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チェ 28歳の革命 2008 アメリカ/フランス/スペイン
ギャガ・コミュニケーションズ=日活
CHE: PART ONE
ストーリー  アルゼンチン人のエルネスト・ゲバラはバティスタ独裁政権が支配するキューバで反体制派のカストロと出会い、ゲリラ戦中心の革命を目指す。
監督 スティーヴン・ソダーバーグ
出演 ベニチオ・デル・トロ デミアン・ビチル サンティアゴ・カブレラ
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★★ ★★★★ ★★★★ ★★★★
コメント  戦争に勝っただけ。これから革命を目指す。
 ドラマチックじゃない戦争映画ともいうべきだろうか。あるいは革命とは何なのかをゲバラ目線で真摯に追ったドキュメンタリーなのだろうか。第一部でははっきりしないこともあり、人間ゲバラとしての魅力は伝わってくるけれども、映画としての面白さは無視しているかのよう。例えば、フィデル・カストロ(デミアン・ビチル)との出会いや葛藤などはあっさりしすぎだし、クライマックスまでの工程に抑揚がないなど・・・
 序盤では革命軍の兵士の数人が見張りの立場を利用して村人を襲ったりするエピソードもあったりするが、緊迫感など微塵もない。おまけに58年の映像に数年後のインタビュー映像を交えてあるなど、ソダーバーグらしいといえばそれまでだが、俳優ベニチオ・デル・トロの名演やゲバラの崇高な思想が伝わってくるだけでストーリーにのめり込むことはないのです。やはり、チェ・ゲバラという人物を知っている人向けの映画なのだろうか。革命に共感する心理変化だとか、尊敬されるに至るカリスマ部分はさっぱりわからないまま。
 それでも当時の状況がよくわかる親切な部分があり、わずか1.5%の人間が46%の土地を所有しているとか、20%の人間は死ぬまで職を持つことができない等、行き過ぎた資本主義経済やアメリカ帝国主義に食い物にされているキューバの国が伝わってくる。たまたま百年に一度の世界的大不況となっている現在において、似通った雰囲気が感じられるのも事実。社会派歴史ドキュメンタリーとして捉えるのもいいかもしれません。
 愛のない革命なんてあり得ない!政府軍に対しても余計な殺生はせず、人間の大きさや温かみが感じられるエルネスト・チェ・ゲバラ。「祖国のために死を覚悟せよ」と兵士を指揮するものの、彼自身はアルゼンチン人なのだ。奥が深い。
 他の登場人物ではカミロ(サンティアゴ・カブレラ)や後の妻となるアレイダ(カタリーナ・サンディノ・モレノ)など、魅力的な人間が多い。これも愛に溢れるゲバラという革命家がいたおかげなんだろうな。
(2009.1)

チェ 39歳 別れの手紙 2008 アメリカ/フランス/スペイン
ギャガ・コミュニケーションズ=日活
CHE: PART TWO
ストーリー  1965年、キューバから姿を消したゲバラに関して、カストロが彼の“別れの手紙”を公表した。1966年、ゲバラは変装してボリビアに潜入しゲリラ部隊に合流する・・・しかし、武装蜂起を否定するボリビア共産党の協力を得られず、食料不足、アメリカに援助を受けた軍の攻勢に窮地に立たされる・・・
監督 スティーヴン・ソダーバーグ
出演 ベニチオ・デル・トロ カルロス・バルデム フランカ・ポテンテ
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★★ ★★★★ ★★★★ ★★★★★
コメント  ヅラ?
 しばらく誰だかわからなかったほど変装が上手かったチェ・ゲバラ。これほどまで徹底しなければ自由に入国できない要注意人物だったのですね。前章ではキューバ革命の成功までを描き、希望に満ちあふれていたチェ・ゲバラは、1966年、ボリビアに潜入しゲリラ部隊に合流する。キューバのように貧困に喘ぐ者救うという崇高な理想のために・・・
 このボリビアという国は鉱山労働者らの武装蜂起により1952年、革命が成立してい事実を初めて知った。この革命政権は軍事クーデターによって1965年に失権したため、再び貧困層が拡大したらしいのだ。ゲバラとしてはキューバでの経験を生かそうとするのだが、武装蜂起を否定する共産党の援助を得られず、まずは食糧の面で困窮する。しかし、『28歳の革命』のときと同じく農民から何も奪わない。ちゃんと金を払って食糧を買うのだ。
 ジャングルの中でゲリラ訓練が続くが、故郷に帰る者も現れ、やがてゲバラが活動していることがボリビア政府に漏れることになる・・・ラモン、フェルナンドと名前を変えてたのに意味があったのだろうか。政府軍はアメリカの援助を受け、農民を騙して有利になり、どっちがゲリラなのかわからなくなるほど解放軍を攻撃。追いつめられた上、ゲバラは薬を置き忘れたこともあって喘息が悪化。農民たちはかつての革命により土地を得たためか、新たなゲリラ革命には興味がなく、その上政府によって洗脳されたためにゲバラたちは窮地に立たされたのだ。
 キューバ革命の頃のゲバラの言葉には力強さがみなぎっていたけど、今回の彼の言葉にはどことなく死を感じさせる弱々しささえあった。「50年後に・・・」というのも諦めが入った言葉。もしかすると、今世紀に入り、南米各国で新たな動きがあるのも予言していたのかもしれない。しかし、その弱々しさを忘れさせるほど高潔な思想や行動には恐れ入った。農民が政府の言葉に騙されていることに落胆するよりも再教育を選んだところも微笑ましいくらいでした。政府を倒すことが目的ではない。農民たちを豊かにするのが目的なのだから・・・
 終盤になると、彼の運命が見えてくるので胸が苦しくなってきた。山岳での攻防戦では「身を屈めろ!」などと声を出しそうになったくらい。2時間超の淡々としたドラマではあったが、その単調さゆえにゲバラの魂がじわじわと身体に入り込んでくるかのようだ。すべては貧しい人々のために・・・21世紀に入り、かつての過激派のカリスマ的存在だった時代とは違った意味で再評価されているのもこの生き方そのものだったのだと感じる。どちらに主眼を置くかという前後編の違いからしても、決してゲバラ万歳・革命万歳の映画になっていないところもいい。

(2009.2)



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