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スカイ・クロラ The Sky Crawlers 2008 日本
ワーナー
ストーリー  戦争請負会社のロストック社に所属する戦闘機パイロット、カンナミ・ユーイチはヨーロッパの前線基地に配属されるが、以前の記憶は無く、自分が“キルドレ”であること、操縦能力があることしか知らない・・・
監督 押井守
出演 菊池凛子 加瀬亮 栗山千明
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★ ★★★★ ★★ ★★
コメント  監督が「若者に伝えたいことがある」なんて言わなければ評価できたと思う。
 赴任する前の記憶・・・わからない。ただなんとなく見たことがある。あ、この犬はバセットハウンドだ。ダイナーの壁に“INNOCENCE”って書いてある(食べ物?)。前任者はJIN-ROHか・・・聞いたことがある。スイトさん、パンツはいてください!
 主人公やナレーターがゴタクを並べるほうが意味わからなくて面白いと思うのに、なぜだかラブストーリーが得意な脚本家・伊藤ちひろにまかせている。このことによって言葉ひとつひとつが重みを持って、ストーリーはわかりやすいけど、逆に感情移入しにくくなるような気もします。もちろんそれは、3Dパートと2Dパートに分かれたことによって、2Dの能面的な主人公の表情が原因でもありますが・・・。3Dパートの空中戦は迫力あったのですが、後ろプロペラ戦闘機のおかげでどっちに飛んでるのか錯覚してしまいました。
 大人たちが作り出した“ショーとしての戦争”・・・キルドレと呼ばれる思春期の姿のまま永遠に生き続けることを宿命づけられた少年少女たち。それが平和を享受するために必要不可欠とされてはいるけど、実際には不可能だろう。戦闘映像に狂喜乱舞したり、戦争請負会社にベッティングしたり、株を買って儲けようとしたり、やがては一般大衆も潜んでいる戦闘本能に火が付き、争いの原因になりかねない。もしこの設定が可能であるのなら、映画やテレビでスプラッター映像を垂れ流しにすれば殺人事件が起こらなくなるはずだ。
 一方、キルドレたちが戦争でしか死ぬことができないという選択肢のない不自由さ。そしてその閉塞感は、生きることの意義を見いだせないでいる若者にとっては共感できるものがあるかもしれないけど、“ティーチャー”を倒すことによってしか変えることができないのは空しすぎる。命の尊さを訴えようとしながらも、結局は特攻精神のごとく命を捨てることしか描かれていないのだ。仮に、手塚治虫が作ったならば、キルドレの誰かが逃亡するか会社を破壊しに行くはずです・・・(参考:火の鳥)
 エンドクレジットに行定勲の名前を見て、『春の雪』でやり残したことをこの映画に託したのかと思いましたが、結局は、生まれ変わっても同じ人を愛するというラブストーリーの要素が最も強くなったのですね。反戦要素は見当たらないどころか、必要悪として認めてしまっているところが痛い。
(2008.8)



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