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手紙 2006 日本
ギャガ・コミュニケーションズ
ストーリー  殺人を犯した兄のために差別に苦しむ弟の物語。
監督 生野慈朗
出演 山田孝之 沢尻エリカ 玉山鉄二
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★★ ★★★★ ★★★★ ★★★★ ★★★★
コメント  パソコン買いに行くからね。と選んだパソコンのOSがXPだったらTV版「タイヨウのうた」のパロディになりかねない。
 冒頭の強盗殺人シーンで早くも涙腺決壊状態となりましたが、過失致死で無期懲役にされてしまうほど日本の裁判は歪んでしまっているのだろうかと憤りをも感じました。貧しさ故の犯行、天津甘栗の供述などがあっても情状酌量にも持ち込めない弁護士。「ひとごろし」の身内であるという理由で陰湿なイジメに遭う現状。被害者家族の苦しみだけがクローズアップされる世論の中にあって、加害者家族の苦悩を取り上げたテーマは素晴らしいことだと思いました。
 お笑い芸人を目指すという主人公の心。映画でも上手く伝えてありませんでしたけど、周囲の人たちに迷惑をかけてしまったという贖罪や、笑いのない生活から人を笑わせることによって抜け出し、一縷の希望を見出そうともがき苦しんでいる心情があったのだと勝手に解釈しました。しかし現実は甘くない。近しい人たちは彼の心を理解してくれるだろうけど、有名になってしまえばスキャンダルとして芸能界から締め出しを食らってしまう。まだ若かったために本名を隠すとか、芸能プロダクションの政治力を借りるとかいう小賢しい手段も思いつかなかったのでしょう。親友で相方の尾上寛之だってそこまで対策を考えていなかったようなので、コンビ解消も承諾するしかありませんでした。
 お嬢様である吹石一恵を好きになってしまったのは不幸なことですけど、彼女の家に招待された直後くらいに山田孝之がもっと悩むという描写が欲しいところでした。そして手切れ金を受け取るかどうか逡巡するシーンにおいて、直結はしないものの「受け取ること」イコール「お笑い芸人を辞めること」くらいの重大な転機でもあるので、描写の工夫が欲しかったです。
 テーマとなる手紙・・・吹越満も美味しいところを持っていきましたが、やはり沢尻エリカが良かった。可愛いというだけで評価されない、生きていくたくましさをも感じさせる演技力を発揮しました。ただ、関西弁を使うという設定の必要性の乏しさ。標準語を使わないことによって、逃げること、そこで生きていくこと、人と繋がりを持つことといったことを考えると、結局は関西から関東という「差別のない国」に逃げてきたことにはならないんだろうかと疑問に感じてしまいます。
 前半の要所をしめる田中要次はいいアクセントとなっていましたが、資格を取るために大検を受けてもしょうがない。誰か「大検よりも他の資格を」と教えてあげなくてはいけないと思いつつも、人知れず勉強しているのでどうしようもありません・・・誰か教えてあげてください!
(2006.11)

手紙 1997 韓国
エスピーオー
THE LETTER
ストーリー  国文科の大学院生ジョンインは駅で財布を落としたことが縁で林業研究所研究員のファニュと付き合い、めでたく結婚することに。幸せの日々はそう長く続かず、ファニュが脳腫瘍でジョンインを残して世を去るのだ・・・しかし、彼女の元には生前の彼からの手紙が届き・・・
監督 イ・ジョングク
出演 パク・シニャン チェ・ジンシル チェ・ヨンミン
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★★ ★★★ ★★★★ ★★★
コメント  大型テレビもパソコンも揃ってるのに、存在感をアピールしている古時計が好き。
 プリントが悪いのかカメラが悪いのか、古い映像だな〜と思って観てたら、なんと1997年作品でした。しかも翌年には韓国で興行成績第1位だったそうで、難病モノの教科書のような映画なのでしょう。最近の映画によく見受けられる変化球はなく、ずばり直球勝負!夫は死んだはずなのに手紙が届くという設定も、それほど謎めいていないし、誰が送っているのかが気になるだけのお話です。それでも劇場内はすすり泣く声が多く、泣かなくちゃいけないような気分にさせられました。
 気に入ったのはぜんまい式の柱時計だけじゃなく、自然の中の一軒家を新居とする彼らの生活。主人公のファニュ(パク・シニャン)は車も持たず、大学院に通う妻のジョンイン(チェ・ジンシル)をバス停まで歩いて迎えにいくライフスタイルにも憧れてしまう。雨降りの夜のシーンなんて『となりのトトロ』を思い出させるほどでした。林業研究所に勤めるファニュは花も大好き。彼女と付き合うきっかけを作ったのも、京江駅にフリーの鉢植えを並べていたからなのです。
 イチャイチャ楽しい新婚生活。でもバカップルじゃない。そりゃ水遊びなんかの子供っぽいこともするけど、ベッドに入るまでは向かい合って勉強している微笑ましい光景も見せてくれるのです。しかし、そんな幸せな時間はいつまでも続かなかった・・・
 韓国映画が急成長する以前の映画ということもあるし、直球勝負だということもあるし、完成度は低いもののヒットした理由もわかる。コインのエピソードなんて、どこかで見たことあるけど、微笑ましいものがありますね。
(2007.10)

テキサス・チェーンソー 2003 アメリカ
日本ヘラルド映画
THE TEXAS CHAINSAW MASSACRE
ストーリー  1973年、テキサス州。5人の若者がコンサートを見に行く途中で呆然と歩く一人の少女を乗せる。少女は「そっちへは行かないで!」と叫んだかと思うと、いきなり銃で自殺を図る。
 実際の事件を元にした『悪魔のいけにえ』のリメイク。
監督 マーカス・ニスペル
出演 ジェシカ・ビール エリック・バルフォー ジョナサン・タッカー
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★★ ★★ ★★★★ ★★★ ★★★★
コメント  カーラジオからは「スウィートホーム・アラバマ」が流れている。彼らは大好きなレーナード・スキナードのコンサートに向かっているのだ。「フリーバードもやるかな?」と楽しそうに会話する。「アラバマとフリーバードは必ず演奏するよ!」と教えてしまいたくなるところだ。もうここで私の心はワゴン車の若者たちと一緒に旅をすることになった。
 ああ、この映画は怖い映画というより痛い映画なんだ。と、ピリピリと痛さが伝わってくる。ジェイソンよりは明らかに弱そうな犯人にも象徴されるように、これは猟奇殺人者の怖さよりも周りの人間の狂気を表現している映画なのだ。特に保安官の異常ぶりには震えがきてしまいます。尚、ラストの展開がちょっとだけ違った方向に行けば、もっと高い評価が出来たでしょうね。

2004年ラジー賞ワーストリメイク賞ノミネート
(2004.3)

テキサス・チェーンソー ビギニング 2006 アメリカ
角川ヘラルド映画
THE TEXAS CHAINSAW MASSACRE: THE BEGINNING
ストーリー  1969年、リー製肉工場が閉鎖となってから、トム・ヒューイットのいる家族はおかしくなった。彼が工場職員を殺し、それを追った保安官がホイト(保安官の名前だった)に殺され、若者4人がこの町に立ち寄った。
監督 ジョナサン・リーベスマン
出演 ジョーダナ・ブリュースター マシュー・ボーマー テイラー・ハンドリー
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★★ ★★ ★★★★★ ★★★★ ★★★★
コメント  前作でもレーナード・スキナードの曲の発表年月が微妙だったが、今回はフリーの「オールライト・ナウ」が微妙にずれてる。しかもイギリスのバンドだし・・・
 「子供の名前は何にする?」と聞かれて「ボニー&クライドだ」と答えるところはなかなかのものでしたが、彼らにとって本当に『俺たちに明日はない』でした。時代は前作から遡ってトーマス・ヒューイット(アンドリュー・ブリニアースキー)の生い立ちとその家族を描いたもの。製肉工場稼動中に異常な状況下で生まれたトーマスはゴミ箱に捨てられ、彼が拾われたところから始まるのです。
 1969年、ベトナム戦争が激化し、ディーン(テイラー・ハンドリー)の兄エリック(マシュー・ボーマー)がベトナムへと旅立つところだった。ディーンも徴兵されていたけど、メキシコへ逃げようとしていたという設定で、それぞれのガールフレンドとともにドライブで立ち寄ったテキサスの町で悲劇が起こった。
 徴兵を拒んだ若者に対して、それを詰る狂気のホイト(R・リー・アーメイ)の構図。「愛国心がないのか!テメーは!」と鬼教官並に詰め寄る姿なんかを見ていると、愛国心を強要する人間が最も冷酷なんじゃないかと感じます。もしかして社会派ホラー?などと一瞬マイケル・ベイを見直してしまいたくもなるのですが、やっぱりスプラッタームービーでした。
 ほとんど前作と同じようなシチュエーション。どうしてこうもビギニングものが流行ってしまったのかわかりませんが、新たな発見といえば、レザーフェイスの出生の秘密や、ホイトがなぜ保安官の格好をしているのか、叔父さんの両足がなぜ切断されたか、といったことくらいです。工場が閉鎖されて家族が狂気に走った理由まではわかりません。もしかするとブッシュの生まれたテキサスの空気がそうさせたのかもしれませんし、ブッシュもヒューイットをいじめていた一人だったのかもしれませんし、ブッシュとヒューイットが親戚だったのかもしれません・・・謎です。
 監督も交代しましたけど、オリジナル『悪魔のいけにえ』の監督トビー・フーバーの名前が製作として加わっています。続編も作られるのでしょうけど、33人の人間を虐殺したらしいので、殺される合計人数が33人になるまで作られ続けるのでしょう。残り3作くらいなのかな・・・
(2006.11)

出口のない海 2006 日本
松竹
ストーリー  1945年4月、潜水艦に極秘任務を帯びていた若者4人がいた。彼らは人間魚雷とも呼ばれる特殊兵器“回天”に乗り込む予定だった。
監督 佐々部清  原作:横山秀夫 脚本:山田洋次
出演 市川海老蔵 伊勢谷友介 塩谷瞬
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★★ ★★★★ ★★★★ ★★★★ ★★★★
コメント  俺を軍神にさせてくれ!そうすりゃ靖国に奉られ、少なくとも家族には数十年間軍人恩給が支払われるんだ!
 魔球が夢だった野球青年は後に軍神とされたのかどうかはわからないけど、フォークの達人がハマの大魔神として活躍していたことは記憶に新しい。物語の主人公は甲子園の優勝投手、そして大学野球を続けながらも肩を痛めて魔球を研究していた青年並木(市川海老蔵)。速球はもう投げられないと諦めていたが、彼は魔球開発を夢見て野球に打ち込んでいた。しかし、彼の同級生でマラソン選手の北(伊勢谷友介)が召集令状の届く前に志願したり、中学生でも出陣しているという話を聞くにつれ、自らも志願する道を選んでしまった。
 恋人美奈子(上野樹里)にさえ軍の秘密を漏らすことはできない。特攻で自分が死にゆく身であることすら伝えることができないのです。戦友同士では家族のためにだとか夢を追い求めるためにだと語り合えるのに、正直な心を伝えられないことの悲しさが伝わってきました。終戦間近、日本は負けると皆わかっていた状況下で、「何のために二度と帰れないと知りながら回天に乗ったのか」というテーマが半ば自暴自棄とも思える言動で重くのしかかってきます。
 面白いことに、この映画は戦争の悲惨さを直接的な映像にすることを意図的に避けているように思えます。それが並木の父(三浦友和)の「お前、敵を見たことあるのか?」に集約され、敵だって人間であること、アメリカ人は野球も好きなんだという単純なことを改めて教えてくれます。「国って何だ?」といった問答も、愛国心が議論される現代的なテーマに絡めて考えさせられました。もちろん、当時は「お国のため=天皇のため」ですから、見たこともないので「家族のため、恋人のため」だとしか答えようがありません。
 たまたま朝の連ドラ『純情きらり』が敵国の音楽であるJAZZがテーマとなっているので共通項があって興味深いのですが、どちらも三浦友和が父親であるという偶然も見過ごすわけにはいきません。そのほか、俳優陣の中で気に入ったのが柏原収史。突撃直前の表情が凄まじいものがありました。全体的には抑え目の演出であり、日記の朗読によって補完するような内容だったため、小説を聞かされているような感覚に陥ってしまったのがマイナスポイントでした。それでも人間魚雷=回天についての知識を与えてくれる、戦争を理解するためには必見の映画かと思います。
(2006.9)

デコトラの鷲 祭りばやし 2003 日本
デコトラの鷲フィルム・パートナーズ
ストーリー  荷物を運んで手伝った田中(ルー大柴)の旅館で休んでいると、彼が借金のためチンピラたちに責められるところをまた助ける。そして浅草三社祭に帰ってくる鷲であった。
監督 香月秀之 脚本:佐藤弘幸、土肥清美
出演 哀川翔 こずえ鈴 柳沢慎吾
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★ ★★★ ★★ ★★
コメント  2、3作目を先に見ていたせいで、冒頭のデコトラレースには違和感さえあった・・・。なんとなく『トラック野郎』の雰囲気さえある。軽くオープニングエピソードの後は浅草の仲間たちの紹介だ。鷲の住んでた部屋にハーフのルーシー(こずえ)が住んでるなんて寅さんのような設定だけど、鷲や欽太がソープ好きだなんて、トラック野郎みたいだなぁ・・・
 ルーシーは人力車のバイトをしながら、生き別れた父親“田中重雄”を捜していた。バッグを盗んだ犯人を捕え顔写真を見ると・・・ルー大柴!感動的な親子の再会もこいつじゃ感動できない・・・と思ったら、ビルから突き落としてるし・・・
(2007.12)

デコトラの鷲 其の弐 会津・喜多方・人情街道! 2004 日本
デコトラの鷲フィルム・パートナーズ
ストーリー  デコトラ運転手の飛田鷲一郎はトラックレースで東北を目指していた。途中、ヒッチハイクの末フラフラになった青年孝作を拾う。孝作の目的地、姉が働く障害児施設に到着するが・・・
監督 香月秀之 脚本:呑繁
出演 哀川翔 野波麻帆 柳沢慎吾
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★★★ ★★★ ★★ ★★★
コメント  人情に篤く、女好きの鷲一郎。孝作の姉と出会った途端、目をつけた。孝作は父が死に、借金のかたに住む家も取られたため、居候する目的だった。
 福祉施設の閉鎖問題、孝作と姉の母親との再会、施設の子供たちが抜け出した事件、密接に繋がるエピソードを心地よく絡めて、翔兄キのコミカルな演技でまとめあげる。腐りかけた鯖という伏線を最後まで引っ張る脚本もお見事だ。基本の血の繋がらない親子と血の繋がった親子のテーマ。深刻にならずに人情コメディとなっているこの映画は、失恋を続ける『男はつらいよ』の雰囲気さえ感じられる。実家の浅草の店や、香具師の代わりにトラッカー、兄貴を慕う柳沢慎吾や仲間たち。そして、結局は失恋してしまう主人公といった設定は寅さんを思い出してしまうのだ。これはぜひともシリーズ化して続けてもらいたい。
 
(2005.10)

デコトラの鷲 其の参 恋の花咲く清水港 2005 日本
デコトラの鷲フィルム・パートナーズ
ストーリー  母親が危篤だという夢を見て慌てて浅草に帰る鷲。怪しい男に連れ去られそうになる山本蝶子(真中)を助けるが、彼女は記憶喪失になっていた。
監督 香月秀之 脚本:呑繁
出演 哀川翔 真中瞳 柳沢慎吾
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★★ ★★★ ★★ ★★★
コメント  清水の次郎長の舞台の練習がはかどらない義弟の欽太(柳沢)だったが、母親の一声で鷲が次郎長を演ずることになってしまった。当然ハチャメチャ・・・ところが、それを見た次郎長の子孫だという山本長十郎(コロッケ)が全国興行をうちたいと言ってきた。
 清水からトラックに乗り込んだ蝶子はサンバのチラシを見つめるのだが、その程度しか思い出せないのだ。結局怪しい男たちに連れ去られ、トラック仲間の助けを借りて到着した先が大豪邸。彼女は大会社社長(鈴木ヒロミツ)の娘だったのだ。なんとか蝶子の記憶を取り戻そうとする面々・・・そして、詐欺師の長十郎は社長の弟で、蝶子の本当の父親だったのだ。
 嫌味な婚約者とのドタバタサッカーもあり、ベタなRhマイナスの輸血騒ぎなどもあったし、オチも楽しめるといった展開。最後にはあれ?上手くいっちゃうの?と、続編の楽しみがなくなる寂しさも感じられるけど、最後の最後で大どんでん返しの『卒業』パターン。記憶喪失合戦のドタバタ劇は余計だったような・・・
 「いい夢見させてもらったぜ」という柳沢慎吾のお決まりフレーズも聞かれる。NG集も笑えました。
(2007.12)






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