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魂のジュリエッタ 1964 イタリア/フランス
東和=ATG
GIULIETTA DEGLI SPIRITI
ストーリー  映画プロデューサー・ジョルジョの妻ジュリエッタ。15周年の結婚記念日に夫は忘れたふりをして大勢の仲間を連れて、皆で祝福する。
監督 フェデリコ・フェリーニ
出演 ジュリエット・マシーナ サンドラ・ミーロ マリオ・ピスー
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★ ★★★★★ ★★★ ★★★
コメント  どうもジュリエッタが乙羽信子に見えてしょうがない。序盤のパーティはなんとなくうるさいだけなのですが、海辺での夢がとてもよかった。
 とにかくストーリーを追うことが面倒くさくなるくらいにどうでもいい内容。とにかく挿入されるシーンひとつひとつの映像表現が独特すぎて、ずっと網膜に焼きつきそうなくらい。幻や妄想に悩まされるような感じなのですが、なんだか楽しく明るい映像ばかり。でもやっぱり変な人ばかり。
 うざい台詞はいらない・・・

1966年アカデミー賞美術賞、衣装デザイン賞ノミネート
1965年ゴールデングローブ賞外国映画賞
その他
(2006.5)

魂萌え! 2006 日本
シネカノン
ストーリー  定年を迎えた夫が3年後に急死。アメリカに行って音信不通の息子も帰ってきて遺産相続と同居を迫り、戸惑う敏子。そんな折、夫と不倫していたと思われる女性から電話がかかり、いたたまれなくなって家を飛び出しカプセルホテルに宿泊するが・・・
監督 阪本順治
出演 風吹ジュン 田中哲司 常盤貴子
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★★★ ★★★★ ★★★★★ ★★★★
コメント  いいか、よく聞け!不倫騒動と借金地獄によってこのカプセルホテルは一気呵成に沈んでいくんだ!
 男の闘いを描き続けてきた阪本順治監督が意外にも女性の日常を描いた作品。『亡国のイージス』によって疲れきったので女性を描きたくなったのだろうか。しかも桐野夏生原作作品を自身で脚本化したのだそうだ。そのおかげで監督の思惑もピタリとはまり、登場人物に生命を吹き込んだかのような印象さえ残ります。そういえば、『どろろ』、『幸福な食卓』、本作品と、最近観た映画で亡国の面々が亡くなってしまう・・・男なんて信用できない!といったところが、映画にも表れてました。
 59歳の女性が4人という、団塊の世代を強烈にアピールする映画となっていましたが、彼女たちの青春時代のフィルムを映写したり、最後に『ひまわり』を大写しにするほど大胆な手法により、“団塊の世代のニュー・シネマ・パラダイス”とも感じ取れました。しかも女優陣が凄いのです。風吹ジュンは今年の主演女優賞を総なめする予感さえするほどの演技だし、三田佳子の大女優っぷりも後半に炸裂する。そして加藤治子の謎めいたカプセルホテル住人がとてもよかった。絶妙だと思われるのが、ベテラン歌手の由紀さおりと今陽子を配したところでしょうか・・・ハレルヤコーラスで、入っていけなかった風吹ジュンというシーンが特に・・・
 男たちはダメダメな部分ばかりが目立つようになっていました。浮気したという事実よりも「家具のようだ」と評した寺尾聡や、玉が燃えなかった林隆三、遺産相続のことしか頭にない田中哲二とか・・・俳優にまかせっきりで作るような森田芳光監督とは大違い。俳優のイメージ通りに脚本を書き演出した阪本監督の勝利でしょう。
 魅了させられるシーンは満載でしたけど、細かなエピソードはちょっと詰め込みすぎだったかもしれません。主人公は仲良しの同級生との交流が続いていたのでまだ幸せそうに見えますが、それでも辛いことだらけ。そんな風吹ジュンの心理変化が手にとるようにわかるし、彼女が家事に専念させられたという古い家長制度のような家族の犠牲者であったことも伝わってくる。肉体は衰えても魂は萌える!団塊の世代の方は観るべき映画なのかもしれません。
(2007.2)

たまゆらの女(ひと) 2002 中国
日本ヘラルド映画
ZHOU YU'S TRAIN  周漁的火車
ストーリー  白磁の絵付師である周漁チョウユウは、ダンスパーティで出会った男陳清チェンチンから一篇の詩を贈られてから、週2回、10時間列車に乗って通うようになった。そんなある日、列車の中で同郷の獣医チャンと出会うのだが・・・
監督 スン・チョウ
出演 コン・リー レオン・カーフェイ スン・ホンレイ
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★ ★★★★★ ★★★ ★★★
コメント   列車での旅をテーマにした映画は多いが、ほとんどが1回きりの旅行。詩にあった“仙湖”を探すチョウユウとチャン。汽車から降り立った2人は濃霧の中の幻想的な風景を見るのだが、これがいい。
 とにかく美しい。もちろん、重陽の自然美と建築美が交差する中にいるコン・リーの美しさも。普通の男から見れば、一途な愛を貫くチョウユウは他の男に対して心を閉ざしているように思えて、とっつきにくい。獣医が図々しくも彼女にアタックする姿が変人のようにも思える。
(2005.4)

ターミナル 2004 アメリカ
UIP
THE TERMINAL
ストーリー  東欧の小国クラコジアからある約束を果たすために米国へやってきたビクター・ナボルスキーはJFK空港で足止めをくう。母国で革命が起きて政権が転覆したのだ。。。
監督 スティーヴン・スピルバーグ
出演 トム・ハンクス キャサリン・ゼタ=ジョーンズ スタンリー・トゥッチ
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★★ ★★★★ ★★★ ★★★★★ ★★★★★
コメント  スピルバーグとハンクスが三度コンビを組んで届けてくれた、今度はハートウォーミング・ストーリー。監督と俳優がご近所さんだから、阿吽の呼吸で作り上げることのできた映画だ。
 知らない外国語の意思疎通、公権力による厄介者払い、そして人々の純粋さというテーマを巨大なJFK空港のセットの中に繰り広げられる人間模様。中心になるのは、戸田奈津子さんの言う「いい人」そのものズバリのトム・ハンクス!彼だからこそ、周りの人たちを幸せにできる男といった役を演じきれるのだろう。また、人間の本質は“善”であるという性善説の考えのスピルバーグならではのキャラクター設定が心を温めてくれました。
 映画の本線は単純なプロットであるため、様々に絡み合う伏線が面白かった。その中で一番は、空港内で仲良くなった友達エンリケ(ディエゴ・ルナ)がトーレス(ゾーイ・サルダナ)に恋しているが、その愛のキューピッド役を全てビクターに頼むというサブストーリーであろう。また、ビクターが恋するアメリアと共通の話題となるナポレオンとジョセフィーヌの件、これがまた見事だ。ハンクスが右手を懐に入れるなんてシーンが洒落ていて、思わずため息が出たくらいだ。極めつけがジャズにまつわる話・・・ベニー・ゴルソン本人が登場する・・・その他のミュージシャンは過去の人になっているのかもしれないが、その出会いが最も感動する場面だ。その他にも「火曜日が嫌い」などといった曜日ネタにも注目です。
 元々はロビン・ウィリアムズと同様にコメディアンであったトム・ハンクスの演技は当然のことながら最高で、キャサリン・ゼタ=ジョーンズがまるで添え物であるかのようにも思えた。脇では、ディエゴ・ルナとゾーイ・サルダナの若手俳優が光り、今後の活躍に期待できるでしょう。「アポは?」が口癖のインド人グプタ(クマール・パラーナ)が渋いです。
(2004.12)

ターミネーター 1985 アメリカ
東宝東和
TERMINATOR
ストーリー  未来からやってきた殺人ロボットと一人の男。一方で、サラ・コナーという名前の女性が連続して殺される。殺人ロボットからサラを守るため未来の兵士カイルが追いかけてきたのだ。サイバーダイン101型。数年後の核戦争勃発はマシーンが起こしたものだった。
監督 ジェームズ・キャメロン
出演 アーノルド・シュワルツェネッガー マイケル・ビーン リンダ・ハミルトン
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★★★★ ★★★★ ★★★★ ★★★★★
コメント  同性同名の女性が殺されていって、次は自分の番だ!と恐怖に慄くリンダ・ハミルトン。この設定がすごくいい。電話帳で順番に殺されるところもロボットらしいところだ。
 ターミネーターシリーズで唯一劇場で鑑賞していない映画なので、今でも残念でならない。監督の前の作品が不評だったために低予算らしいのだが、脚本が完璧なほどタイム・パラドクスも面白い。特にラストの「実は・・・」といったくだりが大好きです。シュワちゃんが悪役だったということも面白い要因なのだろう。
 自分の目をナイフで切りとって直すシーン。血が出てるよ!血が・・・それほど人間に近いサイボーグ。不気味ですね〜そのシーンのためか、途中のシュワちゃんの顔が蝋人形っぽかった。それも不気味なのですが・・・そして終盤ははストップモーションアニメ。最初に観たときにはかなりドキドキしたものだ。もちろん濡れ場も!おっぱいのチラリズムがよかった。
 そしてラストの息子へのメッセージを残すサラ。お腹も大きくなりつつあって、かなり綺麗だ。そしてインスタント写真の少年がいい。バックにはタンブルウィード・・・

1985年アボリアッツ・ファンタスティック映画祭グランプリ
(2006.1)

ターミネーター2 1991 アメリカ
東宝東和
TERMINATOR 2: JUDGMENT DAY
ストーリー  1997年8月29日・審判の日。時は流れて、対機械戦争の指導者ジョン・コナーがサイボーグ101型を過去に送る。新型T-1000を倒すためであったが、サラは10年前の悪夢が甦って・・・
監督 ジェームズ・キャメロン
出演 アーノルド・シュワルツェネッガー リンダ・ハミルトン エドワード・ファーロング
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★★★★ ★★★★★ ★★★★ ★★★★★
コメント  精神病院に隔離されたサラ・コナーは迫り来る“審判の日”に備えて武器や体力で武装していた。息子ジョンは10歳になるが、ちょっとだけ悪い子ちゃん。前回悪役だったシュワちゃんターミネーターと本当に悪い新型ロボットとの対決。劇場公開当時もちゃんと予習をしたおかげでのめり込むことができました。
 最初から追われるジョン。警官の格好をしたロバート・パトリックが無茶苦茶怖い!しかし、当時実生活において新婚さんだった彼はずっとにやけていたので監督に怒られていたそうな。病院から逃げ出し一時の休息。そしてダイソン宅への襲撃とサイバーダイン社への襲撃。
 “Trust me.”“I'll be back”と流行語が生まれたことよりも、モートンの演技が最高だと思う。そして、リンダ・ハミルトンの双子の妹も演技に参加して二人現れる箇所を盛り上げる。
 タイムパラドクスもさることながら、ロボット三原則を忠実に守り、自殺なんだけど、クレーンのスイッチをサラに託すところが素晴らしい。

1991年アカデミー賞メイクアップ賞、特殊視覚効果賞、音響効果編集賞、録音賞
同撮影賞、編集賞
1992年MTVムービーアワード作品賞、男優賞、女優賞、アクションシーン賞、BT賞、etc.
その他
(2006.1)

ターミネーター3 2003 アメリカ
東宝東和
TERMINATOR 3: RISE OF THE MACHINES
ストーリー  未来は救われたはずだった。2度の生命危機から命を救われたジョン・コナー。
監督 ジョナサン・モストウ
出演 アーノルド・シュワルツェネッガー ニック・スタール クレア・デインズ
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★ ★★★★ ★★★★ ★★★ ★★★★
コメント  女ターミネーター“T-X”(クリスタナ・ローケン)の登場。例によって女の皮ジャンを拝借してソアラを走らせる。携帯を取り出したかと思ったら電子信号音を発し接続する。オッパイだって自由自在に大きさを変えられるのだ。一方、いつものように登場するシュワ・ターミネーターはエルトン・ジョンもどきのサングラスをかけたりして、かなり笑える絵がいい。そしてジョン・コナー(スタール)は精神を病んでいるのか、バイク事故を起こし、動物病院に侵入して鎮静剤を貪る。そこの女医ケイト(デインズ)は中学の同級生だった。
 今回のT-X。T-1000のように何にでも変身する上、IT化が進み携帯の遮断とか車を遠隔操作できる優れもの。最初は劇場で観たため激し過ぎるカーチェイスに腰を抜かしそうになった。墓地での格闘からケイトの父がいる軍事施設まで。彼女の父はスカイネットの開発者だったのだ。審判の日“JudgementDay”は避けられたのではなく10年延長されただけだった。そして、旧型T-101はケイトを守るため過去にやってきた事実がわかる。
 最後の砦を指示したT-101。しかし、そこは30年前の核シェルターだった。未来を変えることはできないのか・・・深いテーマと反戦メッセージ。こんな虚しい終わり方でいいのか。アクションと笑い、しかし深淵すぎるテーマとのバランスが悪い。
(2005.12)

ため息つかせて 1995 アメリカ
FOX
WAITING TO EXHALE
ストーリー  サバンナ、バーナディン、グロリア、ロビン、4人の黒人女性の恋愛・結婚・離婚・仕事という現代人の悩みを表現した映画。
監督 フォレスト・ウィテカー
出演 ホイットニー・ヒューストン アンジェラ・バセット ロレッタ・デヴァイン
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★★ ★★ ★★ ★★★ ★★
コメント  途中まではどうしようもないほどつまらない。意外なところで、ウェズリー・スナイプスが出て来たり、ホイットニーの相手役にデニス・ヘイスバートが出てくるところで、演技も最高潮になった。『エデンより彼方へ』ではたいしたことなかったのに、ここでの渋い役は最高。ホイットニーの下手な演技を十分にカバーしてますね。しかし、前半のつまらなさはカバーできない。歌の良さにも救われてます。
 全体的に白人に対する黒人の誇りのような思想が感じられた。

1996年MTVムービーアワード歌曲賞
(2005.6)

ダメジン 2006 日本
アンプラグド
ストーリー  夏の川崎。リュウスケ、ヒラジ、カホルの3人は働くことを拒否しているかのような“ダメジン”。彼らは幼なじみのチエミの愛人であるヤクザのササキ(篠井英介)に誘われるまま鍾乳洞に行くが・・・
監督 三木聡
出演 佐藤隆太 緋田康人 温水洋一
音楽 ストーリー 映像・演出 俳優 総合評
★★★★ ★★★ ★★★ ★★★ ★★★
コメント  働かなくても生きていける・・・原始的なニート?
 『イン・ザ・プール』や『亀は意外と速く泳ぐ』の三木聡監督の実質的な長編デビュー作。佐藤隆太、緋田康人、温水洋一の3人を中心にダメな人生を送っている“ダメジン”たちの物語なのですが、ダメなりに生き生きしていている様子が羨ましくもあったりします。掘っ立て小屋での共同生活をするホームレス一歩手前のニートといった雰囲気の3人、そして周りの人たちも猫じじい(笹野高史)やゲシル先輩(格闘家の謙吾)、川の中で泳ぎ続けているインバさん(村松利史)といった超個性派が揃っている。
 ヤクザを中心とした暴力的なネタではちょっと引いてしまうものの、全体的には脱力系のギャグが心地よかった。大まかなストーリーとしては、一生働かないで生きていくにはどうすればよいかを考え、それには「インドへ行けばいい」ということになり、その費用をなんとかして捻出しようというもの。バイトをしたって、今まで働いたことがなさそうな彼らには無理。夢に出てきたゴールデンチャイルドから宇宙人(?)を奪って見世物小屋で設けようとするも、売上金をヤクザに奪われてしまったり・・・
 最近では働いても生活が楽にならないワーキングプアの社会問題もありますが、この映画を観る限りでは働かないほうがマシなような気もしてくる。実際にこの映画を企画したのが4年前だったらしいのですが、もしかすると格差社会やワーキングプアの問題をも敏感に察知していたのかもしれません。このような映画がヒットして共感し実践するような人が大勢出てくると困りますが、問題提起するためには必要なことかもしれないのです。勝ち組・負け組などという単純な区分さえ彼らには似つかわしくない。というより、彼らはそんな言葉さえ知らないように思えます。
 彼らはとても楽しそうだったけど、風呂水のコーヒーとか猫焼きなんて食べたくないし、パソコンもできないし映画も観れない生活なんてやっぱりやだっ!
(2007.1)



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