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山谷(やま)−やられたらやりかえせ- 1985 日本
「山谷」制作上映委員会
ストーリー  労働者の町 山谷での日雇い労働者と、天皇主義右翼を名乗って労働者を暴力的に支配・統合しようとする暴力団に対する闘いを軸に、日本近代化の中で生み出された差別・支配構造を暴き出したドキュメンタリー
監督 佐藤満夫・山岡強一
出演      
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★   ★★★   難しい 
コメント  映画『山谷 やられたらやりかえせ』を観た。
 折しも米証券大手リーマン・ブラザーズが経営破綻したというニュースが世間を騒がせている9月16日。カナザワ映画祭で上映されているこの映画を観たのです。時代は1980年のバブル前。労働者の町“山谷”での日雇い労働者と、彼らの稼いだ金を食いものにする天皇主義右翼に対する闘争を描いたドキュメンタリーだ。これを撮っていた映画監督・佐藤満夫が労働者と敵対していた暴力団に殺害され、遺志を引き継ぎ撮り終えた監督山岡強一も右翼の凶弾に倒れた・・・
 なぜか思い出すのは『巨人の星』で、主人公の星飛雄馬が青雲高校の面接試験で父親の職業を訊かれ「僕の父は日本一の日雇い人夫です」という名台詞を吐いたこと。幼心にもこの『巨人の星』の回を見たときから、職業差別は絶対にしないぞ!と誓ったものでした。
 映画では最初に日雇労働者が生まれた要因や現状を簡単に説明するのですが、彼らの生の声、実際に雇い主や行政職員、そして手配師と争議を行っている映像の緊迫感とともに、彼らの置かれた状況がよくわかってくる。
 最近ではホームレスという言葉で十把一絡げにされてしまったり、メディアが報道する多くがバブル崩壊によって破産した者とか失業者とか社会不適合者だったりするのですが、この時代の印象は明らかに違う。企業に低賃金で利用されつつも日本の高度成長期を底辺で支え、人が嫌がる仕事をどんどんこなした真の労働者の姿。そして炭鉱閉鎖、被差別部落問題、強制連行された在日朝鮮人の問題、太平洋戦争や日本の帝国主義がもたらした産物とも感じられるのだ。そんな彼らの状況を悪用する社会のゴミ、右翼暴力団。もちろん暴力団対策法施行前だったし、警察が逮捕するのは労働者ばかりで暴力団は泳がせておいた時代だ。
 最近はドキュメンタリー映画界が円熟したせいもあって、とても巧い作りとは言えないし、争議中の言葉も労働者たちの肉声も聞きとりにくい。しかし、いつ暴力団が飛び込んできてもおかしくない危険な状況下での撮影だと考えると、勇気ある行動だと称賛に価する映画。そんな聞き取りにくい内容だったので、現在における労働問題−人材派遣、ネットカフェ難民、等々−とを比較したり、どんな人たちが今観てるのだろう?などと想像したりしてみました。
 今年『蟹工船』がベストセラーになっているという21世紀の珍事。1986年に施行された労働者派遣法が徐々に改悪されていき、中間搾取されまくりとなってしまったせいだ。80年代では手配師や暴力団が中間搾取していたのが、現在は派遣業者がヤクザの代行しているだけの違い。リーマン破綻の影響で今後日本でも倒産企業が続出し、失業者も増大しそうな予感がするだけにタイムリーな映画だったと思う。
 他にも印象的なシーンがあった。映画『靖国』よりも派手だった靖国神社のシーンです。暴力団が数百人勢揃いする場面に出くわしたら、今のネット右翼たちもビビりまくりだろう。また、在日朝鮮人や台湾から日本に来た人の話も頭から離れない。ウマい話に乗せられて日本軍に徴兵され、南京大虐殺を目撃したため犯罪覚悟で逃亡した・・・凄い。
 映画の主旨は日雇労働者の労働組合の争議なんだろうけど、脇の部分で圧倒されてしまいました。80年代は凄い映画があったんだなぁ・・・『ゆきゆきて、神軍』とか『東京裁判』とか。さて、明日は満席覚悟の『蟹工船』だ!
(2008.9)

YAMAKASI ヤマカシ 2001 フランス
K2=日本ビクダー
YAMAKASI
ストーリー  パリで実際に活動する7人のストリート・パフォーマンス・グループ。子供が真似して重症を負った。24時間以内に手術すれば助かるのだが、巨額な金額も必要だった・・・
監督 アリエル・ゼトゥン 製作:リュック・ベッソン
出演 YAMAKASI マエル・カモウン ブリュノ・フランデル
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★ ★★
コメント  ストーリー展開が・・・学芸会レベル?どうせなら完全にドキュメンタリーにすれば評価できるのになぁ。もう、つまんないよ・・・これ。アクションがもっとあるかと思ってたのに。 
(2004.12)

ヤマトよ永遠(とわ)に 1980 日本
東映
ストーリー  地球にミサイル型宇宙船が飛来してきた。無数の戦闘異星人によって地球人が大量に虐殺される。元ヤマト隊員たちは惑星イカルスにあるヤマトに乗りこむために地球を脱出する。新艦長の元、新たな乗組員を加え、ミサイルの起爆装置のある暗黒星団帝国に向かう。
監督 舛田利雄 
出演 富山敬 麻上洋子 中村秀生
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★ ★★★★ ★★
コメント  シリーズ3作目だが、4作目の後の2202年の設定。発表される順番からすると時系列が無茶苦茶になっていることでわけがわからなくなってくる。
 『新たなる旅立ち』で救出された古代の兄・守も戦闘員の一人となっている。沖田艦長の像の前で酒を飲む佐渡先生。森雪もいる。同窓会的な内容で、ファンサービスのための映画だということがわかる。しかし守は序盤で自爆。森雪も倒れて、地球に残されアルフォン少尉に囚われてしまう。その代わり、一年で大人に成長してしまったサーシャが登場。サーシャが短時間で大人になったのと同様、森雪もかなり成長しているような気がする。
 ワープを繰り返していると、地球に逆戻り?と、途中のスクリーン効果と音響効果で驚かされる。200年後の地球!わけがわからないヤマトの乗組員たち。最後のサーシャの台詞は臭いものの、血を流す意味とか、ちょっと理解できない。要するに犠牲を払ってでも、地球を救え!ということなのでしょう。心の葛藤がほとんど表れない映画です。
(2005.4)

山猫 完全復元版 1963 イタリア/フランス
FOX
IL GATTOPARDO
ストーリー  1860年春、イタリア統一戦争。シチリアでは貴族支配からの開放運動の波が押し寄せていた。300年にわたりシチリアを支配していたサリーニ家の“山猫”の紋章を持つ当主はこれまでどおり優雅に振舞う。
監督 ルキノ・ヴィスコンティ
出演 バート・ランカスター アラン・ドロン クラウディア・カルディナーレ
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★ ★★★★ ★★
コメント  一人の兵士の死体が庭にころがっていた。広大は敷地だ。サリーニ公爵が帰りの馬車の中で「革命軍が山で火を焚いている」などとの台詞があったが、実際には映らない。モンタージュ理論やカット割りなど無視されるほどの演劇風なオープニングだ。

1963年アカデミー賞衣装デザイン賞ノミネート
1963年カンヌ国際映画祭パルムドール
(2006.3)

山猫は眠らない2 狙撃手の掟 2002 アメリカ
SPE
SNIPER2
ストーリー  伝説の狙撃者と言われたトーマス・ベケット。CIAのいきなりの訪問をうけ、軍事政権であるバルカン半島の国でムスリム抹殺計画があると説明を聞く。死刑囚の相棒コールとともに、その首謀者の将軍を討ち取るために潜り込んだ・・・
監督 クレイグ・R・バクスリー
出演 トム・ベレンジャー ボキーム・ウッドバイン エリカ・マロジャーン
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★ ★★★ ★★★ ★★★ ★★★
コメント  まぁまぁの緊迫感とまぁまぁのアクション。しかし、年老いた狙撃手であるベレンジャーにはかなりきつい内容だった。「速く走れ!捕まるぞ!」と叫ぶベレンジャーの方がヨタヨタと走っていた。第一作目は未見であるが、こんなものなのでしょうか?ラストの『スターリングラード』に似ている狙撃者同士の戦いはイマイチだった。
(2004.12)

山猫は眠らない3 決別の照準 2004 アメリカ
SPE
SNIPER3
ストーリー  NSA(国家安全保障局)からの新たな任務は、ベトナムに従軍してたが戦後テロリストとなった男ポール・フィネガンを抹殺せよというものだった。しかし、ポールはベケットの命の恩人でもあったのだ・・・
監督 P・J・ピース
出演 トム・ベレンジャー バイロン・マン ジョン・ドーマン
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★ ★★★ ★★★ ★★★
コメント  シミュレーションでの狙撃訓練。酒浸りのトーマス・ベケット軍曹は上官にも嫌われ、ぐうたらぶりを発揮していた。ベトナムへ渡り、ポールを狙撃しようとするも失敗。他の武器密売のベトナム人を殺したりして、投獄されることに・・・しかし、留置所にはポールも捕らえられていたため、仲間が爆破して逃げることができたのだ。
 地元の警官クアンともいいパートナーになったのだが、敵のアジトでは彼が捕まる。ポール撃てばクアンにも当たる・・・過去の駆け引きなどを聞かされ、戸惑い迷うベケットだったが、意外な手段を取るのだった。
 テロリストたちといっても、年端のいかないベトナムの若者。ベトナム戦争の悪夢が甦ったにしては殺しすぎだ。
(2006.12)

山のあなた 徳市の恋 2008 日本
東宝
ストーリー  温かくなると南の温泉場から山の温泉場へと燕のようにやってくる按摩2人、徳市と福市。徳市は東京からやってきた女の按摩をするが、次第に彼女に惹かれていく・・・
監督 石井克人
出演 草なぎ剛 加瀬亮 マイコ
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★★ ★★★ ★★★★ ★★★ ★★★
コメント  おませな坊や。
 石井克人監督といえば、奇抜な発想で平凡な映画をインパクトある作品にするといったイメージがあったのですが、この映画では戦前の温泉街にピッタリのロケ地がないため5分の1のミニチュア温泉街と人物を合成するというアイデアが冴えていました。注意して観ていると、フォーカスが定まらずに人物も背景もぼやけている不自然なカットもあり、それが逆に日本人の心をくすぐるノスタルジー&ファンタジーであったりするのです。
 オリジナルの『按摩と女』はもちろん未見。脚本にも手を加えず、完全コピーを目指したらしく、台詞の抑揚までいい意味での古臭さを感じさせてくれる。按摩の徳市(草なぎ剛)が東京の女に惹かれ、純粋であるがゆえに恋も成就しない様子を静かに語っているだけなのに、都会の喧噪から離れた癒しが感じられるのです。
 叔父さん(堤真一)と一緒に温泉場を訪れた坊や(広田亮平)がませガキだと感じたのは、観音屋の女中(洞口依子:1965年生まれ))のことを“おねえさん”と呼んだため。それに対してヒロインであるマイコ(1985年生まれ)をいきなり“おばさん”と呼んでいたのです。いたずら好きだけど一人で釣りもする。さらには“おばさん”と親しげにする堤や草なぎには「ちぇっ」と嫉妬心にも似た少年の独占欲すら感じられる。釣った魚で気を引こうとするなんて、すでに将来女たらしになりそうな予感も・・・などと、映画の観方をかなり誤ってしまいました・・・
 昨年は加瀬亮をかなり評価していたけど、今作ではオリジナルを尊重したためもあるのかもしれませんが、なぜだかノリきれてないような気がしました。彼よりも同じく按摩仲間である田中要次や森下能幸が脇ながら光っていたような・・・。映画初出演のマイコはなかなか魅力的な女性。これなら旦那が手放したくないのもわかるし、徳市が惚れるのも無理ないことかも。徳市の心の目にはどのように映っていたんだろうな。
(2008.5)

山の郵便配達 1999 中国
キネマ旬報社=東宝東和
那山 那人 那狗
POSTMEN IN THE MOUTAINS
ストーリー  80年代初頭の中国湖南省の山岳地帯。父が続けてきた郵便配達の仕事を息子が継ぐことになった。2泊3日で120キロを歩く過酷な仕事を引き継がせるため父は犬“次男坊”と共に息子についていく。
監督 フォ・ジェンチィ
出演 トン・ルーチュン リィウ・イエ ジャオ・シィウリ
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★★★ ★★★★★ ★★★ ★★★★
コメント  中国山間部の水墨画の世界。朝靄につつまれる森林。森林浴のつもりで見るのも気持ちがいい。しかし、仕事をするのも大変だ。一気に配達を終わらせることもできるが、引退までずっと続けなければならないので、2泊3日という配分もきちんとやらねばならない。
 山で農業してもいいし、街に出て働いてもいい。しかし息子は父の郵便配達という職業を選んだのだ。公務員だから他の職業よりも若干給料がいいという理由だけではなさそうだ。父を理解するため?父を超えるため?
 ラジオの音楽、歌いながら歩く、バスに乗ることなど「若者の考えることは・・・」と嘆いているような表情の父親。ここでは、自分の父親とのジェネレーションギャップを思い起こしてしまう。父親の人生経験と勝気な息子との心理描写が上手く描けていました。途中で出会った人のよさそうなおじさん。盲目の老女。若いクーニャン。出会う人すべてがやさしい。そして、初めて「父さん」と呼んだ息子にうるうる・・・

1999年中国アカデミー賞最優秀作品賞、最優秀主演男優賞
2001年日本アカデミー賞外国映画賞ノミネート
(2005.5)

山びこ学校 1952 日本
北星
ストーリー  山形県山元村の新制中学校。寒村であり、無着先生のクラスは生活のために欠席する者も多かった。修学旅行を欠席することになった8人に対して、みんなで働いて連れていこうとする。
監督 今井正
出演 木村功 滝沢修 東野英治郎
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★★★ ★★★ ★★★ ★★★
コメント  海岸でちゃんと性教育する無着先生。動物的に愛するんじゃなくて、人間的に愛することが大事なんだ。何でもかんでも体当たりで教育する無着先生が素敵です。
 学力低下について先生同士で会話するところも興味深い。終戦直後であるため、戦争のせいでロクな計算ができない生徒が多い。無着先生の綴り方教室は有名な話ですが、映像化するとよく伝わりますね。教師を目指す人必見の映画!ただし画像は荒いし、子供の声が聞き取りにくい。
(2005.5)

闇の子供たち 2008 日本
ゴー・シネマ
ストーリー  日本新聞社記者の南部(江口)はタイで行われてる闇ルートの臓器移植を取材する。同じころ社会福祉を学んだ恵子(宮崎)はタイでボランティア活動に従事する・・・
監督 阪本順治
出演 江口洋介 宮崎あおい 妻夫木聡
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★★ ★★★ ★★★ ★★★★ ★★★★
コメント  桑田圭祐の曲がテーマ曲であることにも驚いたが、タイ人が「みなしごのバラード」を口ずさんでいたことにビックリ!
 タイの闇組織で働くチット(プランドン・スワンバーン)が日本ではお馴染みのタイガーマスクの裏テーマソングを歌う。幼児売春や臓器移植にも関わってる男で怖い奴なのだが、変態男の「咥えろ!」には反応してしまう。彼自身も親に売られ異常性愛者の餌食となったトラウマがあるようだった。ちなみに“みなしご”は放送禁止用語。『タイガーマスク』が放映されるときにはピー音だらけになりそうだし、『みなしごハッチ』もタイトルにモザイクがかかりそうだ。
 序盤から「心臓移植のドナーは生きた人間である」という衝撃台詞があったため、その後はちょっとのことでは驚かなくなってしまいました。それでも、太った変態男や、夫婦で少年少女を買う夫婦など、大人の汚い部分をこれでもかこれでもかと見せつけてくれる。そして、自分の子供を売った親等々・・・
 『亡国のイージス』ではがっかりさせられた阪本順治監督だったけど、セミ・ドキュメンタリー風の社会派ドラマというジャンルに挑戦したことは評価できる。タイの現状、それもスラム街と言われる貧困地域に特化して、人身売買もエイズの問題も考えさせられるのです。そして命の問題。日本では15歳以下の臓器移植が認められないため海外で心臓移植手術を受けることになる少年。しかし、タイでは脳死したドナーではなく生体移植であるという・・・心臓取ったら死んじゃいますよね・・・この患者を突き止めた新聞社の南部(江口洋介)、ボランティアの恵子(宮崎あおい)が患者宅で言い争うシーンが印象的。
 東京から20cmの地域で命の価値が違うかのような問題提起。根本には貧困と無知があるんだと、赤ひげ先生なら言うのでしょう。そして、暗に日本人の買春ツアーなんかも風刺しているのでしょう。メッセージがありすぎたため逆に弱くなっているのは残念でしたけど、誰もが無関心であってはならないことばかり。ラストでは異常性愛者の新聞記事が張り付けられた壁の真ん中に鏡があったのが不気味だったし・・・誰もが犯罪者になる可能性だってあるのです。
 衝撃の問題作であることは間違いない。ただ、NGOのゲーオが警官に向かって発砲する意味がわからないとか、終盤になってドンパチで解決しようとするストーリーが納得できなかった。それより、ジャーナリストが目の前の被害者を助けられるか?といったテーマを最後まで主軸にしてもらいたかったなぁ。
(2008.11)





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