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チャプター27 2007 カナダ/アメリカ
アスミック・エース
CHAPTER 27
ストーリー  1980年、凶弾に倒れたジョン・レノン。彼を殺害したマーク・デイヴィッド・チャップマンを犯行当時の3日間の軌跡に焦点をあて、彼の心の闇に迫った作品。
監督 J・P・シェファー
出演 ジャレッド・レトー リンジー・ローハン ジュダ・フリードランダー
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★★ ★★★ ★★★★ ★★★
コメント  「ライ麦畑でつかまえて」の主人公よりチャールズ・マンソンになりたかったのか?
 1980年12月8日。凶弾に倒れたジョン・レノン。犯人マーク・デイヴィッド・チャップマンが手にしていたのは「ライ麦畑でつかまえて」と38口径のリボルバーだった。彼がなぜ殺害に至ったのか?事件の日には1歳だった若手監督J・P・シェファーが描く・・・
 たしかにサリンジャーの著書(忘れてしまったけど)とは類似点がある。チャップマンがいかにこの著書の主人公ホールデン・コーフィールドに同化してしまったのかもわかるのです。しかし、誇大妄想や情緒不安定、それに自殺未遂を経験していることから、普通の精神状態でないことなどもある。理解はできるけど、許せないという思いが先に立ってしまうのです。鑑賞中は色んな思いで胸が苦しくなる。チャップマンの残された良心が「ハワイに帰ろう」などと思いとどまらせるシーンでは、祈るような気持にもなった・・・無駄なのに。
 ライ麦畑との共通項である3日間の出来事に絞った脚本。もちろん読んでいたほうがわかりやすいのですが、行動に移る前にイメージして言葉に出すという彼の性格も興味深いところ。結局は計画的な犯罪だったことにもなるのだから、いかに二重人格者と判断されても有罪にすべき男なのだ。
 映画ではジュード(リンジー・ローハン)というビートルズファンの子を登場させ、ファン層の善と悪を対照的に描いていました。会話の中には興味深い内容もあったりしましたが、中でもジョンの住まいであるダコタハウスが『ローズマリーの赤ちゃん』の撮影に使われたことや、その監督であるロマン・ポランスキーの妻シャロン・テートがマンソンによって殺害されたことにチャップマンが因縁を感じ、ジョン殺害を決意したシーンが印象に残ります。
 このチャップマンを演じるのはジャレッド・レト。体重を30キロも増量して役作りに励んだというだけあって、力の入れ方はすごい。フィリップ・シーモア・ホフマンなら地でいけるような気もしたけど、低予算の映画だからオスカー俳優じゃ無理だったのかもしれません。
 インディーズとしても完成度の高い映画だとは感じるのですが、なにしろ製作意図が伝わってこない。こんな悪い奴がいたんだよ〜くらいのテーマしか持たないんじゃないかと。

2007年チューリッヒ映画祭 第1回長編作品賞受賞
(2008.2)

チャック・ノリスの地獄の復讐 1982 アメリカ
劇場未公開
FORCED VENGEANCE
ストーリー  ロサンゼルスの借金取り立てから香港に戻ったカジノクラブ“ラッキー・ドラゴン”の用心棒ジョッシュ・ランドル。健全な町の賭博場だったが、マフィアが合併話を持ち出して、やがて経営者親子が殺される・・・
監督 ジェームズ・ファーゴ
出演 チャック・ノリス メアリー・ルイーズ・ウェラー マイケル・キャヴァノー
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★ ★★ ★★
コメント  身の危険を感じたジョッシュはサムの娘を連れて逃げようとするが、殺人の嫌疑をかけられ逮捕されてしまう。しかし、すぐに釈放。ベトナムでの戦友も仲間に引き入れ、独自に黒幕を探し出す・・・
 復讐の顛末を淡々と語ったような内容で、観てる者が怒りに燃えるような迫力は全くない。どことなく『燃えよドラゴン』の影響もあるような絵だけど、『レイダース』からも影響を受けたようなワンシーンがあった(ヌンチャク男を銃で威嚇)。
 でかい中国人(最強の敵)との戦いもあっけない・・・ブルース・リーから何も学ばなかったのか?それとも単に監督が悪いだけか・・・
(2008.9)

チャーリー・ウィルソンズ・ウォー 2007 アメリカ
東宝東和
CHARLIE WILSON'S WAR
ストーリー  テキサス選出の下院議員チャーリー・ウィルソン。美女と酒をこよなく愛するお気楽議員だったが、テキサスで6番目の富豪のジョアンに頼まれアフガニスタンの人を救ってほしいと頼まれ、現地視察によって一肌脱ぐ決意をする・・・
監督 マイク・ニコルズ
出演 トム・ハンクス ジュリア・ロバーツ フィリップ・シーモア・ホフマン
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★ ★★★ ★★★★ ★★
コメント  ソ連のアフガン侵攻を止めたのはランボーじゃなかったのか・・・
 なんとも評価しにくい映画。「たったひとりで世界を変えた本当にウソみたいな話。“Based On The True Story”」といったキャッチコピーも皮肉がこめられていて、アメリカの反省を感じさせる内容だと想像していたけど、「最後にしくじった」という締めくくりの言葉にしても学校を建てるための100万ドル捻出ができなかっただけのこと。どうもしっくりこない。
 CIAのガスト(フィリップ・シーモア・ホフマン)が悟ったようにチャーリー(トム・ハンクス)に言ってた“塞翁が馬”のような逸話はあくまでもアメリカ視点の発想だし、単に武器を供与したことが原因であるかのように扱ってるのがパンチ力に欠ける。インフラ整備するにしても、独善的なのではないでしょうか・・・キリスト教、ユダヤ教、イスラム教が手を組んだという構図が面白かっただけに、そこまでオチをまとめられなかったのが残念だった。まぁ、将来は互いの関係も好転する可能性があるので結論づけられないのは確かですが・・・
 そう考えてみると、結局は英雄としてのチャーリー・ウィルソンが浮かび上がるだけで、反共で極右のジョアン(ジュリア・ロバーツ)さえ英雄の立役者となった善玉であるかのような印象が残る。さらに、最後は失敗だったけどその功績を評価するなんてのは、武力に対しては武力で対抗することがあたかも正義であるかのように錯覚してしまう。現在のアメリカを想うと風刺は効いてるものの、アメリカ保守派の人間も喜びそうな映画になってしまってる。アメリカだってソ連と同じようなことをしてるってのに・・・
 アメリカがアフガニスタン侵攻したという事実がなければ評価できたのですが、こうしてチャーリーそのものを否定するかのような映画を期待していた心は見事打ち砕かれました。それでもフィリップ・シーモア・ホフマンの演技には満足できたし、冷戦当時の様子も勉強になったし、見るべきところはあった。

2007年アカデミー賞助演男優賞ノミネート
2007年ゴールデングローブ賞作品賞、男優賞、助演男優賞、助演女優賞、脚本賞ノミネート

(2008.6)

中国の植物学者の娘たち 2005 カナダ/フランス
アステア
LES FILLES DU BOTANISTE
植物学家的中国女孩
ストーリー  孤児院で育ったリー・ミンが植物学者チェン教授の家で1か月半の実習生として滞在することになった。極端なほど厳格な教授は彼女に辛くあたるが、娘のアンと心打ち融け、やがて同性愛が芽生える。
監督 ダイ・シージエ
出演 ミレーヌ・ジャンパノイ リー・シャオラン リン・トンフー
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★★ ★★★ ★★★★★ ★★★ ★★★★
コメント  トリカブトも作っているし、麻薬だって作っている植物学者。
 幻想的な山水画の世界も旅することができるし、民家の間を通る列車体験もできる。不思議な香りがこちらにまで漂ってくるかのような、切なさいっぱいの映画でした。孤児院で育てられたリー・ミン(ミレーヌ・ジャンパノイ)が湖に浮かぶ植物園の小島に向かう。チェン教授のもとで1か月半、実習生として滞在することになるのです。まずはボートの漕ぎ方が普通とは違い、進行方向を向いて漕いでいることに驚きましたが、後から出てくるシーンでも皆そうでした。
 チェン教授の性格は厳格すぎる上に、ちょっとでも気に入らないことがあれば怒り出すのです。季節ごとの雨水の味がわかるとか、7時半にとる習慣の朝食が8時に出されようものなら頑として食べないとか、極端すぎます。それでも中国の植物学者だし、医学生も教える東洋医学の権威のようでもあるし、修行に耐えればそれなりの人生経験となるような雰囲気です。
 映画に登場する植物学者といえば、『ジュラシック・パーク』のローラ・ダーンとか、『バットマン&ロビン Mr. フリーズの逆襲』のユマ・サーマンとか、『E.T.』のETくらいしか知りませんでしたが、彼女たちとは全く性格が異なっていました。なんだか優しいという先入観は捨てなければならないようです・・・
 そんな厳粛な教授にはアンという娘がいて、母親を早くに亡くしていたという境遇が同じミンに同情し、すぐに心を打ち融けあうのです。やがて友情が同性愛へと発展し、離れられなくなったと思っていたら、兵士であるアンの兄が突如帰宅する。結婚しちゃえば永遠に一緒にいられる!と、ほとんどためらいもなく結婚に踏み切るミンなのでした。
 エキゾチックな雰囲気とレズビアンのエロス。それが靄がかかった映像と見事に融合されているのです。しかし、中国では同性愛は敬遠されるどころか罪になるのだ。中国ロケは当局から許可を得られず、ベトナムロケを敢行。だけど、奇岩が聳える谷合などはほとんど中国・・・行ったことはありませんけどね。シンセサイザーをバックに二胡の音色を奏でる音楽も心地よかったです。
 同性愛という中国にとってはタブーでもあるテーマを大胆に扱っていたけど、厳格な父に育てられた環境とそれまで孤独だった2人という状況だけに、愛が芽生えてしまったのが偶然にも同性だった。チェン教授が最期にとった行動と告白は、娘に対する理解と愛情の欠如からくるものだろうし、彼もまた植物だけが友人であるかのように孤独な人だったのでしょう。さすがに「悪魔」呼ばわりするんだから共感もできない・・・それよりも2人のラストがとても切ない。
(2008.2)



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