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憑神(つきがみ) 2007 日本
東映
ストーリー  幕末。下級武士の別所彦四郎は婿養子先からも追い出され、役職もなく肩身の狭い思いをしていた。学問所でのライバルの出世が向島の“三囲(みめぐり)稲荷にお参りしたおかげだという噂をきき・・・
監督 降旗康男 原作:浅田次郎
出演 妻夫木聡 夏木マリ 佐々木蔵之介
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★ ★★★ ★★★ ★★
コメント  まぁ、落語みたいな映画なんだから・・・by人生の落伍者
 降旗監督の時代劇は初めてでもなかろうに、どうもしっくりとこなかった。それとも監督自身が言っていた「落語のような映画」がそれほど功を奏しなかったのか。多分、妻夫木や笛木優子の演技がパッとしなかったためなのでしょう。それでも脇役陣は夏木マリ、佐々木蔵之介、香川照之がとてもよかったし、死神おつや役の森迫永依ちゃんが大人顔負けの演技でした。
 ストーリーはテンポよく、わかりやすく、最後の死神はどう対処するのかな〜などと、期待感溢れるばかり。主人公も下級武士だったこともあって、庶民感覚もいい雰囲気だ。だけど、どうも違和感が残る。妻夫木と笛木のキスシーンもそうだったし、貧乏神、疫病神、死神が全ての人に見えるところもファンタジーさを欠いていた。佐藤隆太がせっかく祈祷を熱演してたのに、それを活かし切れないところも・・・
 主人公の家系が代々徳川家の影武者を勤めてきたという設定は面白かった。死神の登場により、自分の人生を省みる彦四郎。最後に武士の本分を全うする道を選ぼうとするのですがが、まさしく「武士道とは死ぬことと見つけたり」でした。まぁ、死ぬことが商売なんですしね・・・
 
(2007.6)

築地魚河岸三代目 2008 日本
松竹
ストーリー  課長に昇進した商社勤務の赤木旬太郎は装飾デザイナーの明日香との結婚を考えていたが、リストラ斡旋の仕事にうんざり。ある日、築地で働く明日香の姿を見て手伝うことになるのだが・・・
監督 松原信吾 原作:はしもとみつお小学館ビッグコミック
出演 大沢たかお 田中麗奈 伊原剛志
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★★ ★★★ ★★★ ★★★ ★★★★
コメント  最近、甲本雅裕がよく出てるなぁ・・・
 試写会の券をもらわなかったら迂闊にもスルーしたかもしれない映画。エンドロール後にも何かあるはずと睨んでいたら、ジャジャーンとまるで『コナン』のように“次回作は2009年”と宣伝文句が入ってきた。早くもシリーズ化決定らしい。ビッグコミックの漫画が原作のこの映画。そういや『釣りバカ日誌』もビッグコミックオリジナルの漫画が原作であり、同じ松竹。それに同じくお魚映画だったっけ・・・
 まずは大杉漣がリストラされるエピソード。サラリーマンにとってはリアルで痛々しい話。しかもリストラする役目は課長に昇進したばかりの赤木旬太郎(大沢たかお)で、世話になった上司をリストラさせられるなんて会社勤めの無情さを感じる一瞬だったのです。しかも奥さんが・・・というところで、序盤から涙目状態。赤ムツ(ノドグロ)がほんとに美味しそう〜
 『僕の彼女はサイボーグ』、『神様のパズル』と、ヒロインの胸元を追う作品が続いたせいか、田中麗奈の胸元にも視線が向かったのでありますが、少しでもスケベ心を出した自分を恥じてしまいました。うん、やっぱり田中麗奈はボーイッシュな雰囲気がいいんだ!と、勝手に納得し、興味は築地の仲卸業者“魚辰”の奇妙な三角関係へと移る。
 恋人明日香の実父(伊東四朗)が魚辰の二代目店主であり、ひょんなことから市場の仕事を手伝おうと決意する旬太郎。しかし、従業員たちはエリート商社マンという闖入者に戸惑い、以前から明日香に好意を寄せている英二(伊原剛志)のためにも旬太郎には冷たく当たる。だけど、木村拓也だけは違っていた・・・そのキムタクを演ずるのが荒川良々だ。まかない飯が美味しそう〜
 原作コミックも全く知らなかったので、どんな方向へストーリーが進むのかと思っていたら、松竹映画らしい人情モノでした。伊原剛志の斜め後ろからのカットがなぜか寅さんにも見えたり、田中麗奈がさくらに見えたり、やっぱり彼女の台詞には泣けた。ラストの「どのサバが一番美味しいか?」という試験には「これを選んでね」というメモがあるのかと疑ってみたけど、確認できませんでした。
 それにしても音楽が人情モノには似合わない本多俊之のジャズ♪違和感があることはあるんだけど、どうなんでしょうね〜マルサの女が出てくるかと思ったぞ!
(2008.6)

月とキャベツ 1997 日本
シネセゾン
ストーリー  バンドを解散した途端に曲が作れなくなり、田舎でキャベツ作りに明け暮れる花火。そんな彼のもとにヒバナと名乗る少女が訪れ、バス代を渡したあと、また訪れてそのまま居座ってしまう。
監督 篠原哲雄
出演 山崎まさよし 真田真垂美 鶴見辰吾
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★★ ★★ ★★★★ ★★ ★★★
コメント  トトロの雰囲気が漂う田舎の風景。ヒバナの子供じみたワンピースと緑の大地からは『アルプスの少女ハイジ』を連想させる。これは自然に憧憬の念を持つ都会人のための映画なのだろう。山崎まさよしのミュージッククリップといった印象もあるが、それよりも映像と自然の音が心地よい。
 水を極端に怖がるという設定もいい伏線になったと思うが、そのほかの恋愛部分ははつまらない展開。「永遠なんて死ななければわからない」という台詞で全てがわかってしまう。楽しめるのは、ヒバナのダンスにインスパイアされたりする作曲の過程。実際に山崎まさよしがこういう順序で作曲しているのかと思うと、勇気もわいてくる。
 この手の映画は邦画のステレオタイプとも言うべきなのでしょうけど、味付けが肝心。歌は好きですけどね・・・
(2005.9)

月の輝く夜に 1987 アメリカ
MGM=UIP
MOONSTRUCK
ストーリー  ロレッタ・カストリーニは未亡人。ジョニー(ダニー・アイエロ)のプロポーズを受け承諾するが、彼の母が危篤でシチリーに帰省する間に弟ロニー(ケイジ)と出来てしまう・・・
監督 ノーマン・ジュイソン
出演 シェール ニコラス・ケイジ オリンピア・デュカキス
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★★ ★★★ ★★★ ★★★★ ★★★
コメント  オープニングの音楽は『ゴッドファーザー』をパクっている。なかなかいいセンス。髪の毛もふさふさの若いニコラス・ケイジ。左手は義手だ。
 伝統的な(?)イタリアン・コメディをハリウッドで演じたといった雰囲気で、浮気だらけの家族の中にもほのぼの感が漂う。父と母と娘、三人がそれぞれ浮気をする満月の夜が面白いけど、ストーリーは読めてしまうためコミカルな部分しか興味がなくなってしまった。

1987年アカデミー賞主演女優賞(シェール)、助演女優賞(デュカキス)、脚本賞
同作品賞、助演男優賞(ヴィンセント・ガーディニア)、監督賞ノミネート
1988年ベルリン国際映画祭、監督賞
1987年ゴールデングローブ賞女優賞、助演女優賞
その他色々
(2005.3)

月のひつじ 2000 オーストラリア
日本ヘラルド映画
THE DISH
ストーリー  オーストラリアの田舎パークスにある巨大アンテナ、ディシュ。アポロ11号の人類初の月面着陸を実況中継するために準備をしていたが、次々とアクシデントが起こる・・・
監督 ロブ・シッチ
出演 サム・ニール ケヴィン・ハリントン トム・ロング
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★ ★★★ ★★★ ★★
コメント  でっかいアンテナの回りには羊しかいない。アポロ11号の月面着陸疑惑をアメリカ以外の国から描けば信憑性が増す!という訴えの映画かと思っていた。映画を観たら、ますますそれを確信。じっくり考えると唐突すぎ。実際はどうなんだろうか?
 サム・ニールの老人姿がすごい。特殊メイクはすごいなぁ・・・
(2005.11)

つぐない 2007 イギリス
東宝東和 WORKNGTITLE
ATONEMENT
ストーリー  1935年のイングランド。官僚のタリスの屋敷では長男が帰省してくるため末娘ブライオニーが劇を披露しようとし、長女セシーリアは使用人の息子ロビーとあやふやな関係が急展開する最中・・・
監督 ジョー・ライト
出演 キーラ・ナイトレイ ジェームズ・マカヴォイ シアーシャ・ローナン
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★★★ ★★★★ ★★★★★ ★★★★ ★★★★★
コメント  全ては“関東”が原因か・・・
 またしても予備知識を入れずにて鑑賞。戦争を背景にした恋愛物語と一人の女性の贖罪の人生を描いた作品・・・と、それだけでは済まされない映画だった。英国上流階級モノは苦手な部類だけど、この映画にはその原因である気取った文学要素や働いてないのに人生を悟っているかのような傲慢さが全く見られないのです。
 タリス家の末娘ブライオニー(シアーシャ・ローナン)は帰省してくる兄のために戯曲を書くという無垢な文学少女。従兄妹のローラや双子を相手にしても、高慢さと純粋さが同居している性格なのに、どこか心を閉ざしているかのようだ。好意を抱いている使用人の息子ロビー(ジェームズ・マカヴォイ)が姉セシリア(キーラ・ナイトレイ)とが池の前にいるシーンを目撃してから心理描写が際立ってくるのですが、度肝を抜かれるのは何故かハチの羽音。全体的に効果音はすごく凝っているけど、このシーンで「何か違うぞ!」と感じるのだ。最初はハエかと思ったくらいウザったい音。こんな効果音は『キルビル』とか『テキサス・チェーンソー』がよく似合うってのに・・・
 そして映像の編集。この池に飛び込むシーンと、2人が激しい愛の瞬間を過ごすシーンではブライオニー視点を描いた直後に、ロビーやセシリアの視点で繰り返す。視点がころころ変わったり心理描写も変化するのでまとまりがないのですが、この秘密はエピローグで明らかになるのです。そして、戦争が始まり、ロビーたち兵士がダンケルクの海岸に到着したときの長回しカットが圧巻!エキストラの数、馬を射殺する様子、東屋でのコーラス等々、これは見逃せない。
 1935年の暑い一日。が多感な少女の嫉妬心や性の潔癖さ、それらが妄想となって嘘の証言へとなった。身分違いということもあってロビーには弁解する余地すらなく、刑務所に入れられる。しかし、ほんの一瞬に燃え上がった恋は本物。戦地へと駆り立てられても2人の愛は引き裂かれるはずもないのだ・・・
 ブライオニーの贖罪。身分違いの2人の恋愛が成就すれば少女の“つぐない”も終わりになるかと思うけど、エピローグでは年老いたブライオニー(ヴァネッサ・レッドグレーヴ)のさらなる本音が語られる。言葉には表れてなくても、戦争がその贖罪をも完結させてくれないことが痛いほどわかるし、そのため、死ぬまで重い十字架を背負わなければならないのだ。こんな辛い記憶とともに生きてきた彼女の訴えには涙をこらえることもできませんでした。だけど、それも徐々に解消される・・・

2007年アカデミー賞作曲賞
同作品賞、助演女優賞、脚色賞、撮影賞、美術賞、衣装デザイン賞ノミネート
2007年ゴールデングローブ賞作品賞、音楽賞
同男優賞、女優賞、助演女優賞、監督賞、脚本賞ノミネート
2007年英国アカデミー賞作品賞
その他多数
(2008.5)














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