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天空の草原のナンサ 2005 ドイツ
東芝エンタテインメント
DIE HOHLE DES GELBEN HUNDES
ストーリー  モンゴル遊牧民一家のドキュメンタリー風ドラマ。
監督 ビャンバスレン・ダヴァー
出演 ナンサル・バットチュルーン ウルジンドルジ・バットチュルーン バヤンドラム・ダッディ・バットチュルーン
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★★ ★★★★★ 評価できない ★★★
コメント  モンゴルと聞いて真っ先に思い浮かぶのは朝青龍をはじめとする大相撲だろうか。それともキラー・カーンの“モンゴリアン・チョップ”であろうか。
 “天空の草原のナンサ”などとタイトルだけを聞くと宮崎駿アニメかと思ってしまうが、この映画は実在の遊牧民家族が演ずるドキュメンタリー風ドラマです。両親とともに移動式住居ゲルで暮らす3人の子供たち。大草原の中で羊を飼い、毛皮を売って生計を立てるつつましい生活なのです。子供たちはみな髪に二つのちょん髷を結っているので全員女の子だと思っていたら、末っ子が男だった・・・
 子犬を洞穴で見つけたナンサは“ツォーホル”と名付け、連れて帰るものの父親が「狼の仲間かもしれない」などと言って飼うことを許してくれなかった。誰が見ても狼には似てないのですが、ナンサは父親の言うこと理解できたのでしょうか。どこの国の子も同じで、とても可愛く感じられます。
 家族は全員素人。演技なんて関係なく普段の生活をしていればOKなのです。演技が上手かったといえば、犬のツォーホルが一番でしょう。次点がハゲタカです。父ちゃんが馬に乗って走る姿も感動的でしたが、移動手段をバイクと使い分けているのがよくわかりません。どっちが速いんでしょう?
 移動式住居を分解するシーンがなんとも言えない味わい深さ。イナバ物置みたいなものなのでしょうか・・・
(2006.2)

天軍 2005 韓国
エスピーオー
GENERAL OF HEAVEN
ストーリー 2000年6月の歴史的な南北首脳会談を契機に、両国は共同で極秘裏に核兵器の開発に乗り出す。やがて核兵器“飛撃震天雷”が完成するが、諸外国の反発を招き、飛撃震天雷は2005年10月、アメリカに引き渡されることに。これに不満を抱いた北朝鮮のカン・ミンギル少佐は、核物理学者のキム・スヨンを拉致すると飛撃震天雷から核弾頭を奪い逃走する。これを韓国軍のパク・チョンウ少佐率いる部隊が追撃する。両者が激しい銃撃戦を繰り広げる中、突如時空がゆがみ、南北軍人とキムは1572年へとタイムスリップしてしまう。彼らはそこで残虐な蛮族と対峙、手にしていた銃でそれを追い払ったことから、農民たちから“天軍”とあがめられる。やがて一行は、後に豊臣秀吉率いる大船団を撃破し英雄として朝鮮史にその名を刻むことになる若き李舜臣と出会うのだったが…。
監督 ミン・ジュンギ
出演 キム・スンウ パク・チュンフン ファン・ジョンミン
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★★ ★★★★★ ★★★ ★★★
コメント  一言でいうと韓国版『戦国自衛隊』なのですが、『1549』よりかは面白かった。
 冒頭から南北朝鮮の首脳会談の映像。リアリティを追求してるのかなぁとも感じたのですが、南北共同で核開発したためにアメリカ、日本などから非難を浴びて核をアメリカに引き渡すことになったなんて凄すぎるストーリーです。決定されてすぐに北の将校が核弾頭を盗み出して逃走し、それを追った韓国軍部隊が衝突した途端にタイムスリップ。そこからは全くの『戦国自衛隊』。蛮族に襲撃される村人たちを助けるシーンや、タイムスリップしたことを知った兵士たちの驚愕の表情などはリアルに演じていました。
 一行が出会う歴史上の人物は朝鮮史に残る英雄、若き李舜臣だったのですが、全く英雄然としていない弱っちょろい男で単なるこそ泥だった。ヒーローをヒーローとして扱うのではなく、実はこういった人間像だったという興味深い視点で描いています。南の兵士たちには歴史を変えてはならないという意識もあるのですが、李舜臣はなにしろ豊臣秀吉を撃破した英雄。彼に活躍してもらわなければ日本の植民地になってしまう危機感で行動します。北朝鮮の兵士は「韓国が作り上げた偶像にすぎない」と真面目に受け取りませんが、その言葉に対して「北だって金日成を偶像化してる」と反論するところが面白いところ。
 『トンマッコルへようこそ』と設定も似ているけど、天軍と崇められてからは村人とは交流しない。南北統一という目的は首脳会談である程度達成されたという設定(共同部隊も作ってたらしい)もあったけれど、一触即発、「アメリカの子分」「アカ野郎」などとすぐにケンカを始めてしまいます。アジトとした山奥の廃屋でも必ず境界線を引いたりして、李舜臣に怒られるなんてところも興味深い。
 最後には村人を守るために蛮族と戦うことになるのですが、それでも中心となるのは李舜臣を守るため。生々しい映像と臨場感たっぷりの音響効果で手に汗握ってしまいました。このクライマックスには映画館ならではの迫力に大満足したのですが、やはり核の問題を考慮すると不満が噴出してきます。ヒロインが核物理学者であるというのも・・・
(2006.11)

DENGEKI 電撃 2001 アメリカ
ワーナー
EXIT WOUNDS
ストーリー  デトロイト警察のボイド刑事(セガール)は強引な捜査ばかりやってしまい、副大統領を川に放りこんだことを問われ15分署に送られる。
監督 アンジェイ・バートコウィアク
出演 スティーヴン・セガール DMX イザイア・ワシントン
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★★★ ★★★★ ★★★ ★★★★
コメント  『マトリックス』の製作者が放つ娯楽アクション大作!全米ナンバー1となった映画だし、ちょっとドジなセガールだから結構楽しめる。セラピーにも通わされるが、車窃盗団だけにはアクションはばっちり。しかし、肝心なところでは潜入捜査官の邪魔をしてしまったりして、交通係に回されるが、そこでも交通渋滞を引き起こすドジ。
 ラトレル(DMX)という捕まらない男を探すため、保管センターに行って事件に巻き込まれ、単独行動を非難される始末。黒人刑事クラーク(ワシントン)と組んで捜査するうち、警察内部に汚職があるとにらむ。
 どんでん返しもすごいが、特に印象に残る女警察署長がの死やカーアクションにおける危ないスタントが壮絶!もう騙されっぱなし。特に、怪優ブルース・マッギルにはやられてしまった。欲を言えば、エヴァ・メンデスにもっと活躍してもらいたかった。TVコメンテイターのトム・アーノルドもgood

2002年MTVムービーアワード ブレイクスルー演技賞(DMX)ノミネート
(2006.4)

天国の門 1981 アメリカ
UA
HEAVEN'S GATE
ストーリー  大学を卒業したジム・エイブリルとビリー・アーバインは20年後にワイオミングで保安官と牧場主として再会する。町は荒野に佇む移民たちが盗賊とされ、裁判でも無罪となっていた。それを牧場主協会が一斉に処刑しようと計画していた矢先・・・
監督 マイケル・チミノ
出演 クリス・クリストファーソン クリストファー・ウォーケン ジョン・ハート
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★ ★★ ★★★★ ★★★ ★★★
コメント  1870年ハーバード大の卒業式。制作に巨額の金をつぎ込み、ユナイトをつぶしてしまったと言われる曰く付きの映画だ。しかし、アメリカ西部が発展途上にあった時代の移民問題。なかなかの社会派的要素もある。骨太でアメリカの暗部を描いていて、移民を人間とも思わないような良識のある(?)市民たち。
 酒や服と一緒に簡単に銃が買えるアメリカ。矛盾ばかりが目立ってしまいましたが、この映画だって矛盾というか、ラブロマンスが途中にあると主旨がわからなくなってしまう。途中から眠くなって3時間半もある内容の1時間ばかり寝てしまった。
 迫力あるシーン、特にラストのジェフ・ブリッジスが恋人を殺されるシーンが凄かった。

1981年アカデミー賞美術監督・装置賞ノミネート
1981年カンヌ国際映画祭コンペ
1981年ラジー賞ワースト監督賞
同作品賞、主演男優賞、脚本賞、音楽賞ノミネート
(2006.9)

天国は待ってくれる 2007 日本
松竹
ストーリー  仲良し3人。宏樹(井ノ原)は朝日新聞社へ、薫(岡本)は銀座の鳩居堂へ、武志(清木場)は父の働く築地で仕事をするようになった。
監督 土岐善將
出演 井ノ原快彦 岡本綾 清木場俊介
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★ ★★★ ★★ ★★ ★★
コメント  永遠の三角形とは合同条件を満たすモノ。
○三角形の合同条件
1)三角形の3組の辺がそれぞれ等しい
2)三角形の2組の辺と、その間の角がそれぞれ等しい
3)三角形の1組の辺と、その両端の角がそれぞれ等しい
 東京・築地で育ったA宏樹(井ノ原快彦)、B薫(岡本綾)、C武志(清木場俊介)は幼なじみで家族同士も仲良し。社会に出てからはそれぞれ東京築地にある朝日新聞東京支社、銀座の鳩居堂、築地の魚市場で働くことになる。少年時代に「聖なる三角形は永遠だよ」などと手を繋いだりしたものだったが、武志一人が働く時間も違い、揃って会うこともなくなってしまうのです。そんな武志はある日、3人が揃ったところで薫に突如プロポーズする。そして結納の日、武志は交通事故に遭い・・・オープニングはその3年後から始まり、Cが入院している病室では「ただいま」「おかえり」などと挨拶を交わし、「ここはアバンティ病院ですか?」と言いたくなるほどフレンドリーな病院が映し出されます。
 3人の三角形が永遠であるためには合同条件を満たさねばならない。すなわち合同条件の1〜3のどれかに適合すればよいのですが、子供が大人になり一辺の長さは変わるものの、それが友情とか愛情だと解釈すれば、子供三角形≡大人三角形(ダッシュで示す)が導きだされるのです。すなわち辺AB=辺A´B´、辺BC=辺B´C´、辺CA=辺C´A´。したがって△ABC≡△A´B´C´
 ところがC武志が交通事故で意識不明が続いたために辺B´C´と辺C´A´の長さに狂いが生じてしまいます。その場合、辺A´B´だけは同じ長さなのですから、合同条件(3)により角A´及び角B´が等しければそのまま合同であることがわかります。しかし、プロポーズ(辺BCの変化)したことによって辺A´B´にも微妙なズレが生じてしまい、その長さを保つためには子供の頃からBがAを好きだった事実を証明して結婚するという方法が最適であると考えられたのです。
 物語には、彼ら3人の親もまた幼なじみというサブストーリーがあり、D中村育二、Eいしだあゆみ、F蟹江敬三と似たような三角形が存在します。ここでもDがEを好きなのに告白できなかったという思い出話が語られ、子供たちとの関係も似ていることから△ABC∽△DEF(相似条件2)が成り立っているのです。さらにFの娘でありCの妹であるG戸田恵梨香が築地で働く若者HとIからも好かれていて、ここにも小さな三角形が存在していたのです。朝日新聞社、鳩居堂、魚市場の距離関係はわかりませんけど、このストーリーは三角形抜きには語れない内容となっていました。
 それぞれの角ABCは等しきモノだとするならば、プロポーズによって変わったバランスを元に戻せるのか・・・そして意識不明のCはどうなるのかと壮大に広がる幾何学的解決をよそに、ごく単純に解決しようとします。しかし、Aにはそれほどの演技力も感じられないこと、Bだってそれほどの演技力がないこと、Cにいたっては演技が上手そうなのにずっと眠っていたこともあって、盛り上がる場面はほんの僅か。マグロを大胆にさばくところもかっこいい、その市場の様子だけが印象に残りました。

○三角形の相似条件
1)3組の辺の比が全て等しい
2)2組の辺の比と、その間の角がそれぞれ等しい
3)2組の角がそれぞれ等しい

聖なる三角形は永遠の三角形
(2007.2)

天使の贈りもの 1996 アメリカ
ブエナ
THE PREACHER'S WIFE
ストーリー  クリスマス間近の聖マシュー教会。牧師のヘンリー・ビックスは素晴らしい歌声の持ち主である妻ジュリアと5歳の息子がいたが、教会の存続に悩んでいた。彼の前にダドリーと名乗る男が現れるが、なんと天使だと言う・・・
監督 ペニー・マーシャル  
出演 デンゼル・ワシントン ホイットニー・ヒューストン グレゴリー・ハインズ
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★★★ ★★★ ★★ ★★★★ ★★★
コメント  黒人の集まる教会。『天使にラブソングを・・・』よりも派手なゴスペルを歌うホイットニー。語り手となるのは息子のジェレマイアだ。ヘンリーが「神よ」と願うと、タイミングよく空から降ってきたダドリー(ワシントン)。
 金銭的にも困って教会を取り壊し、自分は他の教会へと移ることを決意するが、最後のクリスマスの説法で急に再建を決意するラスト。天使が立て直してあげるんじゃなくて、落ち込んだ心を変えるという展開がいいですね。
 しかし、音楽ばかりが目立ってしまい、途中はかなりだらだらしている。もっと短く軽快に描いてくれればいい映画になったと思う。

1996年アカデミー賞音楽賞ノミネート
(2006.10)

天使の卵 2006 日本
松竹
ストーリー  美大を目指す浪人生一本槍歩太は斉藤夏姫と恋人同士。ある日電車で知り合った五堂春姫に一目ぼれするが、彼の入院している父親の主治医となり、夏姫の姉であることがわかった・・・
監督 冨樫森
出演 市原隼人 小西真奈美 沢尻エリカ
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★ ★★ ★★★ ★★★ ★★
コメント  「テンタマ」などと略されるとちょっとやばいかも・・・
 「あなたみたいな娘が嫁に来てくれればね〜」などと息子歩太(市原隼人)が店に連れてきた夏姫(沢尻エリカ)を一目で気に入ってしまった一本槍幸恵(戸田恵子)でしたが、『純情きらり』では宮崎あおいが嫁に来てくれたので大満足していました。そんな母親も夫が精神を病んで入院中。やがては新たな恋人と再婚なんてことも考えてたのでしょうけど、その恋人は『純情きらり』での宮崎あおいのお父さんでした・・・
 美大を目指す浪人生の歩太は恋人である夏姫を鬱陶しく思っていたのかもしれません。受験があるからと距離を置いていたにもかかわらず、デートに誘ったり電話をしたりで、かなり積極的な様子。しかも10年も入院している父親のことも気になっているし、どちらかといえば心のやすらぎを求めていたのかもしれません。そして年上の女性に憧れを抱く年代だし、落ち着きのある小西真奈美に一目惚れするのも理にかなっている。彼の揺れ動く気持ちもよくわかるし、そういう時代があったものだと妙に心に響いてくるいい雰囲気の前半でした。
 しかし残念なことに、ストーリーが大きく転換してからが一気に熱が冷めてしまいました。基本的に医者は自分の患者の葬式には出ないもの。医者に成り立ての五堂春姫が感情を抑えきれずに出席したのは許せるけど、同僚まで参列するのはどうかしている。まぁ、彼もどこかおかしい医者でしたが・・・
 時代の設定においても、現在のシーンは4年後の世界。何度も行ったり来たりするのは映画の編集としては当たり前ですが、時代の差を感じられないことも痛かった。原作が1994年発表作なのだから、小道具を思い切って古いままにしたほうが潔いと思う。そうすれば、携帯も薄型ハイビジョンテレビも要らないし、和田アキ子の「あの鐘を鳴らすのはあなた」だって似合っていたかもしれません(無理か・・・)。
 泣いている観客も何人かいましたけど、春姫の過去の聞いたあとには頭の中が疑問符だらけになってしまい、全くのめり込めませんでした。春姫の夫が死んだ時に妹が小学生だったというから彼女はまだ10代。結婚したのは高校時代だったのかもしれません。そして、未だに傷が癒えない弱々しさと同時に、夫の家から籍を抜かない逞しさを兼ね備えていたのです。
 あぁ、絵を書くシーンも美しい景色もよかったし、俳優の演技もよかったのに、なぜか泣けない映画となってしまいました。尚、続編の『天使の梯子』でも女性が8歳年上らしいのですが、作者はこうした年の差カップルがお好きのようです。
(2006.10)

天使の梯子 2006 日本
TVM(朝日)
ストーリー  前作から10年後。夏姫は高校教師時代の教え子である慎一(渡部)と再会する。姉のときと同じく8歳年下のこの大学生を好きになってしまったのだ。しかし、慎一には付き合ってる彼女がいた・・・
監督 新城毅彦
出演 ミムラ 要潤 渡部豪太
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★ ★★★ ★★ ★★★ ★★★
コメント  10年経った。だけど頭の中では1日しか経っていない・・・
 映画が公開される日の翌日にTVMとして続編が放送されるなんて、商売上手なファンサービスなのか、ますます混乱させる目的なのかわかりません。が、これは映画よりも良かった。もちろん映画を観ているからこそ全てが繋がり、「許すこと」という大きなテーマに感動できたのですが・・・
 ショールを飛ばされてしまった夏姫(ミムラ)。歩道沿いの木に引っかかってしまったが、これを斉藤夏姫が高校教師だった頃の教え子の古幡慎一が梯子をかけて取る。彼の初恋の相手が彼女だったのだ。テンタマの次はフルチン(慎一のニックネーム)だ。歴史は繰り返す。8歳年下の男性を好きになる姉妹というのも当てはまるのだろうか、同じようなシチュエーションで同じような台詞が恋人同士の間でかわされる。そして、映画『天使の卵』のシーンが何度も挿入され、映画を観てない人にはとても不親切。
 せっかく高校教師になったというのに夏姫は1年で教師を辞めてしまったようだ。原因はもちろん姉の死だったのですが、ドラマを見ていると想像以上に悩み苦しんでいたようでした。「いくら恋人でも相手の携帯を勝手に見てはいけない」「二股はかけちゃいけない」という単純なことがテーマであるような前半部分でしたが、慎一の祖母の死や慎一の恋人がかつての夏姫と同じ立場になって同じ「一生許さない」という台詞を吐いたことでグサリとくる。
 もしかすると人が何人も死ぬことによって泣かせようとしてるんじゃないかと心配してしまいましたが、そうではなかった。10年の間ずっと贖罪に苦しんだ結果、それぞれが人を許すということに気づく。希望のある終わり方だったので、映画よりもいいテーマになっていたように思いますが、可哀想な登場人物は残ってしまいます。まだ若いからやり直せるのかな・・・
 山口百恵の「プレイバックpart2」を使うってのはどうよ・・・
(2006.10)

天然コケッコー 2007 日本
アスミック・エース
ストーリー  島根県の田舎。小中合わせて6人の複式学校に東京からイケメンの転校生がやってきた。
監督 山下敦弘  原作:くらもちふさこ 脚本:渡辺あや
出演 夏帆 岡田将生 夏川結衣
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★★★ ★★★★ ★★★★ ★★★★
コメント  天然コケッコーというタイトルは、先生オシッコーでもよかったような・・・
 ストーリーに大きな展開があるわけでもない作品なのに、どうしてここまで心に染み入るのだろう。舞台となっている島根県の田舎。山に囲まれていながら、ちょっと歩けば海にも行き着くという、自然たっぷりの地域。いつかは廃校となってしまうかもしれい、小中合わせて7人の生徒の学校。過疎、無医村、高齢化などといった社会問題も取り入れることもできたのでしょうけど、あくまでも子供達の視線から描き、観る者の胸の奥にしまってある大切な思い出を喚起させてくれるような映画でした。
 「行って帰ります」・・・方言丸出しの俳優たちがとてもよかったけど、「行ってきます」をこのように言うことが新鮮だった。また、主人公の右田そよ(夏帆)の自然な演技とともに、おしっこを漏らしてしまう小1のさっちゃん(宮澤砂耶)が上手すぎ。“等身大の演技”などという言葉よりも、ドキュメンタリー映画を観ている気にもさせてくれたと言ってもいいくらい。
 山下敦弘監督のオフビート感たっぷりの演出も健在だったし、シーンの終わりに必ずと言っていいほどの小技が冴えていました。また、『ジョゼと虎と魚たち』『メゾン・ド・ヒミコ』を手がけた脚本家の渡辺あやの功績も大きいのでしょう。今まで同年代の男子がいなかった村に転校してきたイケメン男子の出現。恋愛に憧れる少女という世界などではなく、女だらけの楽園に突如現れた男という雰囲気なのです。情報社会だとか、耳年増といったものとは無縁の少女の心情を見事に表現できていたように感じました。
 ずっと気になっていた季節感。映像よりも自然の音や小動物の鳴き声が映画の中に心を引き込んでくれたようです。そして、順撮りなのかどうなのか。中2の夏から始まって、1年半という期間。子供達が微妙に成長したかと思わせるほど、丁寧に作ってある作品でもありました。もっともっとこの世界に浸っていたい。だけどお別れがくるんですね・・・ああ、名残惜しい、チュッ。!
(2007.8)



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