものに心が感じられないのです。まぁ、コメディには必要ないのかもしれないけど・・・
 設定そのものは面白い。チャウ・シンチーがクレジットされていることや予告編によっても期待度は高まるばかり。主人公の凛(柴咲コウ)が日本に帰って少林拳を広めたい、かつて学んだ道場が廃墟となった、そこの中国人留学生ミンミン(キティ・チャン)とともに再開することになり、交換条件として大学のラクロス部にも参加する、と、ここまでは良かった。コメディ部分としても『カンフーハッスル』の2人がいい味を出していたのに、製作側は岡村隆史に頼り過ぎた感があるのです。
 ストーリーもカンフーが中心かと思っていたのに、前半は9割くらいがラクロス。まさしく少林ラクロスだった。『ドラッグストア・ガール』でラクロスなるスポーツを知ったのですが、日本での競技人口も25000人と、人気があるようだ。それはそれでいいのだけれど、カンフーとしてクライマックスの対決に向かうには意味がない・・・「戦うな」などという台詞には深い意味がありそうなのに、それが全く活かされてないし、動機づけそのものが弱すぎる。なぜ仲村トオルが柴咲コウと戦いたかったのか、それすらわからなかった・・・道場破りというより、単に看板コレクターだったようだし・・・
 『燃えよドラゴン』のパロディというか、ブルース・リーのモノマネには驚かされた。だけど、笑いがなかったところをみると、誰も『燃えよドラゴン』を知らないのか・・・。どうせ色んなカンフー映画のパロディを取り入れるなら、もっとわかりやすくしなければならないと思う。そして、オリンピックイヤーということもあって、競技にはないラクロスや少林拳の代わりに聖火トーチを目立たせるとはなぁ・・・それもこれも1年後には忘れてしまってるに違いありません。記憶に残るのは「社長」と「タマゴ」だけなのかも・・・
(2008.4)

少林老女 2008 日本
ジョリー・ロジャー
ストーリー  人里離れた山奥にある“少林寺”にやってきた道場破りの“一本足”(長澤)に敗れ、門下生ごと道場を奪われた“少林老女”こと小林美代子(浅見)は芸人、ホームレスとどん底人生を味わうが・・・
監督 寺内康太郎
出演 浅見千代子 長澤奈央 仙波和之
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★ ★★ ★★ ★★
コメント  『少林少女』がラクロスならば、こちらはゲートボールで勝負だ!
 バリバリのパロディ映画になってるかと想像していたのに、単なるTVバラエティの延長上にあるかのようなコメディでした。パロディといえば、意外なところで『SAW』シリーズのパロディがあったのには驚き!
 郵便局員(上島竜兵)が“少林老女”こと小林美代子(浅見千代子)に書留を配達する際、返事がないので覗いてみると、本人が死んでいるのを発見。警察が来るまで現場に留まることになり、彼女自身が書いたと思われる自伝巻物を読んでいく・・・道場破りに遭い、2人の弟子を連れて放浪し、怪しげなバーで芸人として働いたり、ホームレスになったりと、彼女の波乱万丈の一生を垣間見るという内容だ。
 どうしようもないB級映画ではあるけど、ガッカリさせられた『少林少女』よりは味がある。それに、道場破りの“一本足”と名乗る武術の達人を演ずる長澤奈央のアクションがとてもいいのです。もちろん無表情の少林老女に感情移入できるはずもなく、むしろ、敢えて老女を主人公にしたオバカな映画を作ろうするスタッフたちの温かさが感じられるような映画でした。エンディングに登場するメイキング映像には真面目な演技指導が見られます。
 笑えるかと問われると困ってしまう・・・笑えないのだ。だいたい、素人の浅見千代子がバラエティのネタのために担ぎ出された存在なので、すべてにおいて“痛い”キャラクターだからかと思う。それでもなんとか楽しめるのは、ダチョウ倶楽部の竜ちゃんだったり、安田大サーカスだったりと、痛さを中和してくれる存在があったからなのかもしれません。そして、笑えるよりも泣ける場面もあったり・・・

(2008.7)

ショート・カッツ 1994 アメリカ
ヘラルド
SHORT CUTS
ストーリー  メド・フライと呼ばれる害虫を駆除するため、農薬散布のヘリコプターが市街地を飛び回る。都市の上にばらまかれた農薬によって、人々は次第に狂気に陥っていくのか
監督 ロバート・アルトマン
出演 アンディ・マクダウェル ブルース・デヴィソン ジャック・レモン
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★★ ★★ ★★★ ★★★★★ ★★
コメント  『ザ・プレイヤー』を見た直後なだけに、ピーター・ギャラガーの元妻を寝とったティム・ロビンスが面白い。とはいっても、10組もの群像劇で、長回しが印象的だったプレイヤーとは対照的。人間関係を把握するのが難しい。それも細切れのカットがテンポよく切り替わるのだ。
 事件らしい事件は、ケイシーという少年(マクダウェル、デヴィソンの息子)がリリー・トムリンにひき逃げされたことと、釣り仲間が女の死体を見つけてほったらかしにしたこと。最後はなんだか地震に騙された感じ・・・

1993年アカデミー賞監督賞ノミネート
1993年ヴェネチア国際映画祭金獅子賞、特別賞(全員)
1993年インディペンデント・スピリット賞作品賞、監督賞、脚本賞
その他
(2008.6)

処女の泉 1960 スウェーデン
昭映
JUNGFRUKALLAN
ストーリー  16世紀のスウェーデン。片田舎の豪農の娘カーリンが教会へ向かう。お供の召使いは異教とされてる神を信仰しているうえに娘に嫉妬して、途中で同行を渋る。先に出発した娘は3兄弟のヤギ飼いに襲われ殺されてしまう。
監督 イングマール・ベルイマン
出演 マックス・フォン・シドー ビルギッタ・ペデルスン グンネル・リンドブロム
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★★★ ★★★★ ★★★★ ★★★★
コメント  オーディンの神よ、来い。野性美あふれる女インゲリは迫力がある。しかもお腹には父親もわからぬ子供が・・・
 マリアのロウソクは処女が供えなければならない・・・などとキリスト教の掟にしても考えさせられるものがある。森が暗いからと入るのをためらうインゲリ。天真爛漫さのため怖いものは何もないカーリンが馬に乗って森を進む。乞食のような粗末な男たちとも親しげに食事するが、突如牙をむくのだ。インゲリは遅れてカーリンを追い、現場をすべて目撃してしまう・・・自分がパンの中にはさんだカエルもむなしく・・・
 3人の男たちは暖を求め豪農の屋敷の世話になるが、カーリンから奪った衣服を売ろうとしたのだ。インゲリは憎んでいたことや黙って見ていたことを懺悔し、父親テーレ(シドー)は木の枝で身を清め、男たちを殺すことに・・・
 召使を連れて娘の遺体の地へ向かう一行。娘を抱きかかえると、そこから突如泉が湧いてくるのだった・・・。復讐したことの赦しを乞い、償いのためこの地に教会を建てると誓うテーレ。彼の行いを赦すかのような神秘的な出来事だ。全体を通して、宗教の違いを提示していたが、その信仰を超越する神話のような世界。名作とされてはいるけど、宗教を超えた復讐という人間の性を提起している問題作といった感じだ。3兄弟の末っ子(暴行や殺人には直接関わってない)にはとどめを刺さなかったところも気になる・・・
 インゲリの罪ということも考えさせられる。テーレには「カーリンを憎んでた」とか「暴行されればいい」と告白しているが、女である上に身重であることを考慮するとそれほど罪は重くはないのだろう。最後のシーンで泉を真っ先に浴びたことからも、テーレとともに神に赦された人物だったのかも・・・

1960年アカデミー賞外国語映画賞
同衣裳デザイン賞ノミネート
1960年カンヌ国際映画祭FIPRESCI(国際映画批評家連盟)賞、特別賞
1960年ゴールデングローブ賞外国映画賞
(2007.12)



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