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地下室のメロディー 1963 フランス
ヘラルド、ジョイパック
LA MELODIE EN SOUS-SOL
ANY NUMBER CAN WIN
ストーリー  5年のムショ暮らしの後、青年と組んでカジノの現金強奪を計画するシャルル。
監督 アンリ・ヴェルヌイユ
出演 ジャン・ギャバン アラン・ドロン ビビアーヌ・ロマンス
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★★ ★★ ★★★★ ★★★ ★★★
コメント  カジノに眠る10億フランという大金。何も悩まずに大仕事を受けることでもわかるように、相当の悪党なのかもしれない。ジャン・ギャバンは観客には偉大な計画の概略を知らせず、細かい指示ばかりする。トイレの鍵をかけるな、チップをはずめ、プール側の部屋等々。もっと根本的な女をドライブに誘うとか、楽屋に自由に出入りできるようにという指示が失敗したら全て計画がくずれるようなものだ。言ってみれば穴だらけの計画。
 ラスト、プールに浮かぶ大金紙幣が何とも美しい。ストーリーは全く大したことないのに、プールの底から鞄のふたが開いて・・・という印象的な終わり方です。

1963年ゴールデングローブ賞外国語映画賞
(2005.5)

地下水道 1956 ポーランド
劇場未公開
KANAL
ストーリー  ワルシャワ蜂起後の1944年9月、ザドラ中隊長以下45名のレジスタンスはドイツの猛攻を逃れ、徹底抗戦するが、地下水道を通って中央区への後退を余儀なくされる。
監督 アンジェイ・ワイダ
出演 タデウシュ・ヤンツァー テレサ・イジェフスカ エミール・カレヴィッチ
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★★★ ★★★★★ ★★★★ ★★★★
コメント  冒頭、「かすり傷よ」と言う担架で運ばれる女性の右足が無かった.。戦争の悲惨さと、愛国心溢れるレジスタンスの勇気を感じる前半。音楽家の奏でるピアノにも悲壮感が漂っていた。地下道に入ってからは、圧倒的な閉塞感と死に面したポーランド人の苦しみ。汚水から発する有毒ガスとドイツ軍の放つ手榴弾に怯える様が観ているだけで息苦しくさせる。
 朦朧とする中で、人間が極限状態になると色々な方向へ進んでしまう。戦争によって狂気と化す兵士たち。意外と民間人女性のほうがたくましかったりする。助かっても、気が狂ってしまってはなぁ・・・

1957年カンヌ国際映画祭審査員特別賞
1958年英国アカデミー賞新人賞(テレサ・イジェフスカ)ノミネート
(2005.5)

地下鉄のザジ 1960 フランス
映配
ZAZIE DANS LE METRO
ストーリー  パリのガブリエル叔父さんのもとに預けられた女の子ザジ。地下鉄に乗りたかったのにスト中。そのためかイタズラ好きを発揮する・・・
監督 ルイ・マル
出演 カトリーヌ・ドモンジョ フィリップ・ノワレ カルラ・マルリエ
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★ ★★★★ ★★★ ★★★
コメント  バルブーズという香水について語る叔父さん。芸術家とも言っていたけど、どうなんだろう?
 変なおじさんに声をかけられジーンズを買わせたり、食事をおごってもらったり・・・スラップスティック調で追いかけっこ。
 エッフェル塔が世界一だった頃のパリ。観光映画のように色んなところを見せてくれる。日常会話に戦争の話も出てくるし、コメディを通して自由恋愛のお国柄をも紹介しているような。
 ガブリエルを追って4人のドイツ娘とか年増婦人は面白いけど、終盤のドタバタぶりはドリフ並だ。結局地下鉄には乗ったのに眠ったままだったザジ。「疲れちゃった」とだけの感想だったんだから、子供から見たらそんな世界なんだろうな・・・
(2008.10)

近松物語 1954 日本
大映
ストーリー  京都、宮中の絵巻表装をする老舗。二代目の妻おさん(香川)は親戚の金の工面を職人の茂兵衛に頼むが、彼は旦那(進藤栄太郎)の怒りを買ってしまう。理由を言わぬ茂兵衛を助けようと、女中のお玉(南田)が罪を買って出る・・・
監督 溝口健二 原作:近松門左衛門
出演 長谷川一夫 香川京子 南田洋子
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★★★★ ★★★★ ★★★★★ ★★★★★
コメント  不義をはたらいた男女の磔シーンが凄い!不倫をしたらこうなるんだよと当時の男女道徳の様子がよくわかる。しかも旦那衆には何のお咎めもないのである。
 1日の間に店の中は大混乱。旦那はお玉を以前より口説こうとしていたため、彼女の部屋におさんが旦那を待ち伏せ。そこへ幽閉されていた茂兵衛が店を飛び出すことを告げにくる。結局は旦那に見つかってしまい不義不通を働いたと責めたてられる。結局は逃げ出すように茂兵衛とおさんは飛び出してしまうが、二人が密通の罪として役人が探し回ることに・・・
 人相書きのお触れがどこへ行っても張り巡らされているので、二人は何も関係を持たないのに逃避行を続ける。『雨月物語』と同じように霧の琵琶湖の暗いシーンが印象的。舟の上で「生き恥を晒すくらいなら」と死にたがるおさんに、ずっと慕い続けていたと告白する茂兵衛。「今の一言で気が変わった。生きていたい」。
 何度も撮りなおしたという、足をくじいた香川京子が山から駆け下りてくるシーンには思わず涙がこぼれ落ちる。茂兵衛の実家で捕まり、その後はおさんの実家へと向かう。とにかく、捜査網が早すぎるくらいで、役人ももっと悪い奴を捕まえろよと言いたくなってしまう。お家取り潰しの沙汰も理不尽かもしれないが、こういう時代があったのだと、磔される二人にはなぜかキリストまで思い起こさせる映画だ・・・

1954年ブルーリボン賞監督賞
1954年度キネマ旬報ベストテン5位
(2006.12)

地球最後の男 オメガマン 1971 アメリカ
WB
THE OMEGA MAN
ストーリー  細菌兵器によって荒廃した地球。一人生き残った科学者ロバート・ネビルはマサイアスをリーダーとした亡者たちと闘っていた。
監督 ボリス・セイガル
出演 チャールトン・ヘストン ロザリンド・キャッシュ アンソニー・ザーブ
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★★ ★★★ ★★★ ★★★
コメント  ウィル・スミス主演の『アイ・アム・レジェンド』が記憶に新しいが、今作が2度目の映画化であるため、レジェンドは3度目の映画化作品。まずはゾンビが定着していない時代なので、死体という概念ではなく、光が当たると目が見えなくなり凶暴化した人間が相手だ。だからネビルが攻撃するのもあくまでも人間という設定がミソ。
 黒人のリサ(キャッシュ)たちと前半に合流し、血清を注射すれば治る見込みがあるとわかるのだ。アジトとなってる別荘には感染しているが、治る見込みのある若者を助けるため研究所に戻るネビルとリサ。なんと、意気投合して肉体関係まで持ってしまう二人だけどもリサはやがて感染してしまう。そして、最後にはネビルが敵の槍に刺され死んでしまう・・・ハリウッドらしくない結末には虚しささえ覚えてしまうが、敵だって人間なんだと話し合いを主張する若者と、攻撃的なネビルが対照的である面白さ。これもベトナム戦争という時代のためだろうか。
 ただし、追われる緊迫感などはなく、恐怖感が味わえない。ちょっとした社会派SFといった仕上がりになっていた。
(2008.12)

地球へ2千万マイル 1957 アメリカ
劇場未公開 COL
20 MILLION MILES TO EARTH
ストーリー  シチリアの漁師たちの目の前に巨大なロケットが落ちてきた。中にいた一人の生存者を助け出す。
監督 ネイザン・ジュラン
出演 ウィリアム・ホッパー ジョーン・テイラー フランク・プーリア
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★ ★★★★ ★★ ★★
コメント  テキサスって知らないの?アメリカの近くの大きな国だよ。とか、言ってる間にロケットが!
 特撮ではあるが、かなり巨大で不気味だ。調べてみると、中には瀕死のパイロット。一般人が知らない間に科学が発展するという冒頭の言葉どおりだ。少年ペペは謎の物体を見つけるが、岩の陰に隠す。少年が持ちこんだ物体から見たこともない小さな動物が生まれた。若き見習の医者マリサと祖父は動物を檻の中に入れるが数時間で成長。怪獣は逃げ出すものの、イタリア政府の協力も得てようやく捕獲。ローマ動物園の中で研究される・・・硫黄が大好きで、電気に弱く、銃はほとんど効果がない。しかも心臓や肺がない・・・
 ハリウッドの怪獣映画の永遠の命題、人間の犠牲者を出さないよう怪獣を殺すか、科学の発展をとるか・・・原因はアメリカ政府が極秘裏に惑星間ロケットを開発し、金星にて生物を捕獲したことによるものだ。しかもこの映画が凝ってるのは、イタリアを舞台にして国際色を高めていることだろう。ローマの遺跡が数多く登場する。
 見所は、金星竜イーマvs象!!徐々に大きくなる金星獣に合わせて象も大きくなっているような気がした。終盤には、コロッセィアムに逃げ込んだ金星獣。結局、キングコングと変わりはなかった。それに、感染するとか言ってたウィルス(?)はどうなったんだ・・・
(2005.8)

地球の静止する日 1952 アメリカ
FOX極東
THE DAY THE EARTH STOOD STILL
ストーリー  突如、ワシントンに飛来した円盤。降り立った異星人クラトゥは地球人の未来を懸念し、人類に核兵器の放棄を要求する。そして要求が受け入れられない場合、地球上の全エネルギーを停止させると宣言した
監督 ロバート・ワイズ
出演 マイケル・レニー パトリシア・ニール ヒュー・マーロウ
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★ ★★★★ ★★★ ★★★ ★★★★
コメント  『ウエストサイド物語』のロバート・ワイズですからねぇ。監督名を知ってますますビックリ。
 当時もUFOの話題はあふれていた状況もわかるし、信憑性への裏付けが欲しかったんだと理解できる。当時のフィルム技術でも円盤飛来描写が可能なんだし・・・
 こちらのオリジナル版ではセントラルパークではなく、ワシントンDCが中心。円盤から降りてきた宇宙人が得体の知れない武器のようなモノを持っていたので発砲。続いてロボットが降りてきて、クラトゥを助けるのだ。一緒、一緒。で、武器かと思ってたモノは大統領へのプレゼントだった。
 病院に入れられたクラトゥは国連総会が無理だとわかると逃亡。世間は宇宙人の存在を恐れ、色々と推測する。人間の生活を探るためベンソン未亡人の息子に案内してもらう。戦死した父。戦死した人間が多いことにも驚くクラトゥであった。リンカーン記念館を訪れ、偉人の業績に関心し、宇宙ロケットの権威であるバーンハート教授に会いに行こうとする。
 ボビーと一緒に宇宙船を見に行ったとき、マスコミのインタビューを受けたのが面白い。彼は一国の指導者だけに会うんじゃなく、全世界に伝えたいことがあったので、これがチャンス!と思ったのに、難しいことを言おうとしたためインタビュアーはさっさと次の人へ・・・
 バーンハートは全世界の頭脳を集めたいと申し出たが、宇宙人が持つパワーで地球が破滅に向かってることを伝えたいと考え、クラトゥは殺戮も破壊もない驚異を思いついた。二日後の正午。それは30分間世界中の電力を止めることだったのだ。しかも、飛行機やら病院の電力、命にかかわる場所は停電させないという徹底的な平和ぶり。しかし、米大統領は宇宙人を捕え恐怖をぬぐい去りたいご様子・・・
 メッセージを伝えにヘレン・ベンソンとともに宇宙船のあるところへ向かおうとしていたとき、軍に撃たれてしまうクラトゥ。彼が死んでしまったら何をするかわからないロボット“ゴート”。そこで「クラトゥ、ベラダ、ニクトゥ」という言葉が必要になってくる。なんだか延命装置に入れられて、決められた寿命まで生きることができそうなクラトゥだった。
 最後に宇宙船の前に集まった知識人たちの前で演説して終わるわけだが、平和に生きるためにはどうすればいいか?武器を捨てることだ!と、いとも簡単に日本国憲法第9条の精神を言ってのけるところがすごい。ただ、宇宙間には警察のようなセキュリティ・システムが必要であり、彼らはそれをロボットにやらせているとのことだった。ここんところだけは難しい問題が残ってるだろうな・・・

1951年ゴールデングローブ賞国際賞

(2008.12)

地球が静止する日 2008 アメリカ
FOX
THE DAY THE EARTH STOOD STILL
ストーリー  地球に急接近してきた球体はNYセントラルパークに到着し、一人の宇宙人とロボットが降り立つ。
監督 スコット・デリクソン
出演 キアヌ・リーヴス ジェニファー・コネリー キャシー・ベイツ
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★ ★★★ ★★★★ ★★★ ★★★
コメント  Change! Yes、we can!
 もしかするとオバマ名言集はこの映画から生まれたものだったのか・・・それともチェンジを連発する大統領を予言した映画だったのか。どちらにしても、大統領が姿を見せないという配慮のある映画であり、自動車産業を中心とした経済パニックまで予言していた映画なのかもしれません。
 オリジナル版はロバート・ワイズ監督の白黒作品。不気味な球体が飛んでくるのではなく、ごく普通のUFOが着陸するのです。予告編を見たときから、FFXの“シン”のような造形に思えていましたが、円盤型じゃないだけでも人間の想像力が進化しているのかもしれません。
 キアヌ・リーヴスが演ずる宇宙人クラトゥ。序盤では1928年のインドの山奥というシーンがあるのに、これがよくわからない・・・80年経っても若いままという意味なのか、実は中国人の爺ちゃんの若い頃なのか(つまり宇宙人は皆キアヌ顔)。その他にも、尻切れのまま次のシーンへと変わったりして、心配にもなってくる・・・そんなダメリメイクなのかと思っていたら、“クラトゥ、ベラタ、ニクトゥ”というロボットの言葉にビックリしてしまった。それって『キャプテン・スーパーマーケット』の呪文では?!と目が覚めてしまったのです。
 エイリアンと遭遇したら即攻撃という排他的アメリカを風刺している最初のテーマ。そして、宇宙人の言う“地球を救う”という言葉の意味に愕然とする内容。詳細には述べてないところも、絶えない戦争と環境破壊、それを掘り下げて愚かな人間といったメッセージを考えさせられるのですが、後半はそれがあっさりと展開してしまう。せっかく爺ちゃんを登場させたんだから、アジア的人情ドラマを見せてもらいたかった・・・無理か。
 改めてオリジナルとをチェック。さすがに映像表現では現代の作品にかなうはずもないけど、テーマは「核兵器を廃絶せよ」と、もっと直接的で平和的なのです。そんな悪い方向へのリメイクが多いけど、古臭いロボットの造形だけはオリジナルを尊重してあるところが素敵だ。
(2008.12)

チキン・リトル 2005 アメリカ
ブエナビスタ
CHICKEN LITTLE
ストーリー  オーキー・オークスという平和な町で暮すニワトリ少年チキン・リトルは「空が落ちてきた」と大騒ぎしたため、皆から笑い者にされてしまう。
監督 マーク・ディンダル
出演 ザック・ブラフ ゲイリー・マーシャル ドン・ノッツ
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★★★ ★★ ★★ ★★
コメント  父親の威信に憧れ、父に認められたかった少年チキン。彼は車の後部座席でキチンとシートベルトしてるけど、父親はしてないぞ!見習うなよ・・・
 ディズニーがピクサーから離れて早くも壁にぶつかったのだろうか、パロディは面白いがストーリーは面白くない作品になってしまった。また、自分のとこの画像を使われることに対して怒りまくるくせに、他人のところのパロディはおかまいなしの会社ということをアピールしている。案の定、クレジットに載っていたのは『レイダース 失われたアーク』だけ。その他は「パクっちゃダメ」と冒頭で言っておきながら、「子供向けなんだからわからないだろう」と目論んだのか、こっそりパクってやれと頑張っていたのではないでしょうか。
 そうは言っても、最初はなかなか入りこめなかった映像にも慣れてきて、豚のラント君に笑わせていただきました。彼は登場キャラの中で1番でしょう。スパイスガールズの「ワナビー」も歌うし、「ステイン・アライブ」だって歌うし、さらにバーブラ・ストライザンドが大好きのようなのです。主役のチキン・リトルとアビーがイマイチなキャラであるけど、このラントと男か女かわからないキャラのフィッシュが盛り上げてくれたように思います。
 アメリカという国が侵略者を異常なまでに怖がるという構図を、風刺なしでストレートに映像化する映画は子供向けと言えるのでしょうか。最終的には子供たちの純粋な心で和解へと進むことは評価できるのですが、大人たちの行動を批判的に描いているわけでもないし、どうもありきたりな展開に感動も生まれない。「地球を消してしまうところだったよ」などといった台詞を聞いても、まるで冷戦時代の映画を想像してしまいそうだ。
 ストーリーがだめだと感じたもう一つの原因は野球の試合。チームプレイや仲間を信じることを子供に教えるならば、あの場面はファーボールを狙うべきじゃないでしょうか。心の中で「振るな、振るなよ、このチキン野郎!」などと祈る気持ちで観てしまいました。きつねのフォクシーの変貌だって意味不明だし、唐突すぎる愛の告白だって・・・
 若干救われたのは、音楽の良さと、六角形のピースが空から落ちてくるという奇抜なアイデアでした。そして人種差別(動物差別?)に対する偏見が全くないところも評価できるかもしれません。
(2005.12)



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